トヨタGAZOOレーシング 進化したGRカローラ改良版を3月に発売。GR-DAT搭載モデルもラインアップ

トヨタGAZOOレーシングは2025年2月4日、モータースポーツ参戦による知見をフィードバックし、改良を受けたGRカローラを発表した。正式発売は3月3日から。なお、このモデルは2024年8月にアメリカで発表された改良モデルの日本仕様である。

今回の改良されたGRカローラは、スーパー耐久シリーズなどのモータースポーツに参戦する中で得た知見を生かし、高速コーナーでの旋回性能、加速性能や冷却性能などを改良したほか、進化型GRヤリスにも採用した新開発8速ATのGAZOOレーシング・ダイレクトシフト・トランスミッション(GR-DAT)を追加設定している。

また、よりスポーティで上質感のある内装にこだわったSPORT Packageをメーカーパッケージオプション設定している。

SPORT Package

さらに公道では味わえない走りが実現する「サーキットモード」を設定。サーキットモードは、国内のサービス対象サーキット・施設において、アンチラグ制御の追加やスピードリミッター上限速度の引き上げなど、クルマのポテンシャルを引き出す機能が有効となるサービスだ。

GPSによる位置判定および専用アプリ上での操作により、シフトタイミングやエンジン回転数を直感的に示す専用メーター表示に切り替わり、サーキットモードが利用可能となる。

主な改良は、コーナリング性能では、前後ダンパー内にリバウンド側で作動するスプリングを内蔵し、旋回時の車両姿勢と内輪の接地荷重特性を改善することで、旋回中の車両安定性を向上させている。

また、リヤアクスルの回転中心であるトレーリングアーム取付点の位置を高めることで加速時のリヤの沈み込みを低減。アクセル操作に対する車両姿勢変化を抑えることで、駆動力の応答性を向上させるとともに安定した姿勢でのコーナーリングを実現している。同時に、リヤのコイルスプリングとスタビライザーのばね特性を見直し、それぞれのロール剛性の分担率を最適化することで、旋回時のリヤタイヤの接地性を向上させ、車両コントロール性を高めている。

シャシーでは、ステアリングコラムとインストルメントパネル・リインフォースメントの締結部に締結剛性の高い溝付ワッシャーボルトを採用。直進安定性とステアリング操作に対するダイレクト感を向上している。

また、シャシー部品の締結ボルトの一部に締結剛性の高い特別なボルトを採用。ロワアームとロワボールジョイントの締結部はステアリング操作に対する応答性を、リヤダンパーとボディの締結部はステアリング操作に対するリヤのグリップ感を向上させる効果を引き出している。

エンジンでは、スポーツ走行でのエンジン使用領域を分析し、コーナーでの立ち上がり加速に重要な中速域でのエンジントルクを現行エンジンに対して30Nm増加させ、最大トルクを400Nmまでアップさせている。

MT車では、クラッチシステムのトータルレバー比やクラッチカバー、ターンオーバースプリングの荷重特性を最適化することで、クラッチペダルの操作性を向上。ピーク踏力を高めに設定し、踏みごたえのあるペダル操作フィーリングと、ピーク踏力以降は、ペダルストロークでの踏力を減少させることでペダルの踏み切り感を向上。さらにスポーティな操作感となるようにクラッチ特性を最適化し、戻し側の荷重増加による足への追従性、半クラッチストロークの短縮による操作性を向上させている。

そして、GRヤリスでも採用している世界トップレベルの変速スピードを目指した、新開発8速ATのGR-DATを設定。従来は減速度や車両速度などの車両状態に基づき変速させていたところを、よりドライバーの意図を反映するために、ブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作まで細かくモニタリングすることで、運転状況を先読みし、プロドライバーによるシフト操作と同じようなタイミングでのギヤ選択を実現している。

また、GR-DAT搭載車はエンジン始動時の暖気促進も兼ねる水冷式ATFウォーマー&クーラーに加え、空冷式ATFクーラーを標準装備。スポーツ走行を考慮して、エンジン冷却を強化するためにサブラジエーターを上級グレードに設定している。

空冷式ATFクーラー前のロワグリルに冷却用の開口を設定。フロントバンパー側面のサイドダクトに空気の排出用開口部を設けることで、冷却用の空気をスムーズに排出できる構造としている。

ブレーキ冷却では、新たにブレーキダクトを採用。フロントブレーキローターに直接風を導いて冷却効果を向上することで、ブレーキ温度の上昇を抑制している。

ブレーキは、限界領域でのABS特性を改良。上下Gセンサーにより、ABS作動輪の接地荷重をモニタリングすることでABS作動時の安定した制動力を実現している。

なお空力面では、バンパーコーナー部へ安定的に小さな乱気流を発生させる小さな段差を設定し、バンパーコーナー部からの空気の剥離を抑制。冷却性能強化のため必要な各機構を追加しつつ、操縦安定性を確保している。

今回の改良版の発売と同時に、すでにGRカローラを購入したユーザーにも、進化型GRカローラの部品を購入・装着することで、進化版に近い性能を得ることができるアップグレード用部品セットも今後販売される。

セットの内容は、締結剛性向上ボルトセット(強化ボルト)、旋回性能向上サスペンションセット(ボルト、ダンパー、コイルスプリング、スタビライザー)が想定されており、2025年夏に発売予定となっている。

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