2012年9月15日、世界耐久選手権(WEC)第5戦、サンパウロ6時間レースで、トヨタTS030がアウディR18 e-tronクワトロ、R18 ultraを抑えてついに記念すべき初優勝を飾った。
●シルバーストーン6時間レース
6月に開催されたル・マン24時間レースの後、2012年WEC(FIA世界耐久選手権)第4戦 シルバーストーン6時間レースが8月24〜26日にイギリス・シルバーストーンで開催された。
このレースでは、ル・マンのウィナーであるアウディ・スポーツ・チーム・ヨーストのNo.1カー、アウディR18 e-tronクワトロ(A.ロッテラー/B.トレルイエ/M.ファスラー)が優勝している。一方このレースが2度目の実戦となったトヨタ・レーシングのNo.7 トヨタTS030ハイブリッド(A.ブルツ/N.ラピエール/中嶋一貴)は2位でフィニッシュしている。
シルバーストーン6時間レースには合計35台がエントリーしたが、いずれのマシンもル・マン仕様からハイ・ダウンフォース仕様に変更して登場している。
シルバーストン6時間レースは、ポールポジションからスタートしたアウディR18 e-tronクワトロを駆るA.ロッテラーのリードで始まり、アウディR18ウルトラをかわして2位に上がったトヨタTS030ハイブリッドのA.ブルツが追う展開となった。スタートから約20分が経過したところで、周回遅れの車両に詰まったアウディのロッテラーをかわしてトップに。その後も両車は僅差での争いを続けた。
しかし、燃費に勝るアウディR18 e-tronクワトロは、トヨタTS030ハイブリッドよりもピットストップの回数が少なく、そのアドバンテージに加え、2度にわたるセーフティーカー導入も有利に働き、他社との接触により課せられたペナルティによる遅れを挽回。これに対してトヨタは、アウディを若干上回るペースで周回を続けることで対抗した。
最終的には、トヨタTS030ハイブリッドがレースも残り30分を切ったところで最後の給油を行わなければならなかったことで、アウディR18 e-tronクワトロがトップに立ってチェッカー。アウディのA.ロッテラー/B.トレルイエ/M.ファスラー組がル・マン24時間に続き、2連勝を飾った。トヨタTS030ハイブリッドは、デビュー2戦目で待望の初完走を果たし、2位表彰台を獲得した。なお、アウディR18 e-tronクワトロの給油は6回であったのに対して、トヨタの給油回数は8回。この差が勝敗を分けることとなった。
●サンパウロ6時間レース
続く第5戦、9月15日、ブラジル・サンパウロのインテルラゴスサーキットで行われた世界耐久選手権(WEC)で、アレックス・ブルツ、ニコラス・ラピエールがドライブするトヨタTS030ハイブリッドが、アウディを抑えシリーズ初優勝を飾った。
ポールポジションからスタートしたトヨタTS030は、終始ライバルのアウディ勢をリードし、セーフティーカー導入後のリスタートでもアウディに先行。前戦シルバーストーンで勝利を逃がす原因となった燃料消費も改善され、ピットストップもアウディに遜色ないタイムでこなし、2位のアウディに1分以上の大差をつけての完勝だった。
トヨタ・レーシングはインテルラゴス・サーキット(ブラジル・サンパウロ)で開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦サンパウロ6時間レースにおいて、出場3戦目にもかかわらず、スタートからゴールまでトップを譲ることなく、力強い走りを見せ、見事に初勝利をあげている。
この勝利は、トヨタにとって1999年のWRC(世界ラリー選手権)チャイナラリー以来13年ぶりのFIA公認世界選手権での勝利であり、耐久レースとしては1992年にTS010で勝利をあげたモンツァのレース以来、実に20年ぶりとなる。
この日、最速であったTS030ハイブリッドは、最後の1時間を迎え、ニコラス・ラピエールからアレックス・ブルツへとドライバーチェンジ。ゴールまで数分を残したところで燃料補給のためにクイックピットストップを行ったが、再びトップでレースに戻り、2位に1分以上の差を付けて初優勝を飾った。
次のレースは9月29日に決勝レースが行われるWEC第6戦、バーレーン6時間レース。そして10月にいよいよ富士6時間レースを迎える。当然ながらアウディも富士に向け、さらに改良を加えてくることは間違いない。
なおマニファクチャラーズ(メーカー)ポイントは、現時点ではアウディが147、トヨタが44で、アウディが圧倒的なリードを得ている。