雑誌に載らない話vol6
コンチネンタルタイヤは、欧州車の多くに純正装着され、装着率はナンバー1である。タイヤメーカーとして世界中でその実力は広く認められているメーカーである。
コンチネンタル社の歴史は古く、国産自動車が誕生する遥か昔の138年も前から始まっている。2003年には最高速度360km/hを承認したVマックスを発売し、最高速400km/hに達するというブガッティ・ヴェイロンの装着タイヤもコンチネンタル製なのである。
そのコンチネンタルは、タイヤだけではなく、世界第5位に位置する自動車産業サプライヤーでもあるのだ。つまり、自動車メーカーへさまざまなモジュールを供給し、シャシーや安全性能に関わる多くのパーツを供給している。
最新のコンチネンタルタイヤの特徴は、自動車メーカーとのシャシー全般に関わる共同開発を行なっていることで、現在ではABSやESC関連とのマッチングが綿密にはかられているのも大きな特徴になっている。つまり、電子制御が働き出すタイミングは、タイヤのグリップが大きく影響し、その設定にはコンチネンタルのタイヤと一緒に開発がされていることが、大きなアドバンテージとして挙げられる。具体的にはスポーツコンタクトに採用されている「キャッツ・ポー」や「スパイダー・ウエブ」という技術が挙げられる。
キャッツ・ポーとはバイオニックプロファイルとも呼ばれ、制動時などタイヤに大きな荷重がかかったときにタイヤの接地面が広がる構造になっているのだ。ネコがジャンプして着地するときに手のひらが広がることにヒントを得た技術ということだ。
このキャッツ・ポー=バイオニックプロファイルの仕組みは、タイヤの構造材であるトレッドベルトをサイドウォール近くまでフラットに入れているのがキーポイント。これはフラットベルト・コンセプトと呼ばれている。これによって、ショルダー部をスクエア状に直角になるように立たせ、そうすることでサイドウォール部の長さを短くして剛性を高め、操縦安定性を向上させている。これをショートサイドウォール・コンセプトと呼び、フラットベルト・コンセプトと合わせた技術のバイオニックプロファイルで、大きな荷重がかかったときの接地面変化を少なくしているのだ。
スパイダー・ウエブはくもの巣を意味するが、これはゴムのコンパウンドの柔軟性と剛性をバランスさせた技術である。タイヤに荷重がかかったときに、剛性を保ちながら広くトレッドゴムを接地させる技術なのだ。つまり大きな荷重イコール、制動時とコーナリング時が代表例であり、そのいずれも電子制御されるのが、最新のクルマのテクノロジーでもある。タイヤのグリップ力と電子制御はセットでの開発がおこなわれていることから、アフターでのタイヤ選びには同サイズ、同ブランドが推奨されている理由でもあるわけだ。
スポーツコンタクト3は、その2の後継モデルだが、サイズによっては2も併売されている。そして、近いうちにさらなる高性能タイプのモデルがデビューする噂もあり、目が離せないメーカーでもあるのだ。
文:高橋アキラ