2017年6月5日、ブリヂストンは、2017年で30周年を迎える世界最高峰のソーラーカーレース「2017 Bridgestone World Solar Challenge (ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ)」に参戦する10チームに、同社の低燃費タイヤ技術を搭載したソーラーカー用タイヤ「ECOPIA with ologic(エコピア with オロジック)」を供給すると発表した。
ブリジストンは、このソーラーカーレースの冠スポンサーを2013年から務め、ソーラーカーに装着されるタイヤの供給を通して、将来を担うエンジニア達の挑戦を支援している。
ブリヂストンワールドソーラーチャレンジは、2年ごとにオーストラリアで開催されている。南オーストラリア州政府観光局が主催するこの大会は1987年に始まり、2017年で30周年を迎える世界最高峰のソーラーカーレースだ。2017年は10月8日〜15日に行なわれる。
前回の2015年大会の様子は動画を参照。
太陽光エネルギー+バッテリーだけで約5日間をかけオーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000kmの砂漠地帯を縦断走破する。3つのクラスでそれぞれの基準に従ってレースを行ない、2015年に行なわれた前回大会では、25ヶ国から大学生を多く含む46チームが出場しているインターナショナルなビッグイベントだ。
クラスは、「チャレンジャークラス:4輪/ドライバー1名」、「クルーザークラス:4輪/ドライバー+乗員1名以上)」、「アドベンチャークラス:上記2クラス以外の車両で3輪でも出場可」という3クラスに分けられる。チャレンジャークラスは速さを競い、クルーザークラスは効率を競うレースだ。
今回の発表会では、ブリヂストンワールドソーラーチャレンジに参戦し、トップレベルの成績を記録している東海大学・工学部・電気電子工学科の木村英樹教授がソーラーカーレースの技術的なポイントを解説した。なお東海大学チームの2017年使用のマシンは8月頃に完成する予定で、ブリヂストンの黒磯プルービンググラウンドで、シェクダウンテストを行なうことになっている。
また東海大学チームに技術協力している、パナソニック・ソーラーシステム・ビジネスユニット技術開発本部長の岡本真吾氏が同社の高性能ソーラーパネルについて説明。
続いて東海大学チームのマシンのカーボン・ボディ製作を担当している東レの産業材料事業部長、奥村勇吾氏がプリプレグ・カーボン材を使用し、同社のカーボン製品製造子会社であるカーボンマジック社で製作していることを紹介した。
ブリヂストンのブランド戦略担当の牛窪寿夫主任部員が、ブリヂストンワールドソーラーチャレンジの参加車両に供給する「エコピア with オロジック」の概要を明らかにした。
ソーラーカーレース用は、細幅・大径というオロジックのコンセプトを採用しているが、製品としては専用開発で、95/80R16 という超幅狭タイヤとなっている。そのため接地面積は一般的な乗用車タイヤの半分以下の10cm2程度で、1輪あたり50〜100kgの荷重を受けることを前提として設計されている。
転がり抵抗は市販エコタイヤの1/10以下、タイヤ重量も2kg以下/本と超軽量だ。そして充填空気圧は500kPaと、市販タイヤの2倍の空気圧となっている。高い気温、荒れた舗装路面を走るため、1日で4輪のタイヤ交換を行なう使用サイクルが普通だという。
市販の電気自動車よりはるかに高効率な電気駆動システム、太陽光を電気エネルギーに変換する究極のエコカー、そしてオール・カーボンボディ、徹底した空力性能の追求など、最先端の技術を駆使したマシンで戦われるブリヂストンワールドソーラーチャレンジは、エンジニアを目指す学生にとって魅力的な存在だ。そしてそのマシンは日本のメーカーの先進的な、モノ、技術が投入されていることも興味深い。
2017 ブリヂストン World Solar Challenge 特設サイト
2017 Bridgestone World Solar Challenge 公式サイト