スズキは2021年12月10日、9代目となる新型軽乗用車「アルト」を12月22日から発売すると発表した。
フルモデルチェンジした新型アルトの開発コンセプトは、世代を超えて親しみやすく愛着の湧くデザイン、マイルドハイブリッドを搭載し軽自動車トップの燃費性能、運転支援システム「スズキ セーフティサポート」を全車に標準装備。全高をアップしより広い室内スペース、豊富な収納や利便性の向上、心地よい乗り心地と高い静粛性を目指している。
新型アルトは、従来からのHEATECTプラットフォームを継承しながら、より乗用車性能、利便性を高め、軽自動車トップとなる燃費性能を実現したクルマだ。
エクステリアは、「気軽」、「安心」、「愛着」をコンセプトとし、ベーシックなスタイルにより、誰もが気軽に安心して乗れる親しみやすいデザインとしている。従来型はシンプルさ、簡潔さを訴求したデザインであったが、新型は丸みを加え、デザインモチーフに楕円形を採用することで和やかな表情を作り出している。
また同時に小さな車体でも安心感のある立体的な断面にこだわったフォルムとしている。フロントは、アップグレードパッケージ装着車や最上級グレードにはLEDヘッドランプを採用。ホイールは、シャープなスポーク形状の14インチアルミホイールのほか、楕円形をモチーフとした14インチフルホイールキャップを設定している。
インテリアは、抑揚のある面や線で厚みと立体感により上質感を表現し、毎日乗っても飽きのこないデザインとしている。
インパネとドアトリムに落ち着きのあるネイビーカラーを採用し、質感の高さや居心地のよさを表現。またシート表皮はあらゆる世代で親しまれているデニム調の表皮を採用。シート背面はブラウンとし、シート全体で親しみやすさを表現している。
グレード展開は、ベーシックモデルとしてA、L、上級のハイブリッドモデルHYBRID S、HYBRID Xの2グレード、合計4グレードの展開となっている。
パッケージングは、従来型より全高を50mmアップし室内高は45mm高くなっている。また室内幅は25mm増大。着座姿勢をよりアップライトにすることでヘッドクリアランスや左右のショルダースペースを拡大させている。
またフロントドアの開口部の高さを20mm拡大して前席の乗降性を向上させ、リヤゲートは荷室開口部の地上高が低められ、同時に開口高は高められているのでラゲッジの積載性を向上させている。
室内では、新設のインパネトレー(助手席)やフロアコンソールトレー、インパネドリンクホルダー(運転席、助手席)をはじめ、大型のスマートフォンも収納できるインパネセンターポケットなど、ドライバーから手の届く位置に豊富な収納スペースを設置している。
インパネ中央には、上級グレードはスマートフォンなどが充電できるUSB電源ソケット2個を新たに装備。またスズキ初となる7インチのディスプレイオーディオを採用し、バックアイカメラや全方位モニターの映像を表示できるほか、燃費、航続距離情報や車両警告情報など、車両情報の確認ができる。
もちろんラジオの視聴やBluetooth接続による音楽再生の他に、スマートフォンとの連携によるナビ表示、ヘッドアップディスプレイへの交差点案内表示など充実した機能を搭載している。
パワートレーンは、マイルドハイブリッド(HYBRID S、HYBRID X)とエネチャージ(A、L)の2種類を設定。ハイブリッドはR06D型エンジンとISG(モーター機能付発電機)と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッド システムを搭載。R06D型は吸排気VVTを装備し、ボア・ストロークは61.5mm×73.8mmで、圧縮比は12.0。出力は49ps/58Nm。ISGの出力は2.6ps/40Nmとなっている。
マイルドハイブリッド モデルはWLTCモード燃費で軽自動車トップの27.7km/Lを達成し、軽自動車初の2030年度燃費基準95%達成でエコカー減税(重量税)免税となっている。
エネチャージ モデルのA、Lは低燃費と力強い走りを両立するR06A型エンジンを搭載し、減速時のエネルギーで発電、充電してエンジンへの負担を軽減して軽快な走りを生み出している。WLTCモードの燃費は25.2km/Lとなっている。R06A型エンジンのボア・ストロークは64.0×68.2mm。圧縮比は11.5。出力は46ps/55Nm。
新型アルトのプラットフォームは、従来型を踏襲しているがボディ骨格はバックドア、センターピラー、サイドドアに環状骨格を採用。さらに超高張力鋼板、高張力鋼板の採用を拡大し、より高剛性化している。
また静粛性能も大幅に高められ、こもり音や微振動を低減させ、室内の快適性を向上させている。
サスペンションも、チューニングが熟成され、より乗り心地を向上していることにより快適性を高めている。
運転支援システムは、予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を全車に標準装備としている。夜間の歩行者も検知するステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」をはじめ、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能を備えている。
また全方位モニター付ディスプレイオーディオ装着車、全方位モニター用カメラパッケージ装着車はフルカラーのヘッドアップディスプレイを採用。さらにステレオカメラが認識した道路標識をヘッドアップディスプレイに表示する標識認識機能[最高速度、はみ出し通行禁止、補助標識「終わり」、一時停止、車両進入禁止]も採用した。
さらに全方位モニター用カメラ装着車には、狭い道を低速(5km/h以下)で走行中、ステレオカメラが対向車とのすれ違いを検知し、自動でモニターに「サイド(左側)+フロント映像」を表示し、狭い道でのすれ違いで死角を減らし、壁や対向車との接触防止をサポートするすれ違い支援機能を搭載している。
新型アルトは、走りの性能を熟成するとともに、今後の電動化の第一歩となるマイルドハイブリッドを搭載し、軽自動車トップの燃費を実現。その一方でアルトに課せられた使命である低価格も訴求している。
想定されるユーザーは、法人のフリート以外に、老若男女を問わない幅広い世代にアピールする扱いやすいハッチバックということができる。その一方でターボエンジンを搭載するアルトワークスは追加設定されるかどうかは気になるところである。