トヨタは2015年9月30日、760MHzのITS専用周波数を活用した世界初の運転支援システム「ITS Connect」を近日国内で発売する車種に世界で初めて搭載し、2015年内に3車種まで展開することを明らかにした。
本システムは車両に搭載したセンサーではとらえきれない見通し外のクルマや人の存在、信号の情報などを、道路とクルマ、あるいはクルマ同士が直接通信することで取得し、ドライバーに知らせることで安全運転を支援する画期的なものだ。
トヨタはこの搭載車種を順次拡大することで、国内の事故総件数で約4割を占める、交差点周辺で発生する事故の低減に貢献していく。将来的には車両制御技術などと連携し、すべての人が安全かつスムーズ、自由に移動できる社会の実現を目指す。
なお本システムの早期導入を目指して、トヨタは関係省庁や民間企業と積極的に連携を図って開発を進めてきた。具体的には2013年にITS GREEN SAFETY官民実証実験に参画し、システムの社会的効果と受容性を検証。さらに2014年10月に設置されたITS Connect推進協議会への参画を通じ、円滑な導入と本格普及に向けた環境整備に取り組んできた。
以下に搭載したシステムの概要と、本システム対応の路側装置の写真を紹介する。
1.路車間通信システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)
右折時注意喚起
交差点(本システム対応の路側装置が設置された交差点・信号機のみ、以下同)で右折待ち停車時に、接近する対向車線の直進車や、右折先に歩行者がいるにもかかわらず、ドライバーがブレーキペダルから足を離して発進しようとするなど、見落としの可能性がある場合に、表示とブザー音により注意喚起する
赤信号注意喚起
赤信号交差点に近づいてもアクセルペダルを踏み続けて、ドライバーが赤信号を見落としている可能性がある場合に、表示とブザー音により注意喚起する
信号待ち発進準備案内
赤信号で停車したとき、赤信号の待ち時間の目安を表示する
2.車車間通信システム(CVSS:Connected Vehicles Support Systems)
通信利用型レーダークルーズコントロール
先行車が通信利用型レーダークルーズコントロール対応車両の場合、車車間通信により取得した先行車両の加減速情報に素早く反応し、車間距離や速度の変動を抑えて、スムーズな追従走行を実現する
緊急車両存在通知
サイレンを鳴らしている緊急車両(救急車/ただし本システムに対応した通信機搭載車)が周辺にいる場合にブザー音が鳴り、自車に対するおよその方向や距離、緊急車両の進行方向を表示する。