ミシュラン 2050年に向けて100%持続可能なタイヤ生産を目指す

ミシュランは2021年3月2日、2050年までにタイヤを100%持続可能にする取り組みを進めることを宣言しました。

これを実現するための手段として、2017年に発表したVISIONコンセプト(エアレス、コネクテッド、3Dプリンティングの活用、100%持続可能原料を使用したタイヤ)の実現に向けた活動も加速されます。

2017年に発表した「VISIONコンセプト タイヤ」

現在のミシュランタイヤは主原料の天然ゴムに加え、合成ゴム、金属、繊維、強化剤(カーボンブラック、シリカ)、可塑剤(樹脂)、加硫用の硫黄など200種以上の素材で製造されています。

使用する素材は相互作用とミシュランの最先端技術によって、安全性、快適性、環境負荷低減に優れた性能を提供しています。この原材料の約30%は既に天然素材かリサイクル素材、持続可能な原材料が使用されています。

そして研究開発7拠点で6000人以上のエンジニア、研究者、化学者、開発者が、350の専門分野で2050年までにタイヤを100%持続可能にするという目標達成に取り組んでいます。

ミシュランには、過去に培った経験と1万件以上のタイヤ設計・製造に関する特許出願があり、さらに革新的なテクノロジーパートナーや異業種の先駆者を積極的にまとめ、イノベーションのスピードと品質の向上をはかっています。

その主要な取り組みは次のようになっています。

2019年からバイオバタフライ・プロジェクト(BioButterfly)を主導するアクセンス (Axens、本社:フランス)、IFPEN(本社:フランス)と、石油由来のブタジエンに代わるバイオマスブタジエンの製造に取り組んでいます。この技術で、木材、籾殻、葉、トウモロコシ茎葉などを原料に、年間420万トンの木材チップがミシュランタイヤへリサイクルされる可能性が見込まれています。

2020年11月にパイロウェーブ(Pyrowave、本社:カナダ)と提携し、廃ポリスチレン(ヨーグルトポット、食品容器、プラスチック包装など)からリサイクルスチレンを製造しています。スチレンは、ポリスチレンだけでなく、タイヤその他消費財の合成ゴム製造に使用されます。最終的に、年間数万トンのポリスチレン廃棄物を元の製品やミシュランタイヤにリサイクルすることを目指しています。

キャルビオ(Carbios、フランスの新興企業)が開発したプロセスで、酵素を使用してペットボトルを元の純粋なモノマーに分解します。使用済みペットボトルを回収し新しいペットボトルとして繰り返し再利用できます。

リサイクルされる素材には、タイヤ製造に使用するポリエステルが含まれます。年間約40億本のペットボトルがミシュランタイヤにリサイクルされる可能性が見込まれます。

2021年2月、エンバイロ(Enviro、本社:スウェーデン)とともにミシュラン初のタイヤリサイクルプラントの建設着工を発表しました。カーボンブラック、熱分解油、スチール、ガス、など高品質の再生材料を、使用済みタイヤから回収する特許技術を開発しました。この技術により、タイヤを100%リサイクルすることが可能になります。

ラックサイクル(BlackCycle)欧州共同企業体へ参加し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)もサポートしています。プロジェクトに資金提供し、13の公的および民間のパートナーが使用済みタイヤから新しいタイヤを製造するプロセスを設計します。

このような、原材料からの多くの分野の取り組みと、廃タイヤのリサイクル、そして循環型生産などの幅広い取り組みにより、100%持続可能なタイヤを目指すことになります。

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COTY
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