メルセデス・ベンツEクラスラインアップ試乗記

2020年9月にメルセデス・ベンツEクラスのセダン、ステーションワゴン、オールテレインがビッグマイナーチェンジをし、翌10月にカブリオレ、クーペもビッグマイナーをした。その新型Eクラスに一気乗りをしてきたので、お伝えしよう。

このビッグマイナーで変更されたポイントはエクステリアを始め、パワートレーン、新世代ステアリング、MBUX、安全運転システムなどで、その詳細は既報している。今回は実際に試乗してみての使い勝手などを中心にお伝えしたい。

試乗できたモデルとパワートレーンは、E300カブリオレ スポーツとE300クーペ スポーツで、こちらは2台とも2.0LツインスクロールターボのM264型に9速ATを組み合わせたモデル。そして、E200ステーションワゴン スポーツとE200スポーツ(セダン)はともに1.5Lターボで排気量違いのM264型エンジンに9速ATを搭載。さらにベルドドライブのスターター&ジェネレーターを組み合わせた48VマイルドハイブリッドのBSG搭載タイプという2タイプのパワートレーンだった。

Eクラスのカブリオレに2.0Lターボ+9速ATを搭載

他にもこのビッグマイナーチェンジで3.0L直列6気筒のM256型ISGをE450に搭載したモデルや、ディーゼル、ディーゼルハイブリッドモデルなどがラインアップに加わっている。詳細は既報で、こちらの記事を参考にしてほしい


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ARナビ

今回のビッグマイナーチェンジで、エクステリアのデザインチェンジもあるが、注目したいのは新世代ステアリングとAR(拡張現実:Augmented Reality)を使ったナビゲーションだ。

ナビ画面上にリアルな映像が表示され、かつ進行方向が表示されるのでわかりやすい

従来のナビ案内では、地図上に進む方向が矢印で示されていただけだったが、ARによってリアルな映像がナビ画面上に映し出される上に、進む方向の矢印が表示されるようになった。

複雑な地形の交差点など、地図上ではいまいちわかりにくかったシーンでもリアルな映像が映し出されるだけで理解度は上がり、瞬時に曲がる方向をミスなくクリアできるというわけだ。

そうしたナビの操作や音声ボリュームなどが、ステアリング上で滑らかに操作できるようにも変更されている。新世代ステアリングと呼ばれ、以前からステアリングで操作はできているが、表面がフラットになり、スワイプの動きができるように変更されている。

新世代ステアリングはスワイプ操作ができるように進化している

また、ADAS機能で車線維持機能などが稼働しているとき、ステアリングに軽く触れているだけだと、ハンドルを保持するようなワーニングが出ていたが、静電式を採用することで、こうした検知エラーがなくなっている。

さらに進化するMBUXは、自然対話式音声認識機能を搭載し会話形式で操作できる進化もしている。そして乗員が操作パネルに触れるとドライバーか助手席かを自動認識して、表示する項目を変えるMBUXインテリアアシスタントも備えている。

液晶モニターが一列に横長にレイアウト。視線移動が少なくてよい

ADASの進化

今回の試乗は一般道と高速道の試乗で、ADAS高度運転支援システムをたっぷりと試すまではできなかったが、それでも十分レベルの高さを感じる試乗体験はできた。例えばレーンキープで車線内を左右にふらつくこともないし、先行車への追従でもほぼ、同時の感覚でブレーキがかかるので、不安がない。また減速Gも想定しているGとほぼ同等のため、安心してシステム任せにできるなどを感じる。

さらにウインカーを出してレーンチェンジのサポートも行なうので、長距離の運転疲労軽減には役立つだろうという印象だった。

エンジンでは、Eクラスも1.5Lになるのか。という感想を持ったが、走行してみれば何も問題なく、不満なく走れてしまう。さらに試乗車はBSG(ベルトドライブ スタータージェネレーター)を備え、アイドルストップからの再始動はこのベルトでクランスシャフトを回して始動するため、とても静かに再始動する。

1.5Lターボで満足していると、2.0Lターボはよりパワフルに感じてくるから不思議なものでEクラスで2.0Lでは乏しいという固定概念すら覆されていく。もはや排気量で判断するものではなく、出力で判断するというのが正解だ。

その出力を見ると1.5Lターボ+BSGは135kW(184ps)/280Nmあり、BSGは38Nmのトルクをプラスする。2.0Lターボはモーターアシストはないものの190ps/370Nmという出力をもち、日常使い、長距離高速移動でも不満なく走れることは想像できよう。

そしてセダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレと試乗した中で、もちろん、さらなるハイパフォーマンスパワーユニットは搭載しているモデルもある。だが、この環境性能を訴えている時代に、排気量が大きい大パワー車に乗ることに少し抵抗が出てきていることはあるだろう。メルセデス・ベンツのラインアップではそうした大パワー大排気量車にもモーターを搭載したマイルドハイブリッドやプラグインハイブリッドなどのシステムを搭載し、環境に配慮したラインアップをしているのだ。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>


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COTY
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