【フォーミュラEシーズン10】第15戦 英国・ロンドン ポルシェ・ヴェアラインの勝利でチャンピオン争いはエバンス、キャシディの3人に絞られた


ABB FIA フォーミュラEシーズン10の大詰め、ラスト前の第15戦が英国ロンドンのエクセル展示会センターで開催された。

毎年行なわれる同会場は建物の中と外の両方を使うユニークなレイアウトで、フォーミュラEらしいコースとも言える場所。1周は2.080kmと短く、コース幅も狭い。そのためオーバーテイクが難しいレイアウトになっている。

さて、シーズン10も大詰めで、ここまでのシリーズポイントでチャンピオンの可能性を残しているのは上位7位まで。トップはジャガー・キャシディで167pt、2位と3位が同ポイントで、ジャガー・エバンスとポルシェ・ヴェアライン、4位ポルシェ・ダ・コスタ、5位日産・ローランド、6位DS・ヴェルニュー、7位アバランチ・デニスまでだ。

さてグループ予選A組にはチャンピオン候補のキャシディ、ヴェアライン、ローランド、デニスの4名がいる。通常12分間のグループ予選では6分間のうちに一度タイム計測をし、その後タイヤを交換してフルアタックという手順だが、この日は外が小雨で天気は回復傾向。小雨といってもセミウエット状態だった。さらに、このコースはエネルギーをセーブする割合が少なくて済むため、予選順位が重要にもなるという。

そのためか、各マシンはコースがドライアップするとタイムが著しく伸びるため、最初からタイムアタックをする展開になった。

その結果、タイヤ交換せずに走り続けたグループA予選ではヴェアライン、ブエミ、ローランド、フラインスが通過し、ランキングトップのキャシディが9位という結果になった。キャシディはチーム作戦でタイヤのクールダウンラップとアタックラップを交互に行なう他チームとは違う作戦をとり、2ラップ連続でタイムアタックをしている。そのためか、終了間際にはタイヤを使い切った様子でタイムを伸ばせなかったのだ。

グループB予選にはランキング2位のエバンスとヴェルニュー、ダ・コスタの3名がいる。グループBの予選ではすでに路面は渇き、いつもどおり、途中でタイヤ交換をして終了間際にタイムをする展開となった。

その結果、エバンス、ミュラー、ナトー、ヴェルニーが通過し、ダ・コスタはデュエルスに進出できなかった。また日産のサッシャは7位だった。

デュエルス予選

デュエルスではランキング3位で並ぶヴェアラインとエバンスはポールポジションの3ptが欲しいところ。最初のQFではローランド対ブエミでは、好調のブエミが勝ち上がり、フラインス対ヴェアラインでは、ここは順当にヴェアラインが勝ち上がった。

もうひとつのQFでは、ナトー対ミュラーはナトーが勝ち上がり、ヴェルニューとエバンスはこちらも順当にエバンスが勝ち上がっている。

セミ・ファイナルではブエミ対ヴェアラインで、なんとヴェアラインが敗れ3ポイントの権利を失った。そしてもう一方は、ナトー対エバンスはエバンスが勝ち上がり、デュエルス決勝ではシーズン9でのチームメイト、ブエミ対エバンスとなった。

勝ったのはエバンスで、3ポイントを獲得。その結、ランキングはジャガーのキャシディ167pt、同じくジャガーのエバンスが158ptでチームメイト同士で9pt差のチャンピオンシップ争いになった。またヴェアラインは変わらず155ptで、実質この3名でチャンピオンが決まる公算が高くなった。

決勝

決勝レースは37周、6分間のアタックモードを2回にわけて消化する必要があるのはこれまで通り。チャンピオン争いのマシンは、レースの混乱の中でいかに、マシンをぶつけず、ぶつけられず、そして壊さずに走るかが求められる。

スターティンググリッドはポールがエバンス、以下、ブエミ、ヴェアライン、ナトー、ヴェルニュー、ミュラーと続き、7番手からローランドが、そしてキャシディが17位からのスタートとなった。

オープニングラップでは早くもエンビジョン・フラインスとマクラーレン・バードが接触しコースを塞ぐ形になりセーフティカーが入る幕開けとなった。

5周目から再開したが、ローランドとダ・コスタが接触し、ともにダメージ負いチャンピオンシップポイントが厳しくなる状況となった。続く6周目にはヴェルニューがデニスと接触し、こちらも同じくポイント争いが厳しい状況になっていく。

9周目あたりでこのレースの争いはエバンスとヴェアラインに絞られていく気配で、チャンピオンシップを競うライバルはどんどんと接触をして順位を下げ、あるいはペナルティでタイム加算されていくため、上位フィニッシュが厳しい状況になってくる。13周目にはデニスに+15秒、ローランドに+5秒のペナルティとなった。

15周目になると一旦落ち着くことになるが、オープニングでSCが入ったことでエネルギーマネージメントが必要となり1分17秒台までレースタイムを落としての展開となった。この時キャシディはまだ14位にいる。キャシディはアタックモードを使うためにアクティベートゾーンへ飛び込むものの、センサーが反応しないのか、失敗する。そのため順位を少し落とすことになるが、これが3回も続いたため、キャシディは17位まで順位を落とすことになった。

22周目ヴェアラインがエバンスを抜いてトップに立つと、次の周ではファステストラップを刻む。アタックモードで失うタイムを稼ぐためにスピードアップをしているのだ。この作戦は見事にハマり、アクティベートゾーンを通過してもトップで戻れる展開となり、そのままトップをキープする。

そして27周目2回目のアタックモードを再び同じ作戦でエバンスにリードをつけてから飛び込み、そしてトップで戻る芸当を見せ、トップを死守した。その結果、29周目でエバンスに3.3秒のリードをつけながらエネルギー残量も+1%有利な状況になっていった。

しかし33周目に再びSCが入り、全車の差がなくなった。36周目、再スタートし、ヴェアライン、エバンス、ブエミという順は変わらず、キャシディは9位に浮上しポイント獲得圏内に入ってきた。

ファイナルラップ1周前にエバンスがファステストをマークし、貴重な1ポイントを獲得。そしてチェッカーはヴェアライン、エバンス、ブエミ、デ・フリース、モルタラ、ミュラーという順でキャシディは7位チェッカーとなった。

その結果チャンピオンシップのトップはヴェアラインが再びトップとなり、続いてエバンス、キャシディとなった。

さて、翌日のロンドンのエクセル展示会センターで最終戦が行なわれる。ここでチャンピオンが決定するが、チャンスは上位3人に絞られた。4位のダ・コスタは134ptで最大29ptを獲ったとしても163ptで3位のキャシディに届かないため、ヴェアラインか、エバンスか、はたまたキャシディかの3人の戦いとなったのだ。

シリーズチャンピオンシップ

positionDriverTeamPoint
1パスカル・ヴェアランTAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM180
2ミッチ・エバンスJAGUAR TCS RACING177
3ニック・キャシディJAGUAR TCS RACING173
4アントニオ・フェリックス・ダ・コスタTAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM134
5オリバー・ローランドNISSAN FORMULA E TEAM131
6ジャン・エリック・ヴェルニューDS PENSKE129
7ジェイク・デニスANDRETTI FORMULA E122

★第1戦 メキシコシティ
★第2戦 デルイーヤ
★第3戦 デルイーヤ
★第4戦 サンパウロ
★第5戦 東京
★第6戦 ミサノ
★第7戦 ミサノ
★第8戦モナコ

★第9戦ベルリン
★第10戦ベルリン
★第11戦上海
★第12戦上海
★第13戦アメリカ
★第14戦アメリカ
★第16戦ロンドン

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