スバル・トレジアとトヨタ・ラクティス兄弟車誕生 動画レポート

2010年11月22日にトヨタ・ラクティスが発表され、その1週間後の29日にスバル・トレジアが発表された。じつは、この2車は同じクルマで、スバルとしてはディアス、ルクラ、デックスに次ぐ4番目のトヨタグループOEM車となる。

 

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↑左)トヨタ・ラクティス 右)スバル・トレジア

1.3L〜1.5Lクラスのため、明確な商品特徴を訴求できるかどうかがポイントになるだろう。スバルはこれまでデックスをこのセグメントに投入しているが、やや特異で、その個性的な存在はエントリーユーザー層に浸透するまでに至っていない。そこで、今回のトレジアをコンパクトクラスのエントリー層向け商品の本命と位置付けているのだ。ただ、激戦区である

販売にあたっての広告イメージ訴求は、トヨタとスバルではかなり異なっており、トヨタは極端といえるほど若いファミリー層にターゲットを絞り込んだ広告展開が行われている。いっぽうのスバルは、走りのイメージを少し強調している。テレビCMでもトヨタは女性タレントの新垣結衣さんと若いファミリーを起用したのに対し、スバルは俳優玉山鉄二さんと映画トップガンをイメージさせるハードな演出という、まったく違った路線になっていることも興味深い。

しかし市場の実状は、低コストのコンパクトクラスを求めるのは若い層だけではなく、着座位置が高めでヘッドクリアランスが大きいというコンパクトトールワゴンは、乗降性がよいため熟年層に好まれる傾向もあると思う。

さて、トヨタのラクティスは、ヴィッツからの派生モデルであるファンカーゴの後継車だ。ファンカーゴは初代ヴィッツのプラットフォームを採用し、日本ではファンカーゴ、ヨーロッパではヤリス・バーソの名称が与えられたこともあり、本来の狙いであるBセグメントのトールワゴンとは異なったサブコンパクトサイズのバンというイメージがついてしまった。そのために、次世代はラクティスと名称変更した経緯がある。またファンカーゴは、カローラ、ビスタ店で販売されたが、ラクティスからはカローラ、トヨペット店での扱いになっている。

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↑トレジア

そして、初代ラクティスは2代目ヴィッツのBプラットフォームを採用しており、今回の新型ラクティス/トレジアも同様にBプラットフォームである。また、開発・生産は関東自動車工業が担当しているが、今回の新型は開発段階でスバルの開発メンバーが加わる形で開発が行われたという。

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↑トレジア

そもそもラクティスの開発コンセプトは、ヴィッツよりやや上位に位置するBセグメントのトールワゴンであり、オールラウンドなファミリーカーとされる。つまり日常での使い勝手の良さ、低燃費・経済性を備えながらロングドライブもできる多用途のコンパクトカーというものである。だから、機能的には5名乗員で、トールワゴンならではのラゲッジスペースも最大限に追求し、インテリアの質感なども注意が払われているわけだ。

2代目にあたる今回のラクティス/トレジアもキープコンセプトで、性能の熟成と室内スペースの拡大などが行われている。ちなみに、ラクティスとトレジアの相違点はフロントバンパー、グリル、ボンネット、左右のフェンダーである。

ラクティス/トレジアの競合車といえば、オペル・メリーバ、ルノー・グランドモデュス、キア・ヴェンガ、ヒュンダイ・IX20、日産・ノートなどがあげられるが、ライバル車をみてもわかるように主戦場はヨーロッパとなる。また、日本では日産・ノート、ホンダ・フリードスパイクなどと競合することになる。ボディサイズではフリードスパイクがやや大柄で、ラクティス、ノートは全長4m以下であることを守っている。

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↑左)フィット 右)フリードスパイク

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↑左)ノート 右)ラクティス

トールワゴンの特徴といえば、ベースになっている2ボックス車より全高が高いことである。ラクティス/トレジアの全高は1585mm(ヴィッツは1520mm)で立体駐車場には収納できないが、全高が高い分だけ乗員の着座姿勢はアップライトになり、後席の足回りスペース、ヘッドクリアランス、ラゲッジスペースは有利になる。これがトールワゴンのメリットだ。

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新型ラクティスのデザインはトヨタのデザインテーマVIBRANT CLARITY(活き活き明快)を体現しつつ、ワンモーション、ロングルーフにまとめ、ヨーロッパの走りを意識して空力特性も洗練している。パッケージングでは、室内幅を従来モデルより40mm拡大し、ラゲッジスペースの前後長も延長し、ラゲッジ容量は5名乗車時で429L、2名乗車時で852Lとクラストップになったという。

また改良点として、後席のクッションの厚さを増大させたり、走行時の室内静粛性なども改善されている。エンジンは従来通り1.3L、1.5LでいずれもCVTとの組み合わせになる。1.5Lの1NZ-FE型は従来通りでキャリーオーバーとなる。しかし、1.3Lの1NR-FE型は吸排気VVTを新採用し、燃焼効率の改善が図られている。燃費は2機種とも20.0km/Lで、4WD車は18.4km/Lである、燃費としては日産・ノートと同等である。

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↑トレジア・タイプユーロ

なお1.5Lには7速MTモード、スポーツモードを備えたアクティブCVTも設定している。サスペンションはフロントがストラット式、リヤがトーションビーム式で従来と同じだ。ただしラクティスのSグレード、トレジアのタイプユーロは、スプリング、ダンパー、スタビライザーを専用チューニングしスポーティに仕上げたグレードになっている。ゆえに、このグレードはパドルシフトとリヤブレーキがディスクとなる専用装備だ。VDC(ステアリングアシスト制御付き横滑り防止機能)&トラクションコントロールはS、タイプユーロにオプション設定されている。したがって、標準車はEDB付き(制動力分配装置)ABSのみとなる。

トレジア価格

↑トレジア価格表 ↓ラクティス価格表

価格表

文:編集部 松本晴比古

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