スズキ ソリオバンディット試乗記(1.2LMHEV CVT FF)

2020年11月に4代目へとモデルチェンジした新型ソリオ/ソリオバンディットの、バンディットに試乗することができたのでお伝えしよう。

ソリオはご存知のようにAセグメントのコンパクトハイトワゴンのパイオニアで、スズキが新しいマーケットを創出してきた市場だ。2000年に初代がデビューして以来、着実に販売台数を伸ばしてきている。

4代目となったソリオバンディット

荷室の拡大

4代目となる新型ソリオは、スズキの最新のプラットフォーム「ハーテクト」をベースに、パッケージングから、使い勝手、快適性、安全性など基本性能も含めて全領域を見直ししている。特に、市場からの声として荷室の拡大と後席の快適性を上げることと、最新の安全装備の充実などに応えている。

そのため車両は全長で+80mm延長され3790mm、全幅も+20mmで1645mm、全高1745mm、ホイールベースは変更なく2480mmへと5ナンバーサイズのままだが、多少大きくなっている。それでも最小回転半径は4.8mと小回りがきき、実用性の高さは変わらず維持されている。

バンディットのヘッドライトは2段で大型グリルで存在感が増している

改良された荷室だが、後席スライドを一番後端まで下げた状態でも、機内持ち込みできるスーツケースが余裕で複数個収納できるスペースを確保し、もちろんスライドを前に出せば、大きな収納力になる。さらに、床下にも大きなスペースがあり、市場ニーズに応えるサイズになっていると思う。

一方後席の快適性改善では、大幅な変更を行なっているが、実際に後席に乗り試乗してみるともうひとつレベルアップが欲しいと感じた。

後席快適性の課題

改良点としてはリヤサスペンションストロークを拡大し、スプリングもバネ定数を先代比30%上げている。バンプストッパーもリヤのウレタン密度を変更し、フロントはゴムからウレタンへと変更。ダンパーは摺動抵抗低減アイテムを採用し、高応答・飽和特性ピストンバルブを初採用している。

だが、一般道、高速道路ともに、ピストン速度の微低速時に微振動が出ておりシート座面とシート背面に伝わってくる。フロントシートと比較してシート座面の硬度が異なり、やや硬め、しっかり目のシート材質が影響しているのかもしれないし、どこで振動を吸収するか、振動を出さないか、というポイントは残ったという印象だった。

前席と後席では快適性に差がある

バンディットを市街地の常用速度域では知らせると静粛性は高く、運転席、助手席では滑らかな走りと高い静粛性を感じる。が、後席ではフロアからの音も入るため、静粛性はクラスレベルだろう。もちろん、先代のソリオより静粛性、会話明瞭度などの数値は向上しているのだが、前席と後席での快適性に違いがあるという印象だ。

また高速走行になるとフロントでも風切り音とフロアからのロードノイズが聞こえ、やはりクラスレベルだと感じる。これはワンボックス形状だとフロアからのノイズは、どうしても侵入するという傾向が強いことも影響している。風切り音の音源は正確には不明だが、ドアミラー付近から聞こえ、今回のモデルチェンジでドアミラーの取り付け位置を少し下げたことが影響しているのかもしれない。

敏感なアクセルと軽いステアフィール

さて、ハンドルを握ったドライブフィールでは、1.2L 4気筒のエンジン(K12C型)にCVTが組合わされ、マイルドハイブリッドを搭載している。モーター(ISG)は駆動アシストも行ない、発進時のアシストなどを行なっている。が、いわゆるアクセルの早開きのセッティングになっているため、モータートルクがどの程度アシストしているのかを見分けることはできない。

K12C型デュアルジェットエンジンを搭載。12VのISGマイルドハイブリッド

中間加速、追い越し加速でも瞬間的にグッと加速するので、力強さは感じるが、絶対値が変わるわけではないので、それなりの加速ということになる。エンジン音の侵入に対しては改善され、エンジン音自体の音質が丸くこもったように聞こえてくるため、それほど気にならない。エンジンの回転が高くなった状況でも同様の音質のため、やはり気にするほどでもない。

ステア操舵フィールでは高速時の直進の座りはいいと感じるが、アクセルレスポンスが敏感なためか、滑らかにどっしりとした走行をするには、微小舵修正、微小のアクセルワークが必要だと感じる。無意識にそうしたドライビングができれば気にならないが、運転に自信がない、といった人には安心感という点でもう少し車両側でも演出できるのではないかと感じた。

市街地では、逆にそのレスポンスの良さがキビキビした動きに感じ、もたもたせずに走れると感じるだろう。ハンドル操作も軽くでき、グッと加速するレスポンスは運転に不慣れな人でも運転しやすいと感じるはずだ。

先進の予防安全、運転支援技術ではステレオカメラをベースとした運転支援機能が装備され、全車速で先行車追従が可能で、停止まで対応する。操作はステアリングのスイッチで操作できるが、設定速度の表示が小さく、視認性ではもう少し見やすくてもいいと感じる。また、誤発進抑制機能などの予防安全機能も装備し、装備面での性能向上は果たしている。

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