トヨタとスズキは2019年3月20日、新たな協業について、具体的な検討に着手することに合意した。トヨタとスズキが提携を発表したのは2016年10月であったが、その後2017年2月6日の業務提携に向けた覚書締結を行ない、2018年5月に「開発・生産等に関する共同プロジェクト」の協議開始に合意している。
そして今回、より具体的な協業内容が発表された。その協業の内容は、トヨタが持つ電動化技術とスズキが持つ小型車技術を持ち寄り、生産領域での協業や電動車の普及、相互のOEM車の供給などを検討するということだ。
トヨタはスズキにTHS(トヨタハイブリッドシステム)を供給し、スズキはグローバルにTHSモデルを展開する。またインド市場でハイブリッド・システム、エンジン、電池の現地調達化によるインドでのハイブリッド技術の普及を担当。さらにヨーロッパ市場ではトヨタRAV4、カローラ・ワゴンのハイブリッドモデルをスズキにOEM供給する。
一方のスズキは、インド市場でスズキの小型モデル(シアズ、エルティガ)をトヨタにOEM供給すること、デンソーとトヨタが支援するスズキの新開発エンジンを、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ポーランドで生産し、トヨタの小型モデルへ搭載すること。そしてスズキがインドで生産する小型車(スズキ・バレーノ、ビターラブレッツァ、シアズ、エルティガ)をトヨタのアフリカ市場向けにもOEM供給するなどが検討されている。
さらに両社の生産での協力は、スズキのインドにおける車両開発の知見を活用したトヨタCセグメントMPVの共同開発とスズキへのOEM供給、2022年からトヨタ・キルロスカ自動車(TKM:インド工場)で小型SUV(スズキ・ビターラブレッツァ)を生産することが検討されている。
これらが実現すれば、トヨタ、スズキのいずれにとっても初の大規模な協業で、特に相互のOEM供給はトヨタにとってもかつてないことだ。
また協業する市場としては、インド、アフリカ、そしてヨーロッパという範囲であることが明確で、やはりトヨタにとって大きなメリットがある地域となっている点は注目すべきだろう。