トヨタは2025年9月15日、多様なモビリティサービスに活用でき、将来、自動運転に対応できるバッテリーEV「e-パレット」を発売した。

「e-パレット」は、公共交通、ライドシェア、商業用途など様々な使用を想定したEVのミニバスだ。2018年のCESでコンセプトカーとして発表し、翌年の東京モーターショーで東京オリンピック2020で使用されることを想定したプロトタイプを発表した。
そして2021年の東京オリンピックでは、会場周辺で選手や関係者の送迎車輌として半自動運転車として使用された。この時は安全確保のため運転手が乗車し、同時に走行状態は別室でリモート管理されていた。東京オリンピック後はさらに改良が加えられ、よりハイレベルの自動運転システムを追求している。

e-パレットは、広い室内空間、大型ウインドウガラスによる開放感のある小型バスで、人々の移動手段にとどまらず移動する店舗やサービス空間など、さまざまなモビリティサービスに対応するよう設計している。
まずは、東京・台場の「TOYOTA ARENA TOKYO」およびその周辺エリア、「Toyota Woven City」から導入し、輸送サービスでの活用や物品等を販売する移動型店舗など、さまざまな取り組みを進めていくことになる。
そして一部地域では販売店や自治体、自動運転パートナーと連携した自動運転実証などを進め、2027年度にはレベル4に準拠した自動運転システム搭載車の市場導入を目指している。なお、今回の発売にあたってはレベル2の準自動運転車両となっている。

そのため、自動運転システム(ADK : Automated Driving Kitを指し、自動運転制御ハードウェアおよびソフトウェア、カメラやLiDARといったセンサーなどを含む)を搭載することで、自動運転に対応することも想定した仕様になっている。
車体は、低床、大開口スライドドアにより、乗降をしやすくしている。車高調整機能により低床を実現し、電動スロープにより、歩道の高さが15cm以内の場合は車いすの人が介助なく自力で乗降することも可能だ。車いすのワンタッチ固定などのオプションも装着可能となっている。

ステアリングはステア・バイ・ワイヤを導入。ステアリング操作量を軽減することで、運転手の負担を軽減。また、異形ステアリングを採用し、先進感を感じされるようになっている。

装備としては利用シーンに応じた表示が可能なデジタルサイネージを車内外に装備。購入者が編集可能なサイネージソフトも提供し、様々な情報を発信することも可能。さらに安心降車アシストに加え、車室内監視システムによりドア周辺を監視することで、ドア開閉の安全確認をサポートする。

搭載するバッテリーの容量は72.82kWhで、航続距離は約250kmだ。乗員はドライバーを含めて最大17人となっている。
充電は急速充電、普通充電の両方に対応。また、外部給電機能も備え、非常時の電源として、車両が停止した状態でも給電が可能となっている。

価格
e-パレット:2900万円から(税込み)