2017年11月3日〜5日、世界耐久選手権(WEC)第8戦は、上海国際サーキットで開催された。2017年のWECシリーズもいよいよ終盤を迎え、チャンピオンシップ争いの行方が注目される。このレースでトヨタは1-2という結果となればマニュファクチャラーズ・チャンピオンは最終戦「バーレーン」に持ち越される。
11月4日の午前11時に始まった公式練習3回目は、セッションが開始されるといきなりトヨタTS050・7号車の小林可夢偉が1分44秒888のベストタイムを記録。さらに2番手も8号車のセバスチャン・ブエミで、トヨタ勢は好調だ。
気温16度で予想より低い路面温度のコンディションの中で公式予選が開始された。このコンディションで7号車の小林が異次元の1分42秒526というタイムを叩き出し、アベレージは1分42秒832でポールポジションを決めた。トヨタにとっては今季4度目のポールポジションとなった。
8号車は、2人のドライバーのアベレージタイムは1分43秒445で、グリッド3番手となる。2番手に割って入ったのがポルシェ1号車で、1分43秒272のタイムを記録している。そしてグリッド4番手はポルシェ2号車で、1分43秒497。いずれにしても1〜4番手のタイム差はわずかで、決勝レースの行方は予想が難しかった。
■決勝レース
決勝レースは予選日より気温が上がり、トヨタ勢は7号車がソフトタイヤ、8号車がハードタイヤを選択した。気温が高く路面温度も高い時間にはハードコンパウンドが合っており、1時間を経過した時点のピットストップでは、7号車はハードタイヤに交換し、その後のレースをリードした。その時点では2台のTS050はポルシェ勢に大きな差を開き、そのうちの1台を周回遅れにする速さを見せた。
ポルシェ1号車はレース序盤に2番手を走行中にスロットルセンサーのトラブルによるスローダウンを強いられ、無線からの指示でバックアッププログラムを起動して問題を解消した。がしかし3番手を走る2号車から1分15秒も遅れ、4番手に後退。1号車はこれ以後も4番手を走り続けることになった。
一方、ポルシェ2号車は1号車が遅れたためトヨタ2台に続く3番手をキープした。その後はLMP2との軽い接触や、タイヤ滓がフロントカウルにこびり着き、ピットイン時に交換するなどを行なったため、トヨタ勢を追撃するチャンスは失われていた。
ゴールまで1 時間を迎えて最後のピットストップで、8号車は中嶋からブエミに交替し、7号車のロペスはドライバー交代なしでトップに立った。ところがその7号車は直後にGTクラス車と接触し、サスペンションにダメージを負い、ピットインを余儀なくされた。
その後7号車はレースに復帰したが、8号車から7周遅れとなり、ポルシェの2台にも抜かれて4位に転落してしまった。この結果、トヨタのマニファクチャラーズ・チャンピオン獲得の夢は消えた。
トヨタ8号車は、最後まで快調に走行を続けトップでゴール。2位となったポルシェ2号車に1周の差を付ける余裕の勝利だった。
しかしドライバーズ選手権も、最終戦を待たず2位に入ったポルシェ2号車のドライバー、アール・バンバー/ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレーが獲得した。こうしてポルシェはマニファクチャラー選手権とドライバー選手権を獲得し、ポルシェのLMP1チーム最後のシーズンを飾ることができた。最終戦のバーレーン6時間レースには、ポルシェの首脳陣が大挙して観戦に訪れるという。