2014年11月26日、トヨタは、ITS専用の無線通信を活用した通信協調型運転支援システムを活用した先進の協調型運転支援システムを、2015年に発売する予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense P」のオプションとして、日本国内向けの一部新型車に採用すると発表した。
このシステムは、ITS分野では「通信利用型先進安全自動車技術 (I2V、V2V、V2P)」と呼ばれ、ITS専用周波数（760MHz）による道と車間、車車間（車両同士）通信を活用したシステム。クルマに搭載したレーダーやカメラなどのセンサーでは捉えきれない情報を取得することで、自律系の安全運転支援システムを補完し、交通事故の危険をより少なくする技術の一つだ。
なお、このシステムは2014年10月に設立された「ITS Connect推進協議会」による通信協調型運転支援システムなど実用化、普及の促進を図る活動の一環だ。
このITSシステムは、見通しの悪い交差点周辺で、道路に設置されたセンサーが検知する対向車・歩行者の情報を路車間通信により取得する以外に、クルマ同士の接近情報を車車間通信により取得することで、ドライバーに注意を促すなどの運転支援を行う。
また、車車間通信を採用した「通信利用型レーダークルーズコントロール」も開発した。従来のミリ波レーダーによる先行車両との車間距離、相対速度の検知に加え、車車間通信により得られた先行車両の加減速情報を活用することで追従性能を高め、燃費向上や渋滞の解消などに貢献するというDSSS技術の一つであるCACC（Cooperative Adaptive Cruise Control：通信協調型アダプティブクルーズコントロール）だ。多くのクルマがこのシステムを搭載すると、渋滞を解消できるという社会的な効果も期待できる近未来のITS技術なのだ。
トヨタは、これらシステムの早期導入をめざし、関係省庁や民間企業と連携を図り、開発を進めてきた。2013年にITS GREEN SAFETY官民実証実験に参画し、システムの社会的効果と受容性を検証。2014年10月に設置されたITS Connect推進協議会への参画を通じITS技術の導入と本格普及に向けて取り組んでいくという。
