グループPSAジャパンは2020年7月2日、ブジョーの新型Bセグメント コンパクトカー「208」の発売を開始しました。新型208は、パワーofチョイスの戦略のもとで、ガソリンエンジン搭載モデルと電気自動車の「e-208」をラインアップし、Bセグメントの頂点を目指した注目のニューモデルです。
新型208登場のバックグラウンド
新型208シリーズは、2020年3月に並み居るライバルを押しのけて、ヨーロッパ カー オブザ イヤーを獲得しています。開発のキーワードは「未来志向と若々しさの両立」で、ライバルが多いBセグメント ハッチバックの中で、クルマを所有する喜びや、走る喜び、そして若々しさを前面に打ち出したコンパクト ハッチバックです。
PSAグループの戦略により、企画段階から電気自動車、内燃エンジン車を両立させる「CMP(Common Modular Platform) 」を採用し、このプラットフォームは電気自動車と内燃エンジン車が完全に両立できるように設計されているのが特長です。
CMPは、軽量化(対PF1プラットフォーム比で30kgの軽量化)、改良されたエアロダイナミクス(フラットなフロアパン、電子制御エアインテーク)、転がり抵抗の削減(駆動系、サスペンションなどのフリクションの低減)、パワートレーンの最適化(燃焼圧力の向上、ダウンサイジング、フリクションの低減、トランスミッションのレシオカバレッジの拡大、アイドリングストップの標準化)を実現。
トータルコストでリージョナルを考える
またCMPにより乗り心地や快適性の向上、安全性能向上も果たしています。さらに最新の電子プラットフォームを採用し、i-コクピットはホログラムを使用した3Dヘッドアップディスプレイを、上級クラスと同等の運転支援システムも一挙に導入し、このセグメントの常識を打破する装備レベルにしています。
e-208と呼ばれるEVモデルは、PSAグループの戦略の象徴的存在で、グループ内で「DS3」、「シトロエンC4」、「オペル コルサe」と駆動用モーター、バッテリー、パワーコントロールユニットなどコンポーネンツを共有することで、EVとして十分な性能を持ちながら、コストを低減し、低価格としたことで高い競争力を持っており、競合車にとっては脅威となるでしょう。
そしてプジョーは、内燃エンジン車とEVは対等な存在とし、機能、装備、スペースなどクルマの基本要素を同等とした上で、ユーザーのライフスタイル、使用状況、好みなどに応じて自由に選択できるようにしています。
そのため、従来の一般的なイメージであるガソリン車が普通のクルマ、EVは高価格という常識を破り、実際に購入し、日々の生活を共にするなかで月々の所有コスト+運用コストを同等にするTCO(Total Cost of Ownership)コンセプトを提唱しています。いうまでもなくe-208はランニングコストに関しては圧倒的にガソリンエンジン車を上回るということです。
新型208(ガソリンモデル)
新型208のボディサイズは全長4095mm、全幅1745mm、全高1445/1465mm、ホイールベース2540mmで、ほぼフォルクスワーゲン ポロと同等で、まさにBセグメント ハッチバックのスタンダードなサイズになっています。従来型208との比較では、サイズは全長で+120mm、全幅で+5mm、全高で−25mmとなっています。
グレードは、エントリーモデルのスタイル、ミドルグレードのアリュール、最上級がGTラインです。
搭載されるエンジンはダウンサイジング コンセプトのピュアテック 1.2L 3気筒ターボの最新の改良バージョンを搭載。より低振動、低騒音、燃費の低減などに加え、最新の排ガス基準をクリアするためにガソリン粒子フィルター(GPF)も装備しています。
最高出力100ps、最大トルク205Nmを発生。クラストップレベルのトルクを発生。またトランスミッションはこのクラスでは異例のバイ ワイヤー式シフトの8速AT(EAT8)を組み合わせ、JC08モード燃費で19.5km/Lとしています。
また新型208は、CMPをベースにしたシャシーにより、ダイナミックでスポーティなハンドリングに加え、スムーズでフリクション感の少ない乗り味を実現しています。サスペンション形式は、これもプジョー伝統のフロントがストラット、リヤはトーションビームアクスルの組み合わせです。一方、e-208はバッテリーの重量増に対応すべく、リヤのトーションビームにパナールロッドを追加しています。
電気自動車 e-208
電気自動車 e-208 は、CMPのメリットを活かしバッテリーをフロントシート下側、センタートンネル部、リヤシート下側に搭載し、そのためラゲッジスペースや居住スペースはガソリンモデルと同等になっています。
駆動モーターは最高出力136ps、最大トルク260Nm、そして搭載するバッテリー容量は50kwhで、ひとつ上のセグメントの日産リーフ(標準モデル)の40kWhを上回る大容量なものとなっています。ちなみにヨーロッパで競合する電気自動車専用モデルのルノー ゾエは52kWhのバッテリー容量です。
50kWhのバッテリーは液冷ヒートポンプで充放電時のバッテリー温度の管理と最適化を図っています。バッテリーパックは一個当たり約13.1kgのモジュールを18個組み合わせ、総体積は約220Lです。
ドライブモードは、ECO、ノーマル、スポーツの3種類から選択でき、ECOでは82ps/180Nmの出力に、ノーマルでは109ps/220Nmと出力が切り替わります。スポーツモードでの最高速は150km/hです。さらに回生ブレーキのモードはD、Bの2モードで、Dはガソリンエンジンのエンジンブレーキと同等レベル、Bは強力な回生ブレーキ力が得られます。
自然吸気ガソリンエンジンで、2.5Lクラスに匹敵する最大トルク260Nmをゼロ回転から発生させ、瞬時の応答性を発揮するこで俊敏なドライビングを楽しむことができます。
また航続距離はヨーロッパのWLTPモードで340kmとされ、より低速な日本のWLTCモードではもう少し長い航続距離となりそうです。
充電は200V普通充電、CHAdeMO急速充電に対応。200V/3kWの普通充電は50km走行分を充電するのに4時間弱、200V/6kWのウォールボックス充電では50km走行分を2時間弱で充電できます。
e-208のグレード展開はアリュールとGTラインの2種類です。
デザイン
エクステリアは、これまでよりも低くワイドで伸びやか。すっきりとして張りのある面がスポーティさを感じさせ、また、スタンスが広くワイドなフェンダーにより力強さと優しさの絶妙なバランスとなっています。
ボディフォルムのバランスが巧みで伸びやかなため、一目見るとひとクラス上のクルマに見えるほどです。
最上級のGTラインはグロスブラックのホイールアーチを備え、伸びやかなボディと対称的にさらにタイヤを大きくワイドに見せています。この仕様では17インチホイールを採用しており、スポークの間に樹脂のブレードのインサート軽量ホイールを装備しています。
e-208はボディカラーに合わせて塗装されたラジエターグリル、ライオンマークの色調が見る角度によって変化するダイクロイックライオン、リヤハッチのe-208バッジとCピラー部分のeマークによりエクステリアの区別をしています。
インテリアも新型208のトピックで、クラスの常識を上回る高い質感とデザイン性を備えています。
メーターパネルは、従来からのi-コクピットをさらに進化させ、ホログラム技術を使用し3次元表示となった3D i-コクピット(スタイル グレードは除く)を採用。3次元表示によりデータの重要度や緊急度に応じて、ダイナミックで奥行き感を演出しながら情報が変化して表示されます。
手前の一層目には主に重要かつ安全に関する情報、二層目にはそれらに準ずる情報を表示。この3Dの表示によりドライバーは各種の情報に対して約0.5秒ほどの反応時間を短縮する効果があります。
操作ゾーンとなるステアリングホイールの横から下のエリアは、物理的なスイッチを配しています。すべての素材は手触り良く、各パッド、パーツのクリアランスは今まで以上に詰められ、精緻な仕上げとなっており、ダッシュボードは508同様ソフトバッドが、中央部にはカーボン風のトリム仕上げです。
シートは、GTラインにはホールド性の高いダイナミックシートを装備。シート素材にアルカンターラ/テップレザーを採用し、モダンなデザインと質感を両立。アリュールには長時間ドライブでも疲れにくいコンフォートシートを設定。ファブリック/テップレザーのカジュアルな雰囲気の表皮となっています。
インフォテイメントは、Apple CarPlay、Android Autoに対応するスマートフォン接続機能を持ち、対応ナビゲーション/マップアプリやオーディオアプリを直感的に使用できます。
運転支援システム
208は先進運転支援機能(ADAS)と安全性に関して充実させており、フラッグシップ508に肉薄し、Bセグメントの常識を書き換える機能を備えています。さらに基本機能は全グレードに標準搭載されているのも特筆点です。
アクティブセーフティ ブレーキは自動車、2輪車、歩行者などの夜間検知に対応しています(スタイル グレードは2輪車および夜間検知機能なし)。
全車速追従式のアクティブクルーズコントロールは、前車が完全停止したのち、3秒以内に再発進すればアクセル操作無しで追従します。3秒以上経過した場合はワンアクションで設定速度まで回復できます。
渋滞時の加減速にも対応しています。(GTライン、アリュールのみ)またレーンポジショニングアシストにより、左右の車線の任意の左右位置(無段階)をドライバーが選び、その白線から一定の距離を保ったまま走行できるのも大きな特長です。
その他にアクティブ ブラインドスポットモニターシステム、インテリジェント ハイビーム、道路標識表示、ソナー/ワイドバックアイカメラも装備しています。