トヨタ博物館、本館常設展示のリニューアル完成、日・米・欧の自動車の歴史を一望に

20161220_01_08
トヨタ自動車の文化施設であるトヨタ博物館(愛知県長久手市)では、2019年の開館30周年に向けて常設展示のリニューアルを段階的に実施している。その一環として、2017年1月4日には常設展示初披露の19台を新たに加えるなどし、本館3階をリニューアルオープンする。

一連の取り組みは、グローバル化の流れを受け、1989年設立時の「ガソリン自動車誕生以来の歴史を紹介する」という趣旨を現在の視点で再考し、よりいっそうクルマの歴史・文化に親しみ、時代の流れの中で世界と日本の自動車産業がどのように絡み合いながら進化してきたかをさらに分かりやすく、より多くの方に伝えていくことを目的としている。

2016年1月の第1弾では、19世紀末の自動車黎明期から1950年代に至る展示内容を本館2階に集約し、8つのゾーンにて紹介した。今回のリニューアルでは、日本車のみであった本館3階に欧米車を含む常設展示初披露の19台を加えて展示。戦後から現代に至る創造への情熱、独創的な技術やデザインの推移など、日米欧の自動車が互いに影響を受け、成長し、試練を乗り越えて発展してきた歴史を当時の時代背景とともに5つのゾーンで紹介する。これにより、本館常設展示は19世紀末の自動車誕生から現代までの発展を一望できることになる。

また、本館常設展示リニューアル記念展として、「バックヤード収蔵車展」を1月4日(水)から6月25日(日)まで新館2階で開催する。関連イベントとしては、講演会、学芸トーク、学芸スタッフによるガイドツアー、走行披露を実施する。また、新たな試みとして、クルマと文化を語るイベントを企画し、第1回は「本」をテーマに珈琲を楽しみながら語り合う大人のためのイベントも行なう。

◎展示リニューアル

トヨタ博物館 本館3階にて、車両67台を下記5ゾーンで展示する。

●ゾーン9 米欧日 それぞれの再出発

大型化するアメリカ車、コンパクトな欧州車、模索する日本車

パワフルで快適なクルマを求めアメリカ車は大型化する一方、コンパクトな欧州車がアメリカで成功した。一方、日本は欧米技術の直接導入が盛んに行なわれたが、中には独自技術開発という苦難の道を歩むメーカーもあった。それが後の時代変化への基礎体力となっていった。

展示車両 : キャデラック エルドラド ビアリッツ(1959) モーリス ミニ マイナー(1959) スバル360(1959)他 / 計20台

●ゾーン10 経済成長と加速するモータリゼーション

日本での乗用車の普及/憧れのクルマ より良いクルマを求めて

豊かさの象徴としてアメリカのライフスタイルは欧州や日本にも広まり、日本では「三種の神器」(洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビ)に次いで、「新三種の神器」(カラーテレビ、クーラー、カー)で、いよいよクルマが大衆のものになりつつあった。

展示車両 : ダットサン サニー(1966) カローラ KE10(1966) フォード マスタング(1964)他 / 計26台

●ゾーン11 試練の時代。社会的課題への対応

環境・安全技術の導入を加速

急速なモータリゼーションの進展は、交通事故、公害など大きな社会的な課題を引き起こした。
さらに1973年に起きた第一次オイルショックは、世界経済に急ブレーキをかけた。アメリカから始まった厳しい排出ガス規制法に世界中のメーカーが苦労している中、日本のメーカーは、独自の技術で法基準をクリアしていった。

展示車両 : ホンダ シビック CVCC(1975) ルノー5(1979) フォルクスワーゲン ゴルフ(1979)他 / 計6台

●ゾーン12 新たな車種の誕生

さまざまなニーズに対応した新たなカテゴリーの誕生

排出ガス規制を乗り越え、技術力を高めた日本車は、オイルショック以降の世界のニーズに合致し輸出が急増した。欧米での現地生産や仕向地に合わせた車両の開発など、日本車のグローバル化が一気に加速した。ライフスタイルの多様化と共に、ミニバンやクロスオーバーSUVなど、セダンに代わる車種が誕生していった。

展示車両 : アウディ クワトロ(1981) トヨタ エスティマ(1993) MCC スマート クーペ(2001)他 / 計10台

●ゾーン13 持続可能な未来へ

動力源の多様化ふたたび

燃料消費量を一気に半減させたハイブリッド車の誕生をきっかけに、エコノミー車というだけではなく、エコロジー(環境)に優しいことがクルマの魅力となった。ハイブリッド車の普及は、電気自動車や水素燃料電池車の開発と普及を一層加速させた。

展示車両 : トヨタ プリウス(1997) ホンダ インサイト(2004) 三菱 アイミーブ(2011)他 / 計5台

◎リニューアル記念展

バックヤード収蔵車展

期間:2017年1月4日(水)~6月25日(日)
場所:新館2階 企画展示ゾーン
内容:常設展示以外にも貴重なクルマ約80台を収蔵しているバックヤード。常設展示で紹介しきれない車両を、期間中入れ替わりで毎回10台程度展示。1回目は、本館展示改装に伴い、常設展示されなくなる車両を展示する。台数:12台

ダットサン112型(1956)、スズライト SL型(1957)、トヨペット コロナ PT20型(1960)、日産 セドリック 30型(1960)、日野 コンテッサ PC10型(1961)、マツダ R360クーペ KRBB型(1961)、プリンス グロリア スーパー6 41型(1964)、スバル 1000(1967)、トヨタ 1600GT RT55型(1967)、日産 プリンス スカイライン 2000GT-B S54型(1967)、トヨタ カローラ スプリンター KE15型(1968)、トヨペット コロナマークⅡ RT62型(1968)

◎関連イベント

(1)講演会

内容:日本の自動車文化を育む
日時:2017年3月12日(日) 14:00~15:30
場所:新館1階 大ホール(無料ゾーン)
講師:トヨタ博物館 館長 布垣直昭

(2)学芸トーク

内容:本館リニューアルについて
日時:2017年2月12日(日) 14:00~15:30
場所:新館1階 大ホール(無料ゾーン)
講師:トヨタ博物館 副館長 浜田真司

(3)学芸スタッフによる本館3階ガイドツアー

内容:学芸スタッフが改装された本館3階をゾーンごとに説明
開催日:2017年1月~2月の各土・日・祝 11:30~12:15

(4)走行披露(天候等の理由により、やむをえず中止・内容の変更することもある)

日時:2017年3月11日(土)、18日(土) 1回目/11:15~、2回目/15:15~
場所:P1駐車場(無料ゾーン)
走行車両:欧・米・日のクルマ3台(ガソリン自動車誕生とその40年後、80年後の車)
ベンツ パテント モトール ヴァーゲン(独・1886)
フォード モデルT クーペ(米・1927)
トヨタ カローラ KE10(日・1966)

◎大人のためのクルマと文化を語るイベント

内容:TINYトーク クルマ×本×珈琲
日時:2017年2月11日(土) 14:00~15:00
場所:新館1階 TINY STUDIO(無料ゾーン)
定員:15名
対象:18歳以上
参加費:600円
概要:ミュージアムカフェCAR & BOOKSの選書をしているBACHの幅允孝氏と当館館長の布垣がカフェにある本を中心に語り合う。また、コクウ珈琲の篠田康雄氏がテーマを元に珈琲をセレクトし、提供する。

◎ミュージアムカフェ CARS & BOOKSの充実

書籍を約20冊追加、杉の間伐材を使った床への変更など、よりリラックスしながら仲間とクルマを語り合える空間を目指す。

◎お正月イベント

(1)クルマの名前 かるた大会

日時:2017年1月7日(土)~9日(月・祝)
1回目/11:00~12:00、2回目/14:00~15:00
場所:新館1階 TINY STUDIO(無料ゾーン)
対象:小学生
参加人数:各回 4名/組×4組 先着順
参加費:無料
概要:当館収蔵車両を絵札にしたオリジナルかるたを使用した、かるた大会。

(2)大正時代の“のりものすごろく”体験

日時:2017年1月7日(土)~9日(月・祝) 12:00~14:00、15:00~17:00
参加人数:2人以上/組
概要:乗り物がテーマのすごろくを使い、当時の絵柄を楽しみながら遊ぶ。
※場所・対象・参加費は(1)と同じ

◎小学生無料入館日の設定

期間:2017年1月4日(水)~1月9日(月・祝)

トヨタ博物館

(1)所在地
愛知県長久手市横道41-100(名古屋瀬戸道路・長久手ICより西へ400m グリーンロード沿い)
TEL:0561-63-5151
FAX:0561-63-5159
ホームページ:http://www.toyota.co.jp/Museum/
(2)開館時間
9:30~17:00(入館受付は16:30まで)
〔休館日〕月曜日(祝日の場合は翌日)
※12/12(月)~1/3(火)は館内改装により休館
(3)入館料
大人 1,000円 シルバー〈65歳以上〉 500円
中高生 600円
小学生 400円
団体割引あり

新館の1階、3階ライブラリー、3階ギャラリーは無料ゾーン

ページのトップに戻る