2013年7月29日、トヨタ、日産、ホンダ、三菱の自動車メーカー4社は、電動車両(PHV・PHEV・EV)の充電器の設置活動を共同で推進すること、利便性の高い充電ネットワークサービスの構築を共同で実現することに合意したと発表した。
同日は4社の役員が出席し発表会が開かれた。この背景には、経済産業省が平成24年度の補正予算として「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」として1005億円という巨額の予算を確保したことにさかのぼる。この予算は、「電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)に必要な充電インフラの整備を加速することにより、設備投資等を喚起するとともに、次世代自動車の更なる普及を促進し、日本経済の下支えを図る」という緊急経済対策予算で、一種の経済振興策とされ、充電器の購入費、工事費について一部補助(費用を補助)というものだ。補助は、利用者を制限しない充電設備は機器購入費と設置工事費の1/2を補助し、地方自治体等が定める充電器整備に関するビジョンに沿って設置される充電設備は、補助率が2/3とされている。
具体的には、自治体等の計画に基づく充電器の設置 (主に急速充電、約4千基)、自治体等の計画に基づかないものの公共性を有する充電器の設置 (普通充電/急速充電、約7万基)、月極駐車場やマンション等への充電器の設置(主に普通充電)等(約4万基)を想定した事業となる。そしてこの事業のための公募は2013年3月19日から開始されている。また補助金給付のための基金として「一般社団法人 次世代自動車振興センター(http://www.cev-pc.or.jp)」が窓口となる。
現在のEV、PHEV向けの充電設備は、4社の調査によると急速充電器が1700基、普通充電器3000基強で、急速充電器は日産、三菱の販売店などがメインで、こうした充電施設の偏りが電動車両の購入のハードルになっているとされている。 こうした現状のため、経産省の支援を前提に自動車メーカー4社は従来は各社ばらばらに充電器の設置に取り組んでいたことから業界全体での取り組みに路線を変更した。充電インフラは公共性が高く、2014年2月末に設定された政府の補助金支援期間内に設置をスピーディに推進する必要があるとの共通認識となり、今回の共同プロジェクト開始に合意し、補助金制度を利用し急速に充電インフラを整備しようということである。
この合意により、「国内における充電器設置促進活動の推進」、「充電器の設置費用と維持費用の一部を一時負担して充電器設置活動を推進」、「お客様が快適なPHV・PHEV・EVライフをすごせる充電インフラネットワークサービスの構築」、「官庁や地方自治体との連携」を目指すことになり、普通充電器を大型商業施設などに8000基、急速充電器を高速道路のSA、PA、コンビニ、ガソリンスタンドなどに4000基を目標に設置するとしている。
また、充電インフラネットワークサービスの構築は、充電サービス会社単位で発行している利用カードを、相互利用可能なサービスに充実させたり、充電スポットの満空情報の共有化なども検討課題とされている。
具体的な活動はこれからだが、補助金申請の期限が2014年2月末、設置の実施は2014年10月とされているため、早急なアクションが求められている。いずれにしても現状の3倍の充電スポットが拡充されることになるが、これがEV、PHEV販売の加速要素となるのだろうか。