スズキは2023年11月9日、フルモデルチェンジし、3代目となる軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」、「スペーシア カスタム」を発表。11月22日から発売を開始する。
■ コンセプトとラインアップ
軽スーパーハイトワゴンは、当初は子育て世代向けで、広くフレキシブルな室内空間を訴求点にスタートしたが、その後は普及が進み軽自動車における基幹車種となっている。
そのため、現在は軽ハイトワゴン市場は、販売台数の増加に伴い、保有台数が大幅に増大し、これまでの軽スーパーハイトワゴンからの代替えが主流になっている。室内の広さやスライドドアの利便性がすでに経験しているユーザーに対して、新たな付加価値が必要となっている。
新型「スペーシア」、「スペーシア カスタム」は、「わくわく満載!自由に使える安心・快適スペーシア」をコンセプトに、新型スペーシアは、広い室内空間に新たな付加価値と機能を盛り込み、あらゆる領域で進化させることが大きなテーマになっている。
具体的な商品コンセプトとしては、デザイン面ではわくわく感にプラスしてさらに楽しさを追求。パッケージングでは、広い室内を活用するアイデアを重視し、特にリヤ席の快適性を一段と向上。またファミリーカーであることを前提に上級モデル並みの安全性を追求。使い勝手で向上やインフォテイメントの機能を高めること、優れた燃費と快適な乗り心地の両立を図ることに絞られた。
新型のラインアップは、スペーシアはHYBRID X、HYBRID G、スペーシア カスタムはHYBRID XSターボ、HYBRID XS、HYBRID GSという合計5機種の展開で、全てマイルドハイブリッド・システムを搭載している。
■ デザイン
新型スペーシアは、大容量のコンテナをモチーフとし、頑丈でたくさんの荷物を詰め込める印象とすることで、日常生活まで楽しくなるようなワクワク感のあるデザインと、使い勝手の良さを表現している。
特長は頑丈なコンテナのプレス面を連想させるボディーサイドのビード形状や、工業製品に用いられる角を面取りしたような造形を取り入れたデザインだ。Dピラーとボディを同色とすることで、コンテナのような大きさと丈夫さを表現し、トーンルーフ仕様車は、Dピラーのルーフとボディーカラーを繋ぐ部分にシルバーのアクセントカラーを施しアクセントを付けている。
また春に咲く花のような柔らかみのある色を表現した「ミモザイエローパールメタリック」と、使い込んだ革製品のような深みのある色を表現した「トーニーブラウンメタリック」を新色として設定。
スペーシア カスタムは、上質感と存在感をより強調したクールなスタイルを追求。メッキと艶のあるブラックを組み合わせた大型のフロントグリルやメッキフロントバンパーガーニッシュ、メッキバックドアガーニッシュで、デザイン面を強調。
さらに内部をブラック化した薄型フルLEDヘッドランプとLEDフロントシーケンシャルターンランプ、クリスタル感のある肉厚インナーレンズのリヤコンビネーションランプを採用し、華やかな印象としている。またHYBRID XS、HYBRID XSターボは、スタイリッシュなデザインの15インチ切削アルミホイールを装着している。
ボディカラーは、「ピュアホワイトパール」や「インディゴブルーメタリック2」など上質感のあるカラーを採用し、モノトーン7色、ブラック2トーンルーフなど104色の全11パターンを設定している。
インテリアは、スペーシアはブラウンを基調としたインテリアに、サイドルーバーガーニッシュやドアアッパー部分にマットな質感のカフェラテ色を配色し、居心地のよい室内空間を演出。シート生地はアウトドア家具のような心地よい雰囲気のグレー基調のカラーメランジシート表皮としている。
スペーシア カスタムは、ブラック基調で、セミマットな質感のボルドーと光沢のあるピアノブラックの加飾のコントラストにより、上質で落ち着いた雰囲気を演出。シート生地はスエード調起毛で仕上げたシート表皮としている。さらにHYBRID XS、HYBRID XSターボは、シートサイド部を艶のあるパイピングを施したレザー調とすることで、より上質感を強調。
キャビンは、乗り降りのしやすいリヤステップ地上高(345mm)やスライドドア開口幅(600mm)、開口高(1250mm)に加え、乗降グリップを拡大し、後席の乗降性を向上。
またリヤシートは、スズキ初のマルチユースフラップを採用した。シート座面前部のフラップの位置や角度を調整することで、くつろぎ感を得られるオットマンモード、走行中の姿勢安定をサポートするレッグサポートモード、荷物の落下を予防する荷物ストッパーモードの3つのモードが選べ、より快適な後席居住性を生み出している。
さらにリヤシートのセンターアームレストは左右独立式に、リヤのエアコン性能を高める静粛性を高めたスリムサーキュレーターも採用している。
■ 安全性能と装備
新しい衝突被害軽減ブレーキ、デュアルセンサーブレーキサポート㈼の搭載などにより、上級車と同等レベルまで安全装備を充実させている。
センサーにはミリ波レーダーと広角の単眼カメラを組み合わせ、検知対象を車両や歩行者、自転車、自動2輪車まで拡大。交差点での検知にも対応した衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート㈼」をスズキで初めて採用し、全車に標準装備としている。
さらに前後バンパーに内蔵した超音波センサーが前方・後方の障害物との距離を測り、衝突の可能性があると判断した場合に、衝突被害軽減ブレーキによる衝突の回避または被害軽減を図る「低速時ブレーキサポート(前進・後退)」を全車に標準装備した。
また上級グレードには、車線維持支援機能、先行車の追従走行や定速走行に加え、カーブを認識しカーブ手前で自動で速度を抑制するカーブ速度抑制機能や、車線変更時の加減速を補助する機能、割り込みなどに対する接近警報機能などを搭載した、アダプティブクルーズコントロール(ACC)[全車速追従機能・停止保持機能付]を採用している。その他に、先行車・信号切り替わり告知機能も全車標準装備としている。
また装備としては、エントリーモデル以上では電動パーキングブレーキをスズキの軽自動車として初採用したほか、ステアリングヒーターも上級装備として採用。
ドライブレコーダー連動、HDMI入力対応、スズキコネクト連携機能を新たに搭載したスマートフォン連携メモリーナビゲーション(19万5800円)をメーカーオプションとして設定。これによりコネクテッドサービス、緊急自動通報も可能になっている。
■ ボディ、パワートレイン
ボディ骨格は、軽量で高強度な超高張力鋼板の使用率を高め、ボディー重量の軽量化を実現。フロントインナーパネル(運転席側)には、スズキ初となる1470MPa材を採用するなど、980MPa以上の超高張力鋼板使用率は従来の16%から18%にアップした。
ボディ骨格全体は環状骨格構造とし、剛性を向上。また構造用接着剤を多用することで操縦安定性の向上やボディの質感を高めている。さらにリヤ・サスペンションのバンプストッパーの特性変更で後席の突き上げを改善し、道路の段差を通過したとき、乗員にかかる突き上げ(上下加速度)が25%低減し、乗り心地を高めている。
自然吸気エンジンは、燃焼効率を高め燃費も向上させたR06D型エンジンを搭載し、ターボ・エンジンはR06A型ターボ・エンジンを搭載。CVTトランスミッションと組み合わせている。また全モデルにマイルドハイブリッド・システムを搭載している。これらにより燃費性能も一段と向上を図っている。