【フォーミュラEシーズン10】第12戦中国・上海 後半好調のダ・コスタが今季2勝目を飾り、ヒューズ、ナトが初表彰台を獲得


ABB FIAフォーミュラE選手権シーズン10の第12戦は前日の第11戦につづいてのダブル・ヘッダー開催で、会場は上海サーキットをフォーミュラE用にショートカットしたパーマネントサーキットで開催された。

シーズンも終盤に向けチャンピオンシップが気になるタイミングだ。ここまでジャガーのニック・キャシディが155ptでトップに立ち、前日2位に入ったパスカル・ヴェアライン/ポルシェが142ptで追う展開。3位には日産のオリバー・ローランドが140ptで続き、ミッチ・エバンス/ジャガー、ジェイク・デニス/アンドレティ・ポルシェあたりまでがチャンピオンの可能性が大きい。

チャンピオンシップをリードするニック・キャシディ/ジャガーは予選5番手からのスタートになった

さて、グループ予選A組ではランキング3位のローランドがトップ通過をするものの、1分14秒629と前日より1秒以上遅いタイムだった。路面コンディションなのか、タイヤへの熱の入り方なのか、各マシンともタイムダウンしてのグループ予選だった。そのAグループからはヴァンドーン、キャシディ、デ・フリースが通過し、ランキング5位のデニスは敗退。また日産のサッシャ・フェネストラズも敗退している。

予選グループBではジェイク・ヒューズ/マクラーレン・日産がトップ通過で1分14秒308と、こちらはAグループより少し速いものの、やはり前日よりは遅いタイムだった。そしてダ・コスタ/ポルシェ、エバンス、ノーマン・ナト/アンドレッティ・ポルシェが通過。ランキング2位のヴェアライン、6位のヴェルニューが敗退している。

グループ予選の結果ではジャガーが2台通過し、日産パワートレインも2台通過した。迎えたデュエルスではチャンピオンシップをリードするキャシディがヴァンドーンに0.006秒差で破れ、ポールポジション3点の行方が気になる。そしてニック・デ・フリース/マヒンドラは初のデュエルス進出で、順々決勝でローランドを破る金星をあげた。

デュエルス準決勝では、そのデ・フリースとヴァンドーンとの対決で、彼らはシーズン7、8のシリーズチャンピオンであり、ともにメルセデスに所属したチームメイトだった。今はマヒンドラとDSペンスキーに別れたものの旧チームメイト対決であり、ヴァンドーンが勝利した。

そしてデュエルス決勝はそのヴァンドーンとヒューズの対決で、どちらもチャンピオンシップポイントでは大きく離されているため、キャシディやヴェアライン、ローランドといったドライバーには影響しない決勝対決となったが、なんど0.001秒差でヒューズがポールポジションを獲得するという超僅差の戦いを見せた。

Jake Hughes /ジェイク・ヒューズがヴァンドーンに0.001秒差でポールポジションを獲得。マクラーレン/日産

決勝

決勝レースは28ラップで、前日より1周少ない周回数で戦う。ポールはヒューズ、2位ヴァンドーン、以下、ダ・コスタ、デ・フリース、キャシディ、エバンスと続き、シリーズ2位のヴェアラインは13位から。そしてローランドは8位から、デニスも14位からのスタートだ。

予選順位はあまり関係しないレースではあるが、蓋を開けてみれば、前日よりラップタイムが速い展開で始まった。おおよそ1分15〜16秒台のペースで走り、予選の14秒台を考えれば余裕あるタイムで走行しているとは言えない。そのため大きく順位を落として電池残量温存作戦は有効なのか?微妙な展開だ。

前日とは異なり、レースラップは上がりトレイン状態が続く展開ではじまった

スタート2周目でローランドは8位から12位にまで下げている。ヴァーチャル・エンジニアによれば、スリップストリームを使うと1周で0.4%エネルギーを稼げるというデータがあり、16周目になると日産勢の2台は14位と15位に下げている。電池残量も上位チームと比較して+4%と大幅に電池を残していたのだ。

これは電池消耗の点からすれば、大成功だったが、レースペースは速く残り8周で勝負が始まった時には上位に這い上がれない状況になっていたのだ。そしてランキング2位のヴェアラインはパンクがあり、緊急ピットインをしタイヤ交換をしてピットアウトした。

チェッカーの瞬間。ダ・コスタが今季2勝目を挙げ、マクラーレン/日産のヒューズが2位、アンドレッティのナトが3位に入った

レースは、それまで常時上位にいたダ・コスタ、ナト、ヒューズが多少順位は入れ替わるものの常にトップ争いをし、ジャガーの2台も5位、6位をキープしている。また大きなクラッシュもなくSCは入らず、FCYもない展開のため、この上位陣が終始トップ争いを展開した結果、ダ・コスタが優勝し、2位ヒューズ、3位ナトとなった。

またジャガーの2台は4位にキャシディ、5位エバンスでポイントを稼ぎ、ローランドは10位までしか戻せず、1pt獲得にとどまった。そしてヴェアラインはノーポイントで再びキャシディがリードを広げる結果になった。ちなみにサッシャは14位フィニッシュだった。

わずか1周しか違わないレースなのに、展開ははがらりと変わり、エネルギーマネージメントも大きく影響することが見えたレースだった。この先もダブル・ヘッダーは続くが、いずれもレース1とレース2では全く異なる展開になることが予想されるわけだ。

(中)優勝のダ・コスタ、(左)2位ヒューズ、(右)3位ナト

次戦はアメリカ・ポートランドで6月29日(土)、30日(日)にダブル・ヘッダーで開催される。チャンピオンシップもいよいよ大詰めを迎えるので楽しみに待ちたい。

結果

順位DriverTeam
1アントニオ・フェリックス・ダ・コスタTAG HEUER PORSCHE FORMULA E TEAM
2ジェイク・ヒューズNEOM MCLAREN FORMULA E TEAM
3ノーマン・ナトANDRETTI FORMULA E
4ニック・キャシディJAGUAR TCS RACING
5ミッチ・エバンスJAGUAR TCS RACING
6ストフォル・ヴァンドーンDS PENSKE

ドライバー・シリーズランキング

12戦終了時点DriverPoint
1NICK CASSIDY /ニック・キャシディ167pt
2PASCAL WEHRLEIN /パスカル・ヴェアライン142pt
3MITCH EVANS /ミッチ・エバンス132pt
4OLIVER ROWLAND /オリバー・ローランド131pt
5JAKE DENNIS /ジェイク・デニス113pt
6JEAN-ÉRIC VERGNE /ジャン・エリック・ヴェルニュ101pt
7ANTÓNIO FÉLIX DA COSTA /アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ84pt
8MAXIMILIAN GÜNTHER /マキシミリアン・ギュンター69pt
9STOFFEL VANDOORNE /ストフェル・ヴァンドーン53pt
10JAKE DENNIS /ジェイク・デニス46pt

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★第7戦 ミサノ
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★第10戦ベルリン
★第11戦上海

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