ブリヂストンは2023年8月29日、同社が全面的にサポートしている世界最高峰のソーラーカーレース「2023 Bridgestone World Solar Challenge(BWSC)」(オーストラリアで10月22日〜29日に開催)に、ENLITEN技術を適用したタイヤを投入した。
ENLITEN(エンライトン)基盤技術として、再生資源・再生可能資源比率63%とした専用タイヤでモータースポーツに投入するのは初となる。
「ENLITEN」技術は、タイヤのカテゴリーの特長に特化してカスタマイズする商品設計基盤技術を意味する。
世界最高峰のソーラーカーレース「BWSC」は、太陽光発電による限られた電力で約3000Kmの長距離を走り順位を競うレースだ。このレースで求められるタイヤ性能には低転がり抵抗、耐摩耗性能、軽量化で、これらに特化してカスタマイズされた「ENLITEN」技術搭載タイヤを初投入する。この新開発タイヤは全参加チーム40チームの中に35チームに供給される。
このタイヤは、転がり抵抗を極限まで低減し、同時に荒れた舗装路での耐パンク性、耐摩耗性、軽量化と同時に、再生可能材料を大幅に採用している。再生資源・再生可能資源比率(MCN:Material Circularity Number)は63%に達しているのだ。
前回大会では30%程度だった再生資源・再生可能資源比率(MCN)を、「ENLITEN」技術で63%にまで向上させるために、再生スチール・再生有機繊維適用補強材、再生カーボンブラック、再生ゴム薬品、再生オイル、さらにクルーザークラスタイヤでは、もみ殻由来のシリカ、タイヤ熱分解油由来カーボンブラックを採用した。
また、この大会のために日本からオーストラリアへの輸送でもカーボンニュートラルを推進するため、タイヤの輸送会社はDHLを選定。DHLは2050年までにゼロエミッションを目指すロジスティクス企業だ。
今回利用したDHLのGo Green Plusソリューションは、持続可能な船舶燃料の使用(インセット)とVERゴールドスタンダードのカーボンクレジットによる排出量の相殺(オフセット)を組み合わせており、100%カーボンニュートラルな輸送を実現する。
この大会に参戦する東海大学の木村英樹教授
「BWSCは、企業がもつ最新テクノロジーと学生のアイデアが結び付き、世界に先駆けてソーラーカーに搭載することで、その性能を評価する広大な実験場であると捉えています。また、企業のエンジニアの方々にもチームに参画していただき、直接指導していただくことで、将来を嘱望される学生たちを成長させる素晴らしいフィールドとなっています。このような価値のある産学連携の実践は、BWSCならではのものであり、環境関連の技術開発に大きく貢献しているといえます」と語っている。
ブリヂストンの堀尾直孝モータースポーツ部門長
「私たちは、タイトルスポンサーとして、BWSCのようなオープンプラットフォームを通して、MCN63%のENLITEN技術搭載タイヤを開発・供給し、過酷な条件における当社のサステナブルなタイヤ技術の実証を進めるとともに、グローバルかつ多様性に富んだ将来を担う若いエンジニアの挑戦を足元から支援いたします。また、低炭素のタイヤ輸送をはじめ、バリューチェーン全体においても、サステナブルなグローバルモータースポーツの発展のため、活動を強化してまいります。世界中の学生と共に持続可能なモビリティ社会に寄与する革新技術を生み出すことに挑戦し、BWSCで活躍した学生が、将来モビリティ産業でも活躍することを楽しみにしております」と語っている。