大手自動車部品サプライヤーのシェフラーは、コンチネンタル社と共同開発した48Vマイルドハイブリッド・システムを採用した第2世代のガソリン技術車を、2016年4月下旬にオーストリア・ウイーンで開催された第37回モーターシンポジウムで初公開した。
シェフラーとコンチネンタル社は2014年の第36回モーターシンポジウムで、スタート&ストップ領域を大幅に拡大したガソリン技術車(Gasoline Technology Car:GTC)を発表。NEDC(新欧州ドライビングサイクル)でベース車と比較して燃費が最大17%向上し、CO2排出量も95g/km以下に削減し、大きな話題となった。
今回もプロジェクトパートナーであるコンチネンタルとシェフラー、フォードとの緊密な連携のもと、第2世代のガソリン技術車(GTC Ⅱ)を開発した。GTC Ⅱは、最新世代の48Vマイルドハイブリッドを導入している。その結果GTC ⅡのNEDC燃費は前回のGTCよりさらに約13%向上。GTC Ⅱの最大の特徴は、電気モーターをガソリン・エンジンとトランスミッションの間にレイアウトし高い効率を実現したことだ。これはP2アーキテクチャーと名付けられている。
このシステムは、48V電気システム、内燃エンジン、それぞれの作動制御をひとつのシステムとして最適化することでマイルドハイブリッド・システムの大きな可能性を示している。シェフラーの研究開発担当役員であるペーター・グッツマー氏は、「GTC Ⅱは、GTC Iと同様、高効率のハイブリッド・システムをマニュアル・トランスミッション車に組み込んだという点で画期的です。GTC Ⅱが装備している電子制御クラッチは、電気始動、アイドリングストップからの復帰、車両停止時のエネルギー回生などの機能をサポートします」と語っている。
ベース車は、前回と同様にフォード・フォーカスで、1.0L・3気筒の直噴ターボエンジン(エコブースト)を搭載。GTC Ⅱの電動モーターは、エンジンとトランスミッションの間に組み込まれている。モーターにはベルトが組み合わされ、上流側と下流側にある2つのクラッチにより、エンジンは要求に応じて完全に切り離され、電動モーターをエンジンから独立して使用できる。これにより、GTC Ⅱは低負荷の一定速度ではEV走行、アイドリングストップ時などの電気始動の両方の役割を担う。
またクラッチを切り離すことで減速時にエンジンブレーキの影響をなくし、より多くの減速エネルギーを回生に利用できる。また、エンジンの使用頻度を低減することで、エンジンや後処理システムの冷却能力を下げることができる。この効果は、エンジンオフ走行が走行サイクルの中で比較的大きな部分割合を占めるハイブリッドとしては重要な利点となる。
コンチネンタルの高性能な48Vエミテック電気加熱触媒(メタル製)の利用により、長時間のエンジンオフの後でも、瞬時に金属触媒を加熱できるのでエンジンからの排出ガスを迅速に処理することができる。これはユーロ6cの排出ガス基準(2017年以降)の厳しい要件をクリアするポイントでもある。
GTC IIのエコブースと・エンジンは、熱効率をさらに向上し、圧縮比を高め、吸気バルブ遅閉じタイミングのアトキンソンサイクル運転などを採用。また、このエンジン用にコンチネンタル製の新開発ターボを搭載。これにより、特にエンジン低速時のレスポンスを高めている。これを電気トルク支援と組み合わせることでさらに優れたドライバビリティを実現している。
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