【試乗記】スズキ スペーシア 各社横並びの便利さの中でもスズキらしいアイディアも注入

スズキのスペーシア、スペーシアカスタムがモデルチェンジを行ない、山梨県の河口湖周辺で試乗してきたのでお伝えしよう。

(左)スペーシアカスタム HYBRID XS ターボ / (右)スペーシア HYBRID X

スズキのスーパーハイトワゴンのスペーシアとスペーシアカスタムは、ホンダN-BOXの人気を追いかける2番手で、スズキの基幹機種でもある。したがってN-BOXに負けない魅力を持ってユーザーへ訴求していくことになるが、このスーパーハイトワゴンに属するカテゴリーは各社から力の入ったモデルがリリースされており、競合ひしめく市場でもある。最近では三菱のデリカミニもこのカテゴリーになるのだ。

そうした競合が多数存在することで、ユーティリティでも甲乙つけ難く、市場の声を色濃く反映し便利な機能を満載しているというモデルばかりだ。パワーユニットは自然吸気とターボの2タイプであり、排気量や出力も横並びで、言うまでもなくボディサイズも各社横並びという状況。

甲乙つけ難いユーティリティ

そうした中でデビューした6年ぶり三代目となるスペーシアは、モノを運ぶコンテナをモチーフとしたエクステリアデザインにし、広い室内空間をより使いやすく快適なモデルへと進化させてデビューした。

ユニークなアイディアのひとつとしてリヤシートに、マルチユースフラップをスズキで初めて採用している。これはリヤシート座面の先端、サイサポートする部分が稼働し、伸ばすとオットマンになり、また角度調整することで走行中の姿勢安定をサポートする働きもする。そしてオットマンと逆側に角度をつけると座面に置いた荷物が落下しないストッパーとしても利用できるなど、スズキらしいアイディアを装備していた。

新採用のリヤ・マルチユースフラップ

細かなところではUSBはAとCの両タイプを装備したり、スマホやタブレットを立てかけることのできるストッパー、幼児用マグや500mlの紙パックにも対応したドリンクホルダー、テーブル格納時でも使用可能なショッピングフックを備えるなど、細かな配慮が多数ある。そのため、どれも甲乙つけ難いとなるわけだ。

ひとつ疑問に思えたのが後席のスライドレバーだ。これが荷室フロアにベルトのタブがでており、これを引くことでスライドするのだが、荷物を搭載したあとからでは使いにくいのではないか?と思った。デリカミニはショルダー部分にレバーが設置されているので、どのタイミングでも片手で簡単にリヤシートのスライドができたことを思い出すと、使い勝手がどうか?が気になった。

クラストップレベルの省燃費

一方、走行性能ではエンジンがR06Aからハスラー、ワゴンRに搭載しているR06D型へと最新のエンジンに変更され、クラストップレベルでWLTCモード25.1km/Lの低燃費も実現している。スペーシアカスタムのトップグレード「ハイブリッド XS ターボ」の4WDでは19.8km/Lの燃費となっている。

その省燃費のエンジンで走行してみても、力不足を感じる場面は特になく急な上り坂や高速走行での追い越しといった場面でなければ気にならない。そのあたりも各社横並びで、ターボであればそうした場面でも大きな不満は出てこないと思う。

走行ノイズでは減衰接着剤や遮音バッフルの追加により静粛性を高めているものの、クラスレベルといったところ。近年、軽自動車のレベルは高まる一方でコンパクトカーを凌ぐ静粛性や空間の広さも際立っている。特にカスタムモデルは静粛性や全体のインテリア質感、乗り心地、静粛性のレベルは高く、ライバルはコンパクトカーと言える。

一方で標準車のNAエンジン搭載モデルとの差異は大きいと感じられ、標準車は実用車に特化しているようにも感じられる。フロアパネルからの振動やノイズの入り込み、ステアリングへの微振動の伝達などがあり、クラスレベルではあるものの、ターボの仕上がりがいいだけに気になる違いと言えそうだ。

安全装備や運転支援システムもアップグレードされており、運転支援ではステアリングのボタンのワンタッチで、今、走行中の速度ですぐさま運転支援アシストが作動するのは便利だ。ACCを作動させるために2アクション、3アクションあると、どうしても手元を見ることになるが、ワンアクションのスペーシアはそうしたことをせず、簡単に機能を使うことができた。また車線中央を維持するレーンキープも搭載。試乗当日、横風が強かったが、このレーンキープのおかげで車線維持が楽に感じられたのだ。

カスタム HYBRID XS ターボのインテリア

また新型スペーシアはAピラーを細くし、死角を減らすために大きめの三角窓も装備することと、フロントの視界が広いことと合わせて、見晴らしがよく運転しやすい。ダッシュボードはやや高い位置にレイアウトされているが、それが功を奏してナビ画面への視線移動が少なく、とても見やすかったことが印象に残っている。

安全装備系ではミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた新システムは従来より、画角や検知エリアが拡大しており、カーブを認識すると減速するまで認知度が上がっている。さらにデュアルセンサーブレーキサポートⅡでは、自転車バイクの検知や交差点での衝突回避支援にも対応している。これらの機能は試乗では体験することはないが、運転支援、安全系は常にアップデートされていることをお伝えしておこう。

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