【アルファロメオ】ジュリエッタ試乗記 コンペティツィオーネ アルファロメオのDNAに浸る

マニアック評価vol129
2012年初頭、国内導入されたジュリエッタ。半年以上がたち改めて広報車両を借りてその乗り味や使い勝手を見てみた。モデルはコンペティツィオーネで、3モデルある中の中間グレード。

トップモデルがクアドリフォリオベルデで1750cc+直噴ターボ+6MTで388万円、コンペティツィオーネとスプリントは1.4Lマルチエアエンジンに6速TCTを搭載し、コンペティツィオーネが358万円、スプリントが318万円というモデル構成になっている。

ジュリエッタはCセグメントのベンチマークとされているフォルクスワーゲン・ゴルフをライバルと公言し、ゴルフを超える魅力を持つモデルとして投入されている。そのため、誰でも安心してドライブでき、日常使いも、ロングドライブも快適にこなすことが要求されるわけだ。もちろん、現代のモデルだけにトラブルが出るはずもなく、どのレベルで満足度を得られるのか?ということになるのだろう。

エンジンとミッションは革新的なユニットが搭載されているのはご存知の通りで、1.4Lのマルチエアエンジンだ。このエンジンの仕組みなど詳しくは既報している「フィアット社のツインエア・エンジンの開発と今後のロードマップ」という記事を参考にして欲しい。また、アルファTCTについては「小型車から中型用乾式デュアルクラッチをFPTが量産体制に」という記事を読んで欲しい。

シフトノブ右上にあるスイッチでダイナミック、ノーマル、オールウエザーの3モードの切り替えが可能

さて、その革新的なパワーユニットがジュリエッタ・コンペティツィオーネの心臓部になるが、アルファDNAと呼ぶ制御システムにもひと工夫ある。ダイナミック、ノーマル、オールウエザーの3モードで、エンジン出力、変速タイミングをコントロールする制御システムだ。

もちろん、元気に走るのはD=ダイナミックモードだが、市街地でDモードを選択すると少し過激になる。これは、シフトアップのタイミングが高回転まで引っ張るセッティングになり、また、回転を高回転で維持しようともするので、信号ダッシュまではいいが、その後もギヤは低いままで高回転が維持される。もちろんパドルシフトがあるので、自分でシフトアップすれば済むことではあるが、このあたりは使う場所を選ぶことになるだろう。

ではNモードではどうかというと、いわゆるエコモードに相当するモードであるため、出力も抑えられ穏やかな反応に変化する。だから、アクセルを踏んで強めの加速を求めても、レスポンスにタイムラグができてしまう。クルージング走行にはベストマッチするものの、都会での走行ではもう少しレスポンスを求めたくなる。つまりDでは過激でNでは鈍いというフィールを持ち、ちょうどその中間の制御モードが欲しくなる。

Dモード時、エンジンのトルクやパワーなど170ps/5500rpmで最大出力250Nm/2500rpmで最大トルクを発揮するので、出力的には十分なパワー&トルクがあると言える。が、先の理由から使いやすさというポイントでは、パワーユニット単体ではなく制御に対してリクエストがあるといったところだ。

また、アルファTCTでも、ツインクラッチのもっとも苦手とするのはゴーストップの半クラッチ状況。ここも言ってみればハードではなく制御の世界で、ATのようななめらかさを求める日本人には、ATとは違うフィーリングを感じることになる。

東京の都心のようなクルマにとってゴーストップという過酷な運転使用下では、少しのギクシャク感は否めなかった。しかし、走行シチュエーションが箱根のようなワインディンになると一変する。Dモードの制御を遺憾なく発揮でき、その魅力が堪能できる。それはイタリア車らしいのか、アルファらしいのか、エモーショナルで官能的な走りを見せてくれる。これこそジュリエッタと言いたくなる。

新しい「コンパクト」プラットフォームに新設計のボディは超高張力鋼板の占める割合が84%で、ホットプレスも7%という高剛性のジュリエッタは、しっかり感と剛性感を肌で感じられ、見た目でもBピラーの太さなど安心感が沸いてくる。もちろん、欧州のモデルだけに直進性はしっかり強く、落ち着いたハンドリングを味わえる。

車内に乗り込んだときに感じる、ボディのしっかり感はゴルフと同等以上の雰囲気がある。しっかりしたボディがあるからこそ、ハンドリングにも好影響で、走りだしから高速領域までどっしりとした安心感が得られる。ステアリングはZF社製のデュアルピニオンギヤ式電動パワーステアリングを採用し、路面からのインフォメーションもあり手応えも感じられる。アジリティを追求した味付けで、意のままに操るたのしさが存分に味わえた。

ブレーキはブレンボの4ポッドキャリパーを装備し、アルファレッドに塗られたブレーキは安定した制動力を発揮し、ボディがいいからブレーキングも安心して強く踏むことができる。見た目にもアルファレッドに塗られたキャリパーはその気にさせるに十分な演出といえよう。

インテリアの質感も高い。シートの質感、デザイン、すわり心地、メーター類のデザイン、ダッシュボード、スイッチ類のデザインなど、明らかにライバル・ゴルフに差をつけている部分だ。

エクステリアでもアルミ風のドアミラーやドアハンドルなど、手の込んだ細工がしてありオシャレだ。もちろん、複雑な面構成を持つボディもプレス技術の高さを証明している。

ゴルフイーターとして登場したジュリエッタは、細かな詰めの部分でゴルフに差をつけられるものの、見た目やエモーショナルな部分では逆に軍配が上がる。なんともイタリアを象徴するような印象だが、それが個性にも繋がっているわけだ。それでもフラットライドな乗り味と官能的なドライビングフィールがミックスされたジュリエッタは、アルファロメオのDNAを持つ魅力たっぷりなモデルと言えよう。

 

 

アルファロメオ ジュリエッタ 公式サイト

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