【ABB FIAフォーミュラEシーズン11】日産・ローランドがシリーズチャンピオンを獲得 第14戦はキャシディが予選20位からの優勝

ABB FIAフォーミュラEシーズン11の第14戦ドイツ・ベルリンでニッサンのオリバー・ローランドが4位に入り、シリーズチャンピオンを決定した。

第13戦終了時点で2位のパスカル・ヴェアライン(タグホイヤーポルシェ)に58点差以上つければチャンピオンが決定するレースが行なわれた。じつは、前日の第13戦でも87点差をつければチャンピオンが決まるタイミングでもあったが、ローランドは他車との接触があり、ノーポイントとなり、チャンピオンが先送りされていた。

そして第14戦ではライバルのヴェアラインがレース終盤に失速し、ノーポイントとなり、ローランドは4位フィニッシュしてチャンピオンを決定した。

ここ3戦のローランドはポイントが1点しか取れておらず、シーズン序盤の勢いは無くなっていたため、チャンピオンの決定がいつになるか気になる状況だったのだ。ましてこの第14戦では5グリッド降格のペナルティもあり、不利にも思えた。

予選ではグループAで走行し、ラスト1分で最後のアタックに入る直前、予選時間残り54秒でジェイク・ヒューズがクラッシュをして赤旗中断となった。その時点でローランドは5番手であり、上位4台が進出できるデュエルスへの出場権がなかったのだ。となると予選順は9位以下が確定し、さらに5グリッド降格があるので、14位以下が確定してしまう。

ところが、赤旗の原因をつくったヒューズのベストラップが抹消されたため、ローランドは4位に繰り上がり、デュエルスに進出できる幸運があった。ポールポジションを獲得すれば3ポイントが入り、チャンピオンシップを有利に運ぶことができるからだ。

一方ライバルのヴェアラインはグループBを走行し、トップタタイムを刻み、デュエルスに進出。もちろんポールポジションの3ポイントを狙っている。

そしてデュエルスでローランドは、QFでヴァンドーンを破りセミファイナルに進出。ジャカルタで優勝しているダン・ティクタムとあたり敗れている。ちなみに、ティクタムのクプラキロチームは、型落ちのポルシェPTを採用している。

そしてヴェアラインは順調に勝ち上がり、決勝でティクタムとあたり、見事撃破。ポールポジションを獲得し、3点を獲得した。チャンピオンシップポイントのギャップは47点に縮んだ。

さて、決勝レースではスローペースで始まり、コース幅が広いこともあり、接触もなくクリーンな展開で始まった。ベルリンのテンペルホフ飛行場跡での特設コースは前日とはかわり、ドライ路面で38周のレースが行なわれた。

序盤はいつものようにエネルギーマネージメントのため、ペースが遅く、トップを走るマシンも空気抵抗を意識してすぐにトップを譲るといった展開で、中盤まで展開。また綺麗なトレインレースのため、アタックモードを使うと順位が大きく落ちるため、使うタイミングが難しいようで、17周目までが誰もアタックしない珍しい展開だった。

そしてレース終盤に差し掛かると、レースが動きだす。途中セーフティカーの導入もあり2周ないし3周がアディショナルラップとして加算されることを想定してエネマネをしつつ順位争いをしていく。アタックモードを使うと350kWに出力が上がり、AWDにもなるため、明らかにコーナリングスピード、直線の速度、コーナー立ち上がりのパワーが異なり、いとも簡単にライバルを抜くことが可能になる。そのため、コーナーごとに順位が入れ変わる展開へと変化する。

残り10周あたりでローランドはトップに立つ場面もでてきて、上位での展開ができている。一方、ポールポジションからスタートしたヴェアラインは中盤までずっと1位、ないし2位のポジションでレースを引っ張っていたものの、終盤はドンと下位へ下がってしまうのだ。

それでも上位は2ワイド、3ワイドでコーナーに入る混戦状態だったが、なぜかヴェアラインは20位の最下位まで順位を落としていた。そこからアタックモードを使い順位を上げてくるものの11番手付近までで時間切れになる。するとマシンは300kWに戻るのだが、再び下位へ下がってしまうのだ。

どういったことがヴェアラインに起きていたのか不明だが、ローランドは4番手を走行してチェッカーを受け、ヴェアラインはノーポイントとなり、ローランドのチャンピオンが決定した。

ローランドコメント:「正直に言うと、レース前はロンドンであまりダメージを受けないようにとだけ考えていました!信じられない、言葉が出ません。信じられない気持ちです。安全策を取ろうとしていたのですが、皆があまりにもアグレッシブだったので、ある時点で全力で走り、動きに釘付けになってしまいました。幸いにもトラブルにはならず、本当に信じられない気持ちです。」

ところで、第14戦の展開では優勝が今季2勝目、ジャガーのニック・キャシディで予選20位からの優勝で、2位はアンドレッティのジェイク・デニスも16位からの表彰台。そして3位は18位からスタートしたDSペンスキーのジャン・エリック・ヴェルニューという結果であり、予選順位の持つ意味が小さいことを再び見せたレースでもあった。

やはり、レース序盤のエネマネ走行が必要という課題を解決し、エンターテイメントとしての興味が持てるレースへの転換を期待したいものだ。

そして残すはチームランキングでニッサンがポルシェを逆転できるのか? 残り2戦。7月27日(日)、28日(月)*日本時間のロンドン・ダブルヘッダーで決まる。

第14戦結果

PositionDriverTeamPoint
1ニック・キャシディジャガーTCS26pt
2ジェイク・デニスアンドレッティ18pt
3ジャン・エリック・ヴェルニューDSペンスキー15pt
4オリバー・ローランドニッサン12pt
ミッチ・エバンスジャガーTCS10pt
6テイラー・バーナードネオムマクラーレン8pt

シーズン11チームランキング

PositionTeamPoint
1タグホイヤーポルシェ228pt
2ニッサン205pt
3DSペンスキー168pt
4ジャガーTCS162pt
5ネオムマクラーレン143pt
6マヒンドラ142pt
7アンドレッティ125pt
8マセラティ90pt
9エンビジョン86
10クプラキロ82pt
11ローラヤマハアプト30pt

★第1戦 サンパウロ
★第2戦 メキシコシティ
★第3戦 ジェッダ
★第4戦 ジェッダ
★第5戦マイアミ
★第6戦、第7戦モナコ
★第8戦東京
★第9戦東京
★第10戦上海
★第11戦上海
★第12戦ジャカルタ
★第13戦ベルリン

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