ブリヂストン REGNO GR-XⅡ(レグノ ジーアールクロスツー)グレートバランスタイヤ【試乗記】

マニアック評価 vol.673

ブリヂストンのトップブランド「REGNO(レグノ)」にニューモデルが登場した。REGNO GR-XⅡ(レグノ ジーアールクロスツー)だ。軽自動車用サイズから乗用車用20インチまで幅広いラインアップで登場した。ブリヂストンでは、タイヤに求められる性能を7つに大別し、その7つの性能が高い次元でバランスしているタイヤがレグノであると位置付けている。そして最もレグノの特徴的な性能は、静粛性にあり、その静粛性は摩耗しても性能をキープするというのが、今回の新商品レグノ GR-XⅡだ。

ブリヂストン REGNO GR-XⅡ(レグノ ジーアールクロスツー)グレートバランスタイヤ【試乗記】

テストは3種類

テストは3つのシチュエーションでレグノの特徴である「静粛性」の体験をすることができた。最初はクラウンをテスト車両に使い、後席でGR-XⅡの新品、60%の摩耗品、そして旧型となるGR-XⅠ(クロスワン)との静粛性の違いを聴き比べた。

REGNO GR-XⅡは摩耗しても静粛性をキープ
REGNO GR-XⅡは摩耗しても静粛性をキープ

テストは綺麗な舗装路を走行し、常用域よりやや低めの20〜30km/h。後席で耳を澄ます。新商品のGR-XⅡでは、新品と摩耗品の音の違いはわからないというのが結果で、XⅠとの違いでは、わずかに「シャー」という音が聞こえる違いがあった。

ブリヂストン REGNO GR-XⅡ(レグノ ジーアールクロスツー)グレートバランスタイヤ【試乗記】

この違いは50km/h以上になると、もっと明確な違いが出るというブリヂストンの説明だったが、新品時の静粛性の向上もしつつ、摩耗時でもその静粛性が維持されていることがわかった。

尖った入力になる凸凹をコース上に設置
尖った入力になる凸凹をコース上に設置

次にフィット・ハイブリッドが試験車で、標準装着されるタイヤと同等のエコピアを装着。それと新商品GR-XⅡ装着車との比較試乗だ。コースはパイロンを使った特設コースで大舵角になるところや、尖った入力がある場所、そしてスラーロムなど応答性をみるポイントなどを設定したコースだ。

エコピアと比較して、尖った入力はまろやかになり、大舵角の時に出る「ゴー」といった音が、出る、出ないという明確な差があった。また乗り心地が大きく異なり、ザラザラ感がなくなり、同じクルマなのに、ひとクラス上級のクルマに乗ったかのような上質感のある乗り心地に変わるのだ。

量産車両は、高級車に比べNVH性能レベルは高くないということも影響し、こうしたタイヤ性能の違いは簡単に差がつくものだというのを実感する。

クラウンで市街地走行テスト
クラウンで市街地走行テスト

3つ目のテストはメルセデス・ベンツのEクラスとクラウンにそれぞれ新商品のGR-XⅡを装着させ、市街地と高速道路を走行する試乗だ。

こちらはクルマ自体のNVH性能が高く、もともとが高級車であり静粛性も高いので、レグノの静粛性はさらに磨きがかかるように車内は静粛性が保たれていることを実感する。まさにブリヂストンのフラッグシップに相応しいタイヤだ。

ブリヂストン REGNO GR-XⅡ(レグノ ジーアールクロスツー)グレートバランスタイヤ【試乗記】

解析技術の進歩が生み出す性能

こうした摩耗しても静粛性が保たれる技術というのは、どうやって開発されるのか?もちろん、構造、コンパウンド、トレッドデザインに新技術が投入されているのは言うまでもないが、これまでわからなかったことが、さまざまな解析技術で明かされるようになったという背景がある。これは自動車メーカーでも同様のことが起きているが、ブリヂストンでは特に、「アルティメット アイ」の存在が大きいという。

アルティメットアイ

これは可視化技術の一つで、高速走行するタイヤの接地面がまるで静止画のように見ることができ、コーナリングなどタイヤが変形するGがかかった状況も含め、接地形状や力の分布がどのように変化するかなどがわかる装置だ。究極の目という意味を持つアルティメット アイは、世界でもブリヂストンだけの技術というのも大きなアドバンテージになっている。

磨耗すると現れる溝

さて、新商品のレグノGR-XⅡの開発は、冒頭触れた7つの性能を高次元でバランスさせているのがレグノ・ブランドだと説明した。その7つとは、直進安全性、ドライ、ウェット、快適性、静粛性、低燃費、耐摩耗性に分類している。そして中でもレグノは静粛性に特徴があるという位置付けを変えずに新商品が開発されたわけだ。

シークレットグルーブ

そして新しい付加価値として摩耗しても静粛性能を高次元でキープする「REGNO GR-XⅡ」が開発されたわけだ。

ブリヂストン REGNO GR-XⅡ(レグノ ジーアールクロスツー)グレートバランスタイヤ【試乗記】

構造の部分では「ノイズ吸収シートⅡ」という構造材を入れている。これは「ゴー」といった中・低周波音を抑制できる効果があり、構造材であるベルトの振動を抑え車内へのノイズを抑える効果があるものだ。

またトレッドデザインでは「シャー」といった高周波音を抑える工夫がある。これはパターンノイズを抑えるために形状を最適化した「ダブルブランチ型消音器」を搭載。そして共鳴周波数を分散させる目的の特別な形の溝をアウト側のショルダー部に配置するなどにより静粛性の向上をはかっている。

一方で新製品の特徴である摩耗したときの静粛性確保には、摩耗が進むと新たに溝が出現する「シークレットグルーブ」を開発した。これは消音器の効果を維持させるために開発されたグルーブで、継続的に高周波音を抑制できるようにしている。

運動性能

また、高いレベルの乗り心地や運動性能の向上には、接地形状をラウンド形状に変更している。こうすることで、突起を徐々に乗り上げることができるようになり、段差からの衝撃を吸収して乗り心地を確保することができている。また、左右非対称のトレッドデザインは、ブロック剛性を考慮したセンターリブで高い操縦安定性を確保している。

低燃費性能やウェット性能の点では、シリカ コンパウンドがポイントになるが、シリカを多く配合すればウェット性能が高まるものの転がり抵抗を悪化させることにもなるので、新しい配合の「低転がり抵抗特化型ポリマー」を適用し、シリカを超高分散化することに成功している。こうした技術で、転がり抵抗をAA、ウェットグリップBを獲得している。

性能検証

ブリヂストンの資料によると、これらの技術を投入することで旧型GR-XⅠと比較して、綺麗なアスファルト舗装路では、静粛性を5%、荒れたアスファルトでも5%低減でき、さらに60%摩耗した状態では17%静粛性が向上したという。そして転がり抵抗は14%低減でき、耐摩耗性は6%向上したというデータになったという。

総合的に性能向上が見られ、まさにグレートバランスなタイヤだ。その新商品「REGNO GR-XⅡ」は、14インチから20インチまでライアップしている。量産車に装着すれば車格が上がったようになり、高級車であれば、その静粛性に磨きがかかるタイヤということだ。そして「摩耗しても静か」という静粛性が長く続くというのが、今回のポイントとして印象に残るものだった。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

マニアック評価 vol.673

ブリヂストン 摩耗時も静粛性を実現する新レグノGR-XⅡ技術の秘密
ブリヂストン 関連記事

ブリヂストン公式サイト

COTY
ページのトップに戻る