自動車部品&技術サプライヤーのシェフラーは、オーストリア、モンタフォンで2014年7月3日~5日に開催された第5回ジルブレッタ電気自動車ラリーに参戦した。シェフラーチームは、オートモーティブ部門の研究開発担当副社長のウーヴェ・ヴァーグナーが率い、2014年は「シェフラーSTEP2」で参加した。
同社は2012年にEVプロトタイプ、2013年には電動ハブ駆動のフィエスタ E-Wheel Driveで参加してる。今回出場したSTEP2は、シェフラーの子会社であるIDAM(INAドライブ・アンド・メカトロニクス)製の2速パワーシフトトランスミッションを搭載した電気自動車だ。
この電気自動車ラリーは、自動車専門誌「auto motor und sport」が開催し、モンタフォンからフォアアールベルクまでの公道で、速度ではなく効率を競うラリーである。このため電気駆動とトランスミッションを融合した効率が重要になる。
ヴァーグナー氏は「今回採用した2速ギアシフトシステム、つまり大きな牽引力を生むローレシオ、高速時を含め、優れた効率を実現するハイレシオにより、ダイナミクスを高めると同時に、電気運転の走行可能距離を延ばすことができました」と述べている。
コンセプトカーのSTEP2は、シミュレーション、テストドライブのいずれでもギヤが1基のみのEVと比較して、約6%の大幅な電気消費(バッテリーから引き出されるエネルギー)の低減を実現している。
STEP2は量産小型車のVWゴルフをベースに、シェフラーのエンジニアがエンジンと6速MT、燃料タンクを取り除き、EV用にフロントアクスルを改造している。またホイールとブレーキシステム、ステアリングシステムは改造しておらず、駆動用の電気モーターはダイレクトドライブテクノロジーの専門集団であるIDAMが供給。モーター用の2速トランスミッションは、遊星ギヤセット、マルチディスククラッチ、バンドブレーキ、そして軽量なデファレンシャルによって構成されている。
1速、2速ギヤレシオは、ブレーキとクラッチを交互に接続する方式。バッテリーはリヤシート下の燃料タンク、マフラーの位置に取り付けられ、システム出力は最大70kW(95ps:ピーク時)で連続運転では50kW(68ps)。
今回のラリーの3つのアルペンステージで、シェフラーの電動モビリティ部門のエンジニアは、電気自動車の分野ではトランスミッションを使用することで電力、電圧、電流のさらなる効率化が可能であることを実証している。