会話型AIのニュアンスコミュニケーションズの車載部門がスピンオフ 新会社「セレンス」としてスタート

最新のメルセデス・ベンツの「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)」、BMWの「インテリジェント・パーソナル・アシスタント」など自然会話型のAI搭載コンシェルジュ機能を供給しているグローバル音声関連ソフト開発企業のニュアンスコミュニケーションズが、同社のオートモーティブ部門からスピンオフし、「Cerence Inc.」(セレンス・インク」として新たなスタートを切ると発表した。

新会社「セレンス」としてスタート

ニュアンスコミュニケーションズとは

セレンスは、オートモーティブ・ソフトウェア企業として独立し、公開企業として2019年10月1日から正式にスタートし、新しいロゴマークも発表した。

社名のセレンスは、インテリジェンス、エクスペリエンス、セレニティ(平穏)、コントロールなどの単語をもとに、新たにつくられた造語だ。また。新しいロゴのデザインは、人間の右脳と左脳、つまり芸術と科学、そしてエクスペリエンスとイノベーションの融合から着想を得たという。

ニュアンスコミュニケーションズは、アメリカのマサチューセッツ州バーリントンにグローバル本社を置き、さまざまな産業分野で使用される音声認識や音声入力の制御ソフトウェア開発をグローバルに事業展開している。

北米、欧州の病院の医師のための音声入力カルテ作成ソフトウエアを始め、アップル社のSiriやサムスンのGALAXY、IBM、HPなど各社へ音声認識技術を提供している。また個人ユーザー向け製品としてはパソコン用の音声認識・音声入力ソフトウェア「ドラゴンスピーチ」も発売している。

ベンツもBMWもニュアンスの技術

その一方で、自動車用の車載技術として、車内システムの音声によるコントロール、ハンズフリー電話でのノイズ低減、明瞭な会話を実現する音声信号処理技術など展開しており、自動車向けソリューションは、現在2億8000万台以上のクルマに搭載され、40以上の言語でアウディ、BMW、ダイムラー、フォード、Geely、GM、上海汽車、トヨタなど世界中の大手自動車メーカーから大手サプライヤー、カーナビゲーションメーカーにまで採用されている。

そして、近年では「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)」、BMWの「インテリジェント・パーソナル・アシスタント」に代表される、コネクテッドカー向けのAI搭載と機械学習を組み合わせた自然対話型の車載コンシェルジュ・アシスタンス・システム「ドラゴン・ドライブ」を開発している。

このシステムは、AI技術と会話認識技術を統合した「ドラゴンドライブ」のベース技術と、クラウドと接続するドラゴンドライブ・クラウドサービスによって構成され、クラウドと通信することでナビゲーションや駐車場、ガソリンスタンド検索、音楽サービスなどのインフォテイメントもドライバーと車載システムの自然会話により実現している。

会話型AIを搭載

AI機能搭載・対話型車載コンシェルジュシステムは、ドライバーの音声指示を理解して適切に応答し、ドライバーや乗員のニーズや好みを理解・学習する。そして、エンターテインメント、ナビゲーション、POI(関心地点)、ニュースや天気予報情報、冷暖房などユーザーごとにパーソナライズ可能なシステムだ。

今後はスマートホームとの接続、車載センサーと統合したAI機能により、例えば雨が降っている時に「駐車場を探してほしい」というリクエストを発声すると、ドラゴン・ドライブは言語情報だけではなく、ワイパーのセンサー情報から雨が降っていると推察し、駐車場リストから屋内駐車場を優先して提案するといった機能を持っている。

また、多数の乗員に対応し、声紋認証と音声信号処理を活用することで、複数の乗客の声を認識し、相互に干渉することなく車載アシスタントと同時に対話することを可能にするなど、自然対話型コンシェルジュ・アシスタントシステムはさらなる機能、能力を向上させる方向に向かっている。

したがって今後このシステムは、爆発的に成長することが予想されるため、新たにオートモーティブ部門を独立させ、より開発、供給能力を向上させることが目的と考えられる。

セレンスは、自動車のユーザーがより満足できる、安全で、多様な情報を提供し、車内での楽しい時間を提供する没入型エクスペリエンスを実現するとしている。音声、タッチ、ジェスチャー、感情、視線などの認識技術のイノベーションを結合することにより、ドライバー、乗員とクルマ、さらにはコネクテッド技術を利用して、車外のデジタル世界とより深く結合することを目指すとしている。

セレンス 公式サイト

ニュアンス・コミュニケーションズ 関連記事
ニュアンス・コミュニケーションズ 公式サイト


The Mortor Weekly

ページのトップに戻る