株式会社デンソーは2012年5月15日、従来のコンデンサーを全面改良し、従来よりも大幅な小型化を達成した新型コンデンサー「グローバル・インナーフィン・コンデンサー(Global Inner-fin Condenser、以下GICと略す)を開発したことを発表した。GICは従来16mmだった製品の幅を、性能・品質を維持しつつも11mmまで薄くすることに成功。その結果、従来品に対して30%の小型化を達成している。
コンデンサーとは車両前方のエンジンルーム内に配置されるエアコンの熱交換器のことで、冷凍サイクルにおいて、コンプレッサーから送られてきた高温・高圧のガス状冷媒を、外気により冷却して液化するための放熱装置だ。したがって、コンデンサーに求められる機能は冷媒の熱を効率的に放熱することであり、それは構成部品であるチューブとフィンの性能により決定される。また近年、エンジンルーム内の設計自由度向上のため、コンデンサー自体の小型化のニーズも高まってきている。
今回開発されたGICでは、小型化を実現しつつも性能を維持するために、チューブ内部に流れる冷媒の熱をチューブに取り付けられたフィンへ効率的に伝えるために、チューブ内部のインナーフィンを高密度化し、伝熱面積を20%拡大するなど、チューブおよびフィンの高性能化技術を導入している。
一方で新たな加工技術の開発により、従来のチューブと同等の速度で量産することで生産性も維持している。フィンについても、ルーバーと呼ばれる放熱を促進するための形状をより微細化したことで、単位面積あたりのルーバー枚数を30%増やして、放熱性能を向上させている。
さらにこの製品は、海外現地調達性や環境規制強化への適応性に優れていることもポイントだ。使用材料は世界各地での調達のしやすさを考慮しながら、従来よりも生産性の優れたものをメーカーと共同開発することに成功。また今回開発したインナーフィンチューブは11mmという薄幅でありながらも、冷媒が流れるチューブ内部の容積は従来と比べて25%の拡大を実現。チューブを流れる冷媒量が増加した場合でも、従来品より消費動力の低減が可能となり、環境への配慮から現在検討されている新たな冷媒への適応性も向上させている。
今回開発したGICは、5月11日にトヨタ自動車から発表された新型カローラにすでに搭載されている。