【スズキ】スペーシア・カスタム試乗記 個性を強調する一方で最大級のスペースと使い勝手を両立 レポート:松本晴比古

マニアック評価vol209

スペーシア・カスタム TS

2013年6月中旬、スズキは軽自動車のスーパートールワゴン、「スペーシア」の追加車種として「スペーシア・カスタム」を発売した。「スペーシア」は主婦など女性層にターゲットを絞り、キャビンスペースの広さと使い勝手の良さを訴求したモデルだが、「スペーシア・カスタム」は、パッケージングはベースモデルそのままで、自己主張を強めたエクステリア・デザインとすることで男性を含めたユーザー層を狙ったモデルといえる。

ヘッドライト、グリル、バンパーなどがカスタム専用

もちろん想定ユーザーは実際には、女性でもクルマで自己主張したい人も含まれ、そういう意味でベースの「スペーシア」は徹底して子育て世代の女性重視だが、「スペーシア・カスタム」はユニセックスなクルマになっているのだ。カスタムのラインアップはFFと4WD、52psの自然吸気エンジンと64psのターボエンジン車があり、グレードはGS、XS、TSがラインアップされ、つまりベースの「スペーシア」と共通だが、カスタムのキャラクター的にはやはりターボモデルのTSがフラッグシップモデルということになる。

ターボモデルも自然吸気エンジンと同様にエネチャージ(減速エネルギー回生)、13km/hでエンジンストップするアイドルストップが装備され、モード燃費は26.0km/Lと文句なしだ。さらにターボモデルは、他のグレードが14インチタイヤであるのに対し15インチとしているのが特徴だ。14インチタイヤ装着モデルは指定空気圧が280kPaとかなり高くその悪影響も感じられるのに対し、15インチ装着のTSは標準的な指定空気圧であることもけっこう接地感に貢献している。つまり自然吸気エンジンモデルより乗り心地、特に路面との当たりがマイルドに感じられる。

ブラックのインスツルメントパネルとシート生地で統一されたインテリア

64psのターボパワーは走る道路を選ばないオールマイティな性能を持つことはいうまでもないが、発進時などではややスロットルの早開き特性に慣れる必要がある。発進などで少し飛び出し感が強く感じた。もちろんこの早開きは、発進加速性能を強調する狙いで設定されているのだが。

リヤシートは大人が座って足を組んでもさらに余裕がある

■腰高感がなく、ハンドリングや安定感も良好

ワンアクション・スライドドア(TSに標準装備、XSにオプション設定)、低いステップ高さなど、日常での乗り降りのしやすさ、ベース車と同等のスペースなどパッケージング、多用途性は言うことなしだ。その意味では子育て世代だけでなく、軽自動車サイズで室内空間の広さを生かした使い勝手を望む人にもキャビンのスペースは満足できるだろう。

全高1735mmというスーパーハイトワゴンだが、「スペーシア・カスタム」はボディも思い切って軽量化されているため、腰高感はなく、軽自動車クラスの中でハンドリング、安定感はしっかりした部類に入る。

少し固めで引き締められた乗り心地で、取り回しの良さ、安定感のいずれも不満はない

エクステリアは、カスタム専用のフロントグリル、ヘッドライト、バンパーデザインなど顔付きはベースモデルと同じ車種とは思えないアグレッシブな印象で、ある意味でアクが強い。インテリア、シートのカラーはブラック仕上げ。これもベースモデルとは全く違うテイストにまとめられている。しかしボディカラーはバリエーションがあるが、インテリアはブラック一本槍というのはちょっと選択の幅が狭いと思う。

「スペーシア・カスタム」はトータルで見るとセカンドカー的な軽自動車ではなく、このクルマ1台でファーストカーとして使用できる資質を持っていると言える。

スズキ スペーシア・カスタム諸元表

 

 

スズキ公式サイト

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