【トヨタ/プジョー・シトロエン】小型商用車部門で協力 その裏舞台

トヨタとプジョー・シトロエン提携の画像

2012年7月23日、トヨタのヨーロッパ統括会社であるトヨタモーター・ヨーロッパ(Toyota Motor Europe:以下欧州トヨタ)とPSA プジョー・シトロエン(以下PSA)は、ヨーロッパにおいて、PSA の小型商用車を欧州トヨタ にOEM 供給することで合意したと発表した。

具体的には、2013年中頃に、プジョー「エキスパート」、シトロエン「ジャンピー」をベースにした商用バンを、欧州トヨタ にOEM供給するとしている。すでに次期モデルについてもOEM 供給することで合意しており、欧州トヨタは開発費と設備投資について応分の負担をする。いずれも生産はPSA が担当し、資本提携は行わないという。

トヨタにOEM供給されるプジョー・エキスパートの画像

トヨタにOEM供給されるシトロエン・ジャンピー
↑プジョー・エキスパート                    ↑シトロエン・ジャンピー

欧州トヨタのディディエ・ルロワ社長は、「PSA とトヨタは、すでにチェコで小型乗用車の合弁事業を行っているが、欧州市場において小型商用車セグメントは重要であり、PSAと力を合わせ、お客様のご要望にお応えしていきたい」と語っている。

また、PSAのジャン・クリストフ・ケマール副社長は、「トヨタとのこれまでの協力関係を更に強化できたことは喜ばしい。欧州トヨタとPSAの合意は、両社の欧州小型商用車市場における競争力の強化につながるだろう」と語った。

現実的には、経営が危機的な状況に直面しているPSAプジョー・シトロエンに、欧州トヨタが約束手形、信用を付与した状況といえる。

PSAプジョー・シトロエン・グループは、欧州危機の影響をまともに受けて販売落ち込みが著しい。7月12日、フランス国内の工場閉鎖などで2014年までに合計8000人をリストラする経営合理化策を発表したばかり。具体的にはパリ近郊のオルネー工場を閉鎖するという。

同工場で生産しているシトロエンのC3は、閉鎖後はパリ郊外ポワシー工場に移管する。さらにC5 を生産するレンヌ工場も縮小するとしている。しかし大リストラに着手したPSAに対して、雇用を重視するオランド大統領が異議を唱えるなど混乱した状況になっている。

PSAグループは、中国やロシアで販売を順調に伸ばしているが、ヨーロッパでの販売の低下、自国内の工場稼働率の低下が大きな足かせになっているのだ。大規模なリストラを回避するために、フランス政府が大幅な支援・介入を行うことも予想される。

今回の欧州トヨタの発表により、トヨタが商用車の販売を行うことで販売台数を確保し、なおかつ次期モデルの開発費を欧州トヨタがある程度負担することで、PSAグループの開発投資額を抑えるという形での支援となるわけだ。

トヨタ公式サイト

PSAプジョー・シトロエン公式サイト

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