2012年4月11日、トヨタ・レーシングはFIA世界耐久選手権(WEC)のデビュー戦として出場を予定していたWEC第2戦スパ・フランコルシャン6時間レース(5月4日〜5日）への出場取り止めを発表した。
その理由は、4月4日にポールリカールサーキットで参戦マシンのTS030 HYBRIDのテスト中に発生したアクシデントにより、モノコックフレームに大きな損傷を受け、修復が不可能でスペアカーの準備も整っていないことによるという。
モノコックフレームは参戦チームであるTMG （TOYOTA Motorsport GmbH）が保有する唯一のもので修復不可能な状態であり、当然ながら新たなモノコックを5月初旬の第2戦までに準備するのは物理的に困難と判断したのだという。そのため、トヨタ・レーシングは4月7日にFIA世界耐久選手権のオーガナイザーに、第2戦への出場取り止めを連絡した。
このような状況のため、トヨタ・レーシングは6月16〜17日に開催されるWEC第3戦の伝統のルマン24時間レースがぶっつけ本番のデビュー戦となる。トヨタ・レーシングチーム代表の木下美明氏は、「 このような発表をするのは誠に遺憾であり、スパのレースを楽しみにしてくれていたファンの皆様に大変申し訳ない思いでいっぱいだ。 あらゆる可能性を検討したが、残念ながら今回の苦渋の決断に至った。 現在、新しいモノコックの製造を急いでおり、出来る限り早くテストに復帰し、ルマン24時間レースへの準備を進める」と語っている。
トヨタ･レーシングは2台体制でWECに参戦すると発表しており、デビュー戦の予定であったスパ6時間レース、ルマン24時間レース、その後のWEC戦への出場も計画されている。このようなシリーズ戦に2台体制で参加する場合、レース車両としては出場車両2台、テストカー&スペアカーとして2台〜3台が必要で、それに合わせてカーボンモ・ノコックフレームやアウター・ボディパネルは6台分以上製造するのが常識のため、今回の発表以外の理由でも準備が遅れているのではと想像される。
