2017年9月12日から開催されたフランクフルト・モーターショーで、ボッシュは新世代の効率向上と低コストを実現した電気自動車用のパワートレーン「e アクスル」を出展した。
今回登場した「e アクスル」の特長は、モーター、パワーエレクトロニクス、トランスミッションという3つのパワートレーン・コンポーネントを1つのコンパクトなユニットに統合し、ホイールををダイレクトに駆動させることだ。
このためパワートレーンの効率が向上するだけでなく、高圧ケーブルや冷却ユニットを削減できるなど低コスト化もつながっている。ボッシュ取締役会メンバーとしてモビリティ・ソリューションズセクターを統括するロルフ・ブーランダーは、「ボッシュがオールインワンという発想をパワートレーンに適用して生まれたのが、このe アクスルです」と説明する。
「e アクスル」はハイブリッド車、電気自動車、コンパクトカー、SUV、小型商用車にも搭載することができるフレキシビリティも備えており、幅広い市場が対象となっている。
この新しい電動パワートレーンは、2020年以降のeモビリティのグローバルマーケットリーダーとなる役割を果たすと期待されている。すでに世界中で、50万台を超えるボッシュ製のコンポーネントを搭載した電気自動車やハイブリッド車が走行しており、ボッシュは電気モーター、アクスルドライブやパワーエレクトロニクスの製造で長年の経験を蓄積している。
なおボッシュの電動アクスルは2012年から市場に投入され、プジョー3008やフィアット500eなどに使用されているが、そのシステムではモーターとトランスミッションは一体化されていたが、パワーエレクトロニクス(インバータ)は一体化していなかった。
2012年以来の経験、ノウハウがこが新開発の「e アクスル」に活かされており、これを採用することで、自動車メーカーは開発に要する時間を短縮できるため、電気自動車をより一層早く市場に投入できるようになる。もちろんボッシュは各自動車メーカーの要件に合わせてパワートレーンをカスタマイズできるので、自動車メーカーが新しいコンポーネントを開発するために多くの時間を投入しなくても済むのだ。
「e アクスル」は、フレキシブルにユニットを組み合わせることができ、さまざまなタイプの車両に適用できる。自動車メーカーは、要求出力とトルク、搭載要件を明確にすればボッシュはそのパラメーターを満足するレベルで、パワートレーンの最適化を実現する。これにより、カスタマイズされ、一体化したパワートレーン・コンポーネンツを自動車メーカーの組立ラインに直接納入できるわけだ。
「e アクスル」の最高出力は50kW(68ps)〜300kW(408ps)の間でカスタマイズでき、SUVなど大型の車両の完全電動化を可能にする能力を持ち、最大駆動トルクは1000〜6000Nmで、ハイブリッド車や電気自動車への搭載、前輪駆動、後輪駆動などに幅広く対応できる。
150kW(204ps)の「e アクスル」の重量は約90kgで、従来の個々のコンポーネントを組み合わせたものより軽量化されている。競合製品と比べて高いピーク性能と安定した連続性能を持つ。つまり「e アクスル」はより素早く加速し、より長い時間高速を維持できる。これを実現するために、ボッシュはシステムの一体化だけでなく、モーター、パワーエレクトロニクスそれぞれのコンポーネントの改良も行なっている。
「e アクスル」の試作品はすでに複数のメーカーのもとで評価を受けており、量産開始は2019年頃を予定している。