世界耐久選手権(WEC)・第6戦は2016年9月15日~17日にアメリカ・テキサス州オースティンにあるサーキット・オブ・ジ・アメリカで開催された。決勝レースは36度という高い気温の中で行なわれ、ドライバーの体力を奪い、エンジン吸気温度が上昇し、厳しい戦いとなった。
この5.5kmのコースは、高温なだけではなくカーブの数が多いため、より大きなダウンフォースが求められる。この空力性能に関しては、やはりアウディが一歩抜け出していた。
公式予選では、アウディ7号車がポールポジションを獲得し、8号車も2番手と絶好調振りを見せ付けた。3番手にポルシェ1号車が食い込んだが、アウディ7号車とは0.8秒差とこれまでより大きな差となっている。4番手にトヨタ6号車、5番手にポルシェ2号車、6番手にトヨタ5号車と続く。ポルシェ2号車、トヨタ6号車は走行中に4輪がコース外走行と判定され、ベストタイムが抹消された結果だ。
■決勝レース
レースが開始されると、アウディの2台が飛び出し、序盤は7号車がトップ、その後は8号車がトップを守り、3位以下に1分近くの差を付けるパフォーマンスを見せ付けた。
ところが8号車は99周目に電気系のトラブルに見舞われ、50秒を失なった。さらにドリンク供給システムが故障したために早めにピットに入ったが、その直後にフルコース・イエローになり、8号車のリードはゼロになってしまったのだ。終盤にもマイナートラブルで緊急ピットインをした結果、8号車はポルシェ1号車に23秒差まで迫ったものの2位となった。
アウディ7号車は8号車の後ろにつけてチャンスを狙っていたが、GTカーと接触してクラッシュ。これを修理したために上位を狙うことが不可能となり6位に終わった。絶好調のアウディは1-2フィニッシュを考えていたはずだが、2台ともに予想外のトラブルで優勝を逃した。
一方、ポルシェは昼間の高い気温ではパフォーマンスが発揮できなかったが、日没とともに調子を取り戻した。ポルシェ1号車はトヨタと接戦を演じながらアウディ8号車を追っていたが、何度かのフルコース・イエローの時間にピットインをすべて合わせるという絶妙のピットワークを演じた。90周を過ぎて1号車は2番手に付け、122周目のフルコース・イエローでピットインを済ませるとトップに躍り出て、まんまとトップでゴールを迎えた。
ポルシェ2号車もトヨタと戦いながらも1号車の後方につけていたが、終盤になって2回もタイヤがパンクし、4位でゴールを迎えた。
トヨタは、レース序盤に5号車がターボが壊れ、修理のために大きく遅れてしまった。さらに終盤にも、接触事故やタイヤのパンクに見舞われ、5位に終わる。6号車はポルシェ勢を追う展開となり、中盤からは抜きつ抜かれつしながらも終盤に3番手までポジションをアップ。
さらにアウディ7号車の脱落により2番手まで上がった。しかし最後の1時間は、ポルシェ、アウディ、トヨタの激しい接戦となり、アウディ8号車はタイヤ無交換作戦によりトヨタ6号車を出し抜き、アウディ8号車が2位、トヨタ6号車は3位という結果となった。