【WEC2014】第8戦 サンパウロ6時間レース トヨタが日本メーカー初のマニファクチャラー・チャンピオンを獲得

WEC 2014  サンパウロ6時間レース
悲願の日本メーカー初、世界耐久選手権のマニファクチャラーズ・チャンピオンタイトルを獲得したトヨタ・レーシング

2014年11月29~30日、ブラジルのサンパウロ近郊のインテルラゴス・サーキットで世界耐久選手権・最終戦、サンパウロ6時間レースが開催された。すでにドライバー・チャンピオンはトヨタに決定しているが、最終戦はマニファクチャラーズ・チャンピオンを決着するレースとなった。

11月29日に行なわれた公式予選から激しい戦いが繰り広げられたが、予選では好調のポルシェ919が1、2番手を独占し、3番手がトヨタ8号車、4番手がアウディ2号車、そしてトヨタ7号車、アウディ1号車と続いた。ポルシェ919は今や予選での速さは折り紙付きだ。

一方、トヨタのこのレースでの目的は、悲願のマニファクチャラーズ・チャンピオンを獲得することであり、トップ争いではない。アウディはトヨタに40ポイントの差をつけられており、チャンピオン防衛の可能性は低いもののこのレーでの結果にすべてを賭ける他はないが、予選結果は現在の実力通りとなった。なお、アウディのドライバー、トム・クリステンセンは、今シーズンでドライバーを引退することを発表しており、クリステンセンも、アウディ・チームもその花道を飾るべく、全力を尽くすことになった。

サンパウロ6時間レース 予選結果

決勝レースは、ポルシェとトヨタのトップ争いとなり、さらにアウディの全力を振り絞っての追撃という展開となった。ポールポジションからスタートしたポルシェ20号車は38周でウェバーに交代する時点で、トヨタに対して12秒のリードを確保する。ウェバーもリードを保ち79周でハートレーにマシンをバトンタッチした。しかしここで、原因不明のトラブルでエンジン出力が低下したため優勝の夢は消え去ってしまった。そして20号車は最終ドライバーのウエーバーが、レース終了まで後30分という時点で大クラッシュを起こしてしまった。ウエーバーは全身打撲と脳震盪を負ったが、大事に至らなかったのは幸いだった。

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サンパウロ6時間レースの決勝スタート

2番グリッドからスタートを切ったポルシェ14号車は、トヨタと抜きつ抜かれつしながらのレースとなったが、105周目に右側リヤタイヤのパンクのため、予定より早くピットに戻らざるをえなかった。

そのため14号車は最後のピットストップでタイムを短縮するために、タイヤを交換しないという賭けに出た。この賭けが功を奏し、トヨタの前に出ることができ、ポルシェ20号車の事故処理のためのセーフティカーラップのままチェッカーフラッグを受け、ポルシェ919ハイブリッドとして記念すべき初優勝を成し遂げた。

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WEC 2014  サンパウロ6時間レース
レース終盤でポルシェ20号車の大クラッシュ事故の処理のためセーフティカーが導入され、このままフィニッシュを迎えた

アウディは、クリステンセンがステアリングを握る1号車はトヨタ7号車と接戦を展開した。車体に「Thanks Tom!Mister Le Mans」のペイントが施された1号車は、ぎりぎりの燃料にもかかわらず、トヨタ7号車を上回るラップタイムで走り続け、3位に入賞。クリステンセンは、現役最後のトロフィーを獲得した。

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トヨタは、8号車が2位に、7号車が4位となり、悲願であった日本の自動車メーカー初の世界耐久選手権のメーカータイトルを獲得した。トヨタにとっては1999年の世界ラリー選手権(WRC)でのマニファクチャラーズ・タイトル獲得以来、15年目の快挙である。2014年のWECではトヨタ・レーシングは全8レース中5勝を挙げ、ポールポジションは4回獲得、表彰台にも全戦立つことができた。さらに最速ラップを4回樹立するなど、高いパフォーマンスも発揮している。唯一の課題は、ル・マン24時間レースで頂点に立つことができなかったことだろう。

サンパウロ6時間レース 結果

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WEC 2014 マニファクチャラーズ・ランキング
WEC 2014 マニファクチャラーズ・ポイントランキング

すでに2015年シーズの準備は始まっている。3カー体制で臨む日産はすでにテストを開始しており、ポルシェは2015年用マシンを新設計し、3カー体制で出場することを宣言している。アウディもタイトル奪回を目指し、3カー体制での準備を進めているのだ。ディフェンディング・チャンピオンとなるトヨタ・レーシングの動向が注目される。

 

FIA WEC公式サイト
トヨタ・モータースポーツ公式サイト

COTY
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