フォルクスワーゲン 新型「ゴルフ8」オタク情報

フォルクスワーゲンの8代目となる新型ゴルフ(CD型)が2021年6月15日から発売された。この新型ゴルフは2019年10月のヴォルフスブルクのアウトシュタットでワールドプレミアを行ない、ヨーロッパでは12月から発売されている。これを考えると日本での発売はおよそ1年半遅れとなっている。

新型ゴルフをプレゼンテーションするVGJのティル・シェア社長

モデル概要

ドイツ本社での新型ゴルフ発表以来、ヴァリアント、オールトラック、GTI、ゴルフRなどのバリエーションも順次追加発表され、CD型ゴルフシリーズはラインアップが完成している。だがメキシコ工場ではゴルフの生産は終了し、アメリカ市場ではGTIとRのみの発売になるなど、グローバルでのゴルフの存在はかなり変化しているようだ。日本仕様がかつてないほど遅れて追加されたのも、そうした背景があると考えられる。

アクティブ(奥)、Rライン(左)、スタイル(右)の3グレード

また、新型ゴルフの開発費は2350億円超えと言われ、巨額を投資してEVプラットフォームによるEVラインアップを急ぐフォルクスワーゲンにとっては、新型ゴルフの開発はきわめて負担が大きいと考えられ、そのためもあって新型ゴルフ8の生産タクトタイムは従来のゴルフ7より1時間短縮されているといわれている。

ゴルフ7はフォルクスワーゲン・グループ全体で共有できるフレキシブル・モジュラープラットフォーム「MQB」を初採用したことも注目されたが、今回のゴルフ8はそのMQBを進化させた「MQBエボ」プラットフォームを採用している。

グループの原則通りに、「MQBエボ」は、最初に新型アウディA3に採用され、その後このゴルフ8とセアト・レオンに適用されている。

「MQBエボ」を採用した結果、ボディサイズは先代モデルとほぼ同じで、ホイールベースは-15mmとなる2620mmで、全長は+30mmの4295mm、全幅は-10mmで1790mm、全高は-5mmの1475mmとなっている。つまり、Cセグメントの肥大化傾向にピリオドが打たれ、むしろわずかとはいえサイズダウンしているのだ。

シャシーなどのハードウエアはすべてゴルフ7からのキャリーオーバーで、このゴルフ8ではそれらをより熟成するという手法が採用されている。サスペンションは、フロントがストラット式、1.0e-TSI搭載モデルのリヤはモジュラーライトウェイト・アクスル(トーションビーム式)、1.5e-TSIモデルは4リンク式だ。

Rライン

この4リンク式は従来と共通だが、新設計されたハブキャリアを採用しており、ステアリングの精度と走行安定性が大幅に向上。トレッド、キャンバー角は、スプリングリンクとアッパートランスバースリンクの偏心ボルトを介して個別に調整可能となっているのが特長だ。

1.5 e-TSIモデル

ステアリングシステムは2種類が設定されている。標準仕様はリニアなレシオを備えたステアリングラックを装備。このステアリングシステムは「1.0eTSIアクティブ ベーシック」、「1.0eTSIアクティブ」、「1.5eTSIスタイル」に装備されている。

先代モデルと比較して、このステアリングシステムのレシオは、14.6とよりダイレクトになり(従来は15.0)、より少ないステアリング操作でレスポンスを向上させている。

プログレッシブ・ステアリングシステムは、「1.5e-TSI Rライン」のみが装備。このステアリングによって、ステアリングホイールのロックtoロックは2回転となり、センターレシオはさらにダイレクトなギヤ比14.1となっている。両システムのソフトウェアには、特にステアリングのダイナミックレスポンスをさらに向上させる新しいアルゴリズムが導入され、俊敏かつ正確であり、高速道路における安心のハンドリングを備えた、ダイナミック性能の高いクルマに仕上がっている。

また今回から、グレードも従来のトレンドライン、コンフォートライン、ハイラインという展開から、アクティブ、スタイル、Rラインへと変更され、Rラインは従来のRラインパッケージを標準装備化し、スポーツ・サスペンションを組み合わせたスポーティ仕様となっている。

パッケージングは従来型と同等で、大人5人の十分な居住空間と、380Lのラゲッジスペースを持ち、後席を畳めば1237Lと大きなラゲッジ容量が確保される。

エクステリアは、ID.3と近似するように進化を強調するデザイン変更が行なわれており、2次元のフォルクスワーゲン新ロゴを採用。エクステリア全体はよりエッジを強調したシャープなスタイリングになっている。一方でゴルフのアイデンティティともいえる太いCピラーのデザインは継承されている。

アクティブ

リヤは、T-Rocに似たL字型のテールライトを新たに採用。また、ノーズの前下がり形状のアーチがかつてないほど強められており、これは空力性能向上を目的にしている。その結果、Cd=0.275(ゴルフ7はCd=0.29)と、ハッチバックとしては驚異的な空力性能を実現している。

スタイル

16種類のパワートレーン

新型ゴルフ8に搭載されるパワートレーンは、日本には1.0L3気筒の1.0e-TSI、1.5L4気筒の1.5e-TSIの2種類が導入された。いずれも48Vマイルドハイブリッドを採用している。その意味で電動化を強調しているように見えるが、実はゴルフに関してはグローバル展開するために他社では考えられないほどのマルチソリューションをラインアップしており、こうした面で投資額の増大が強いられているのだ。

本来のエンジン・ラインアップは、エントリーグレードは1.0L3気筒が2種類と1.0e-TSI、その上には従来からの1.4TSI、1.4TSI+PHEV(GTE用を含む)、最新ユニットの1.5TSIは出力違いで2機種と1.5e-TSIの出力違いの2機種で合計4機種、さらに天然ガス燃料の1.5TGI、そして2.0L4気筒の高出力エンジンとしてGTI用2.0TSI(245ps)、Rモデル用2.0TSI(320ps)がラインアップされている。

またディーゼルはツインSCR触媒を装備する2.0TDIが出力違いで2機種、より高出力のGTD用の2.0TDIという具合に、トータルで16種類ものパワーユニットをラインアップしているから驚く。注目すべきはPHEVモデルを設定している一方で、ID.3が登場するためEVのe-ゴルフは廃止されている。

トランスミッションは、5速MT、6速MT、7速DSG、6速湿式DSG、7速湿式DSG、8速ATをラインアップしている。

1.0 e-TSIエンジン

日本に導入された48Vマイルドハイブリッドは、ベルト駆動式スタータージェネレーターとリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、減速回生、駆動アシストを行なう他に、コースティング時にはエンジンも即時ストップする機能も備えている。ベルト駆動スタータージェネレーターの出力は13ps(9.4kW)/最大トルク62Nmで、加速時には62Nmのトルクが上乗せされることになる。

1.0e-TSI(EA211型)の出力は999ccボア・ストローク74.5mm×76.4mm、圧縮比11.4、最高出力110ps(81kW)/5500rpm、最大トルク200Nm/2000-3000rpmで、999ccの排気量ながら200Nmの最大トルクを発生している。

1.5e-TSI(EA211エボ)は、排気量1497cc、ボア・ストローク74.5mm×85.9mm、圧縮比10.5、最高出力150ps(110kW)/5000-6000rpm、最大トルク250Nm/1500-3500rpmを発生する。この1.5Lエンジンは、吸排気可変バルブタイミング、ミラーサイクル運転、気筒休止システム、プラズマ溶射シリンダー、ナトリウム封入式排気バルブ、2系統冷却など現在で採用できるほぼすべての技術を投入した高効率エンジンとなっている。

1.5e-TSIエンジン

1.0e-TSI搭載モデルの燃費はWLTCモードで18.6km/L、WLTC高速モードでは20.6km/L。1.5e-TSIのWLTCモード燃費は17.3km/L、WLTC高速モードでは19.8km/Lで、いずれも郊外、高速モードで燃費性能が高められている。

ただいずれにしてもすでにフォルクスワーゲン・グループの内燃エンジンの新規開発は凍結されているといわれ、開発のリソースはモーターの開発、バッテリーの研究などに振り分けられている。

したがって次期型ゴルフ9は存続するといわれているが、それに搭載されるパワートレーンはどうなるなるのか現時点で見通すことはできない。

デジタル化

フォルクスワーゲンは、ニューモデルの開発にあたって、ジェネレーションZがユーザー層になることを想定しており、クルマのデジタル化を急速に進めている。ジェネレーションZ=デジタル・ネイティブ、つまりインターネットやPC、スマートフォンが身近な存在となっている2000年以降に生まれた人々を意味する。

同時に、車両の電装系を統合制御する電子・電気プラットフォームの採用が常識化しつつあり、ゴルフ8はその電子・電気統合プラットフォームの1.5バージョンを採用している。電気自動車のID.3などでは2.0バージョンが搭載されているが、このゴルフ8ではその一歩手前のレベルまで到達したといえる。

新型ゴルフ8は「デジタル化」、「電動化」、「運転支援システム」での大幅な進化をアピールしているが、特にデジタル化は競合するCセグメントのクルマの中でも突出しているのだ。

メーターパネルは10.25インチの液晶ディスプレイ「Digital Cockpit Pro」を全車に標準装備し、その横に10インチ・ディスプレイを持つインフォテイメントシステムを設置し、物理スイッチを排除したインスツルメントパネルのデザインを実現している。

また最新世代の通信モジュール内蔵の純正インフォテイメントシステムも標準装備とすることで、インフォテイメント、コネクテッド・サービスも向上させている。なおコネクテッドサービスは“We Connect”(10年間無償)、“We Connect Plus”(3年間無償)を利用することができる。

3ゾーン・エアコン

ヨーロッパではAmazon「アレクサ」を使用した音声会話コントロールを、フォルクスワーゲンとしては初のカー2X機能を標準装備した。この路車間、車車間の通信機能により、他の車両や交通インフラに通信接続し、多くの情報を取得することも可能になっている。

またソフトbyワイヤーの採用、ラグジュアリークラスのクルマと同様の30色を選択できるインテリア・アンビエントライトの採用なども特長だ。

運転支援システム

新型ゴルフ8には、車線逸脱警報や交通標識認識、歩行者・サイクリスト検知などの能力を高めたプリクラッシュブレーキ、また、右折時に同一車線上の車両が接近してきた場合、自動的に停止し警告を発する機能など大幅に機能を高めたプリクラッシュブレーキシステムを搭載。

左折(日本では右折)時の対向車線車両を検知するプリクラッシュブレーキ

新たに同一車線内全車速運転支援システム「トラベル・アシスト」が全車標準装備され、車速域0~210km/hで作動させることが可能。従来のアダプティブクルーズコントロールより格段にアップグレードされている。

ステアリングホイールも静電容量式センサーを採用し、軽く握っているだけで、前走車との車間距離、走行レーンの中央維持をサポートする。

これらの先進運転支援システムの採用に関し、日本では今では当たり前と解釈されているが、特にヨーロッパではオプション扱いで、日本ほど装着率は高くなかった背景があり、これを全車標準装備化した点は画期的なのだ。

この他に、ドライバーをモニタリングし、運転できない状態を検知すると警告音と警告表示により注意を喚起。それでも運転操作が再開されない場合はハザードランプおよびブレーキランプの点灯と同時にホーンを鳴らし、同一車線内において減速し、最終的に停車させるエマージェンシーアシストも搭載されている。

さらに乗員が降車時にドアを開いた際、後方から接近している車両や自転車などをリヤレーダーセンサーが検知すると、警告音とドアミラーハウジングの表示灯により乗員に注意喚起を行ないい、衝突の回避を促すエグジットウォーニング(降車時警告機能)も初搭載。

アクティブセーフティでは、オプションのテクノロジーパッケージを選択すると、片側で22個のLEDを個別に制御するLEDマトリックス・ヘッドライトも装備される。

新型ゴルフ8のインテリアはフル液晶ディスプレイを採用し、通信モジュールを搭載。さらに先進運転支援システムを標準装備しており、装備の一部は上級Dセグメントと同等にアップグレードしていることを考えると、価格的にCセグメントのクルマの中では装備レベルが高く、価格から考えると割安感がある。

特に最近、日本車のBセグメント以上のクルマの価格は上昇傾向にあり、Bセグメントでも350万円に達することも珍しくないし、日本車の価格は今後もさらに高くなると想定されている。

そう考えると、今では日本車、輸入車の価格差がほとんどなくなり、特に新型ゴルフ8の装備レベルを考えると価格的なアドバンテージは高いと評価すべきだろう。

ゴルフ 8 諸元表

価格

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