2015年FIA世界耐久選手権(WEC)はル・マン24時間レースの後、8月30~31日にドイツのニュルブルクリンクで第4戦が、9月19~20日にアメリカ・テキサス州オースティンでサーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レースが開催された。
ル・マン24時間レースと同様に、これまでのレースでは予選からポルシェの2台が1-2を決め、決勝レースでも1-2体制を磐石なものにしている。そして3、4位はアウディR18 e-toronが続き、トヨタは5、6位が指定席となっている。
そして、いよいよトヨタのホームグラウンド、富士6時間レースがやってきた。アウディはボディのデザインに少し変更を加え、ダウンフォースの強化と空気抵抗の低減を図っている。富士スピードウェイではアウディのダウンフォースがマッチしており、それに比べてややダウンフォースの少ないポルシェは警戒している。しかしながら、ポルシェもハイ・ダウンフォースを仕様で決勝を戦った。
2015年10月10日に行なわれた公式予選ではポルシェ17号車が1分22秒763という驚異的なタイムでポールポジションを獲得し、2番手はポルシェ18号車。アウディは結果的に3、4番手と定位置になった。しかしポルシェとの差は0.3秒程度と、これまでの第4戦、第5戦とは違って紙一重のところまで迫っている。一方、開発拠点の東富士研究所から20kmという地元の富士スピードウェイでもトヨタは、これまでのレースと同様に2.3秒の差がつけられてしまった。
10月11日の決勝レースは朝から雨に見舞われ、雨中でレースのとなった。雨脚が強いためセーフティカーの先導によりレースが開始され、セーフティカーに従う状態は40分間続いた。
レースが始まるとトヨタ勢が好スタートを切り、特にトヨタ1号車の中嶋一貴は、スタート直後にコースアウトしてポジションを落としたポルシェ17号車に迫った。
17号車はさらにハイブリッドシステムの不調でターボのブーストが時々上がらず5番手にまで落ち、トヨタの中嶋と接戦を演じた。しかしその後はポルシェはペースを取り戻し、中嶋を突き放し、終盤までアウディ7号車との戦いとなった。だが終盤になってアウディ7号車はGTクラスのマシンと接触して遅れたため、最終的に208周目にトップを走っていたポルシェ18号車がポイントリーダーの17号車にトップを譲り、形の上ではポルシェの圧勝に終わった。
ポルシェ18号車はレース序盤に、ピットレーン速度リミッターがいきなり作動するトラブルに見舞われ大きく順位を落としたが、その後は順調にポジションを挽回。中盤からトップに立ったが、最終的に17号車に優勝を譲り、2位でレースを終えた。
ポルシェとのデッドヒートを演じたアウディが3、4位。そしてトヨタが5、6位と定位置のレース結果に終わった。しかしアウディのマシンののアップデートは成功しており、ポルシェに肉薄していることが明らかになり、シリーズ終盤のレースが盛り上がりそうだ。