トヨタ 本格スポーツモデル「GRヤリス」を正式発売

トヨタは2020年9月4日、注目のニューモデル「GRヤリス」を正式に発売しました。モータースポーツ用のベースとなる「GRヤリス」は、1月に開催された東京オートサロン2020で発表され、特別仕様車「RZファーストエディション」と「RZハイパフォーマンス ファーストエディション」を1月10日から6月30日の期間で先行受注予約を受け付けていました。そして予告通り、正式発売を迎えました。

GRヤリスのコンセプトは、空力、軽量、高剛性を追求したパッケージ、新開発のモータースポーツ用1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジンと新開発スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を組み合わせたパワートレーンです。ラインアップはベースモデルになる「RZ」、走りを気軽に楽しめる「RS」(1.5L FF)、競技ベース用の「RC」といった3種類のモデル構成となっています。

RZ用パワートレーンとシャシー

RZ用のエンジンは、WRCでの使用を前提とした新開発の小型軽量ハイパワー1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジン「G16E-GTS」を搭載。出力は272ps/370Nmを発生。WRCでは380psまでパワーアップされます。

WRCで使用することを前提に開発された専用エンジンG16E-GTS型エンジン

また「RZハイパフォーマンス」には、冷却スプレー機能付空冷インタークーラーが標準装備されます。

スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」

4WDシステムは、電子制御油圧多板クラッチによる前後駆動力可変システムの新開発スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」を採用。RZハイパフォーマンスには、前後のデファレンシャルにトルセンLSDを標準装備しています。

シンプルな多板クラッチを利用し滑り制御により可変トルク配分を実現

なお4WDシステムの「GR-FOUR」はジェイテクト製で、リヤアクスルの直前に電子制御油圧多板クラッチ配置し、ノーマルモードで60:40、スポーツモードで30:70、トラックモードで50:50のトルク配分としています。

センターデフを装備していないのに前後トルク配分を大きく変えることのできる秘密は、前後のデフの減速比を変えているからです。フロントデフは1~4速が3.941、5~6速、後退は3.350であるのに対し、リヤデフは2.277になっています。

このような前後の減速比で油圧多板クラッチを完全に締結してしまうと、前後輪で回転差が生じますが、それを逆手にとって多板クラッチをスリップ状態で使うことでトルク配分効果を生み出すという、ある意味シンプルなシステムです。もちろん多板クラッチのスリップ状態によって、モード設定していますす。

フロントはストラット式、リヤは標準ヤリスとは異なりダブルウイッシュボーン式を採用

RZに採用されている6速MTは自動ブリッピングを行なうiMTを採用しています。

軽量化されたボディ
カーボン製のルーフパネル

なおRCグレードは、RZをベースに、走りに必要な装備以外を極力排除したラリーなどのベースモデルです。1.6L直列3気筒インタークーラーターボエンジン「G16E-GTS」、スポーツ4WDシステムなどはRZと同様で、装備を省略し軽量化したモデルとなっています。

17インチ用ブレーキ(上)とRCの16インチ用ブレーキ

そのためブレーキもラリー用の小径タイヤの装着を考慮した16インチサイズのベンチレーテッドディスクブレーキを装備しています。

RZハイパフォーマンスのインテリア

CVT搭載のRS

FF駆動のRSは、市販ヤリスと同様の直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン「M15A-FKS」型を搭載し、出力は120ps/145Nm。もちろんレギュラーガソリン仕様となっています。

FF駆動、1.5LエンジンにダイレクトシフトCVTを搭載するRS

CVTは発進ギヤを装備するダイレクトシフトCVTを採用。マニュアル感覚の10速シーケンシャルシフトマチックのパドルシフトを装備しています。

ベースのヤリスと同様のM15A-FKS型エンジンがRSに搭載

RZと同様のボディを備えていますが、RSは日常でも気軽に使用できるパフォーマンスとなっているのが特長です。

GRヤリスのバックグラウンド

GRヤリスは、世界ラリー選手権(WRC)に出場する「WRカー」規則に合わせたモータースポーツ用のクルマです。WRカーのためのホモロゲーション(FIA認証)車両は、年間2万5000台以上販売される量産モデル(ヤリス)をベースにした車両で、2500台以上の生産実績が要求されます。

本来はWRC出場マシンを製作するためのベースモデル

そのため、まさにWRCのために設定されたスポーツモデルで、ヤリスの車名を使用しているとはいえ、エンジンもボディもすべて専用に製作されています。元町工場に、専用の「GR FACTORY」を新設し、ハンドメイドを交えた少量生産モデルとなっています。

GRヤリスのモータースポーツ初参戦は9月5~6日に富士スピードウェイで開催されたピレリ24時間耐久レース。ドライバーにはモリゾーこと豊田章男社長も

GRヤリスはWRCで競争力あるクルマづくりであることはもちろん、開発初期からの社外プロドライバーによる評価を受け、世界のあらゆる道で、思い通りに操れ「誰もが安心して意のままに運転できる」スポーツモデルとされています。

RZ ハイパフォーマンス

また同時に、トヨタの手で開発したトヨタ初のスポーツモデルでもあり、WRCのベースカーとしてはセリカGT-Four以来のモデルとなります。

モータースポーツベース仕様のRC
ベースのヤリスと同様のM15A-FKS型エンジンがRSに搭載

GRヤリス 諸元表

価格

オンラインイベント「GR YARIS ONLINE FES」を9月16日に開催

GRヤリスの発売を記念し、GAZOOレーシングは、9月16日(水曜日)19:30から、ファンのためにGRヤリスを披露するオンラインイベント「GR YARIS ONLINE FES」が開催されます。

イベントでは、GRヤリスの開発に込めた想いや開発ヒストリー、さらにGR FACTORYなどが紹介される予定です。そのほか、マスタードライバー「モリゾウ」こと豊田章男社長が運転するGRヤリスの走りを、スマートフォン、または簡易VRゴーグルでVR体験できるコンテンツも含まれています。

発売記念オンラインイベント「GR YARIS ONLINE FES」
日時:9月16日(水)19:30-21:00(予定)
配信:https://www.youtube.com/c/TOYOTAGAZOORacingJPchannel
構成:第1部 ファンイベント(19:30-20:05)、第2部 GRヤリス オンラインQ&A(20:15-21:00)
詳細:https://toyotagazooracing.com/jp/gr/yaris

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