2016年1月21日、スズキはAセグメントのコンパクト・クロスオーバー、「イグニス」を発表し、2月28日から発売する。新型イグニスは、スズキにとってはグローバル戦略車と位置付けられているが、世界市場に先駆けてまず最初に日本で発売されることになった。
◆ポジショニング
新型イグニスは、アクティブなライフスタイルに適合させ、ラフロードや雪道も安心して走ることのできる、ダウンサイザーのためのコンパクトサイズのクロスオーバーだ。印象的でオーナーが愛着を持てるスタイリングを重視した新世代のクロスオーバーだ。
開発コンセプトはそのものズバリの「使い勝手のよいスタイリッシュなコンパクト・クロスオーバー」。
ボディサイズは全長3700mm、全幅1660mm、全高1595mm、ホイールベース2435mmで、最小回転半径は4.7m。Aセグメントのコンパクト・クロスオーバーは国産では初めてで、スズキのグローバル戦略車として、今後は海外市場にも展開される計画だ。
なおこのイグニスのプラットフォームはスズキの新世代Aプラットフォームが採用されているが、最初にこのプラットフォームを採用したソリオよりホイールベースが35mm短くされている。
市街地でも扱いやすいボディサイズで取り回しや使い勝手も重視したパッケージで、クロスオーバーらしく高めのドライビングポジション、大径タイヤを採用している。パワートレーンはデュアルジェット・エンジン+マイルドハイブリッドにより低燃費性能を実現。さらにラフロードや雪道でも安心の4WDを設定している。
コンパクトサイズではあるが、フレキシブルで使いやすいラゲージスペースを実現し、さらに装備ではステレオカメラによる先進安全技術やApple CarPlay対応のインフォテイメントシステムなどを採用している。
◆デザイン
デザインのテーマは、エクステリア、インテリアともに「シンプル・アイコニック、シンプル・スタンダード」とされ、コンパクトカーらしい引き締まったシャープなアッパーボディとロワのボリューム感のある面構成により存在感のあるプロポーションとなっている。またデザインのディテールには、往年のフロンテ・クーペ、セルボ、エスクードなどのデザイン要素を現代風にアレンジして盛り込み、スズキのデザインDNAを受け継いだクルマであることが一目でわかる造形となっている。
ボディカラーはフレイムオレンジ・パールメタリック、ネオンブルーメタリック、ヘリオスゴールド・パールメタリックという3種の新色など合計8色を設定し、オレンジ色のアクセント、チタンカラーのアクセントと2種類のインテリアを設定している。
キャビンのパッケージングは、フロントシートのヒップポイントを615mm、リヤを680mm(ハイブリッドは650mm)とし、見晴らしがよく乗り降りしやすいセミコマンド・ポジションにしている。またクロスオーバーらしく最低地上高は180mm、アプローチアングル20度、デパーチャーアングルは38.3度(2WDは38.8度)と悪路や雪道でも安心できる余裕を与えている。次にインテリアを見てみよう。
キャビンは、エンジンルーム前後長やダッシュボードを短縮することで前後シート間距離をじゅうぶんに確保し、上級グレードのリヤシートは165mmのスライドができる。またラゲッジ容量はリヤシートを畳んだ状態で415Lを確保するなど、日常での使い勝手のよさもアピールポイントだ。
インテリアはシンプルながら斬新なデザインとし、大胆なカラーのコントラストで個性的、印象的に仕上げている。またピアノブラック調パネルとサテンメッキの組み合わせ、高輝度塗装、触感に優れたラバー素材、MZにはステアリングやシフトノブに本革を採用するなど、クラスの常識を超えるインテリアの質感を追求し素材や仕上げが採用されている。
イグニスのボディは高張力鋼板を31%、超高張力鋼板を19.1%、合計50.1%(重量比)と日本車ではトップレベルとなる大幅な高張力鋼板を採用し軽量・高剛性なボディ骨格としている。またシートフレームのプラットフォーム一体化、ステアリングコラムの軽量化など、ボディ細部の軽量化も徹底されている。
サスペンションは新型プラットフォームに合わせて新開発され、フロント・ストラット、リヤはトーションビーム式(FFのみ。4WDはアイソレーテッド・トレーリングリンク式)で、いずれも軽量、高剛性で、フロント・サブフレームはボディ側との結合点を増しているなど細部まで煮詰められ、レスポンスのよいハンドリング、高速安定性、しなやかな乗り心地を追求。
◆パワートレーン
エンジンはソリオにも搭載されている1242ccのK12C型のデュアルジェット・エンジンを搭載。圧縮比12.5で、91ps/118Nmを発生する。このエンジンは最新の技術を網羅し、世界トップレベルの熱効率を誇っている。
このエンジンにベルト駆動の3.1ps/50Nmの直流同期電動機(ISG)、リチウムイオン・バッテリーを組合わせたマイルドハイブリッド・システムを採用している。減速エネルギーをISGで回生し、加速時には駆動モーターとして機能し、加速アシストを行なうことができる。
このためJC08モード燃費は、FFで28.8km/L~28.0km/L、4WDで25.4km/Lを達成している。
トランスミッションは副変速機付きCVTを採用。4WDは後輪への自動トルク配分を行なうことができるビスカスカップリング式としている。また4WDモデルはヒルディセント・コントロール、ブレーキ制御LSD機能を持つグリップコントロールなども採用している。
装備では、メモリーナビとセットオプションで全方位カメラモニターを採用。4個のカメラを使用することでクルマの周囲の俯瞰映像をナビ画面に表示でき、スイッチにより視点の切り替えもできるシステムで、このクラスでは異例の装備設定だ。
またナビシステムはApple CarPlayに対応し、iPhoneのアプリをモニター画面に表示できるなど最新のシステムも採用している。
安全装備は、エマージェンシーストップシグナル、フロントサイドエアバッグ、カーテンエアバッグとセットオプション(セーフティパッケージ)でステレオカメラ式のデュアルカメラサポートを装備でき、クルマ、歩行者などをカメラが検知することで前方衝突警報、自動ブレーキ、誤発進抑制機能、車線逸脱機能、ふらつき警報、先行車発進お知らせ機能などを備えている。