トヨタは、燃料電池バス(FCバス)のコンセプトモデル「SORA」を公表した。コンセプトモデルをベースにした市販型は、2018年からの発売を予定しており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上のSORAが導入される予定である。
コンセプトモデルSORAは、「受け継がれていく街のアイコン」を開発コンセプトに、FCユニットの特性を最大限に生かし、路線バスのうれしさを大きく高めたバスで、2つの想いが込められている。ちなみに、SORAの名称は地球の水の循環を表しており、Sky、Ocean、River、Airの頭文字をつなげたものである。
■【想い1−社会の“奉仕車”】
世のため人のために働くクルマであるからこそ、環境に配慮するとともに、モビリティサービス以外でも社会に貢献できるバスを目指した。燃料電池自動車「MIRAI」向けに開発した「トヨタフューエルセルシステム」を採用し、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない優れた環境性能を実現するのはもとより、大容量外部給電システムを搭載しており、高出力かつ大容量の電源供給能力(最高出力9kW、供給電力量235kWh)を備えており、災害時に電源としての利用が可能である。
■【想い2−人を中心に据えた、ユニバーサルデザインと機能】
不特定多数の人が利用するからこそ、「利便性」と「安全・安心」にこだわり、すべての利用者に、「乗ってよかった。また乗りたい」と思われるバスを目指した。自動格納機構付き横向きシートにより、居住性を向上(日本初)させたり、ベビーカーや車いすのスペースに、自動格納機構付き横向きシートを新設。ベビーカーや車いす利用者がいない場合は、一般利用者が座ることができ、居住性を向上させた。
バス周辺監視機能により、安全性を向上(日本初)させた。車内外に配置した8個の高精細カメラが、バス周囲の歩行者や自転車などの動体を検知し、運転手へ音と画像で知らせる周辺監視機能を搭載し、安全性を向上させている。
加速制御により、安全性を向上(日本初)させた。モーター走行により変速ショックがないことに加え、急加速を抑制し緩やかな発進を可能とする加速制御機能を採用し、車内で立っている利用者の安全性に配慮した。
バス停への自動正着制御により、乗降性を向上(日本初)させた。路面の誘導線をカメラが検知し、自動操舵と自動減速により、バス停とバスの隙間を約3cm〜6cm、バス停車位置から前後約10cmの精度で停車させる自動正着制御を採用。車いすやベビーカーの利用者の乗降性を向上させている。
ITS Connectによる、利便性向上を図った。車車間通信や路車間通信により安全運転を支援するITS Connectに、バス同士の車群走行の支援やバス優先の信号制御(PTPS。公共車両優先システム)を追加したシステムを導入することで、バスの輸送力、速達性や定時性が向上し、利便性が高まる。
【デザイン】
従来の路線バスに見られる六面体(箱形)から大きく異なる立体的な造形を追求し、前後ランプにLED採用するなど、一目でFCバスとわかる特徴的なデザインとしている。
なお、コンセプトモデルSORAは、10月25日(水)から11月5日(日)までの12日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「世界を、ここから動かそう。BEYOND THE MOTOR」をテーマに開催される第45回東京モーターショー2017への出展を予定している。