横浜ゴムは2025年1月20日、トラック・バス用タイヤの打音からAI(人工知能)を活用して、空気圧状態を判定する技術の実証実験を開始すると発表した。
この技術が実現すると、これまでドライバーの経験に依存していたタイヤ空気圧の打音点検は、AIを導入することで、判定精度が向上し安全運行、省力化によるコスト削減や業務効率化、適切な空気圧管理による燃費向上など、物流業界の課題解決に貢献することができる。
トラック・バス用タイヤの空気圧の日常点検では、空気圧ゲージによる計測はバルブ故障やエア漏れのリスクがあるほか、リアルタイムのモニタリングはコスト面での課題などがあり、依然としてハンマーによる打音点検が主流になっている。
しかし、打音のみで空気圧が適正かを判断することは熟練のドライバーでも容易ではなく、手軽かつ正確に空気圧の状態を判定できる方法が求められていた。
横浜ゴムはMETRIKA社と協力して、さまざまな環境音の中からタイヤの打音を識別し、打音がいつからいつまで発生したか(打音区間)を抽出し、抽出された打音に基づいて空気圧を予測するAIアルゴリズムを開発した。
さらに、専用のアプリケーションを試作し、現在、運輸会社での実証実験を実施している。この技術を実用化すればスマートフォンからタイヤの打音をアプリに録音するだけで空気圧値や充填の必要性をアプリ上で視覚的に把握できるため、専用機器の設置や判定スキルの習得なしで、誰でも高精度な空気圧点検が可能になるのだ。
今後は実証実験を通じて、AIアルゴリズムの精度やアプリケーションのユーザビリティを、さらに向上させていく。また、IoTを活用して最適な商品および運用プランの提案を迅速に行なう横浜ゴム独自の次世代タイヤマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」との連携も計画している。