2013年7月17日、スズキはスイフトをマイナーチェンジを実施。1.2Lエンジン搭載車で26.4km/Lというクラストップの燃費を実現、より商品力をアップさせた。
スイフトは欧州市場で通用する走行性能と存在感のあるコンパクトなデザインというコンセプトのもと、2004年にデビューし2010年にフルモデルチェンジを行っている。
一方国内での評価では、リッターカークラスを購入したユーザーへのアンケート調査の結果、スイフトには走行性能を求めることが多く、燃費に対する期待が大きいユーザーはスイフトの走りや足回りの良さなどを見逃しているという見方をしている。
平たく言えばスイフトには走りの性能を求めるユーザーは多いが、燃費を期待するユーザーは少ないという結果でもあり、低燃費と力強い走りを両立させ、燃費を気にするユーザーも取り込むために、新たにエンジン等を改良し、26.4km/Lというクラストップの燃費を実現したというわけだ。
そのために軽自動車への技術として投入された「スズキグリーンテクノロジー」をスイフトにも初搭載している。つまり減速時のエネルギーを利用して発電するエネチャージや停車前の減速時、アクセルを離した瞬間から燃料カットし、さらにブレーキを踏んで13km/h以下になると自動でエンジン停止する新アイドリングストップシステムを採用。そして蓄冷材を通した冷風で冷やすエコクールを搭載し低燃費を追及している。スズキグリーンテクノロジーの詳細については既報の記事を参考にしてほしい。
さてこのスズキグリーンテクノロジーの初搭載とともに、新たなエンジンを開発。スイフトに搭載される「デュアルジェットエンジン」は、K12B型を改良したもので圧縮比を上げながら、燃焼効率の改善、エネルギーロスの低減などにより熱効率を上げたエンジンとしている。
燃焼室形状の見直し、吸気ポート、ピストン形状の変更を行い、燃料噴射弁を2つに増やしたのがデュアルジェットというネーミングの由来である。1気筒あたり2つの燃料噴射弁配置は、燃焼室に近づけ筒内直入率を高めることで筒内温度を低減。燃焼室まわりの冷却性能の向上、クールドEGR採用により、ノッキング抑制効果を高めている。また、圧縮比は従来の11.0から12.0まで引き上げられ、91ps(67kw)/6000rpm、118Nm/4400rpmの出力を持つ。
またフリクション低減では、ピストンスカート摺動面積を約30%低減させ、タイミングチェーンは背面形状・表面粗さ変更、オイルポンプローター小径化などを行ない、空力面でもタイヤへの風当たりを防ぐリヤストレイキ(整流版)の装着、車高の10mmダウン(FFモデル)など空力性能を上げている。
この新デュアルジェットエンジンは1.2LのCVT搭載グレードのXG-DJE、XL-DJE、XS-DJEに搭載され、エコカー減税は100%免税となる。そして特別仕様車RS(4WD)にも搭載される(詳細後述)。なお従来のXG、XL、XSグレードは、フェイドアウトとなる。*その後の取材で従来モデルも併売されることがわかった。訂正してお詫びいたします。
今回の一部改良ではESPを全機種標準装備したのも嬉しいニュースだ。ESPは各種センサーにより走行状態を監視。タイヤのスリップや横滑りを検知すると必要に応じて自動的にブレーキがかかり、エンジン出力もコントロールされ車輌の安定走行を支援する。
エクステリアでは加飾を効果的に配することで新たらしさと共に、スポーティな走りのイメージを表現するために、新形状のバンパーグリルを採用。ロアグリルはよりワイドに、ラジエターグリルは立体感のあるメッシュタイプとした。XS-DJE、XSにはフォグランプベゼルに上質なLEDイルミネーションランプを採用。XL-DJE、XL、XS-DJE、XSには新デザインの16インチアルミを採用している。また車体色に新色ルミナスブルーメタリックをはじめ全6色の車体色を設定した。
迫力あるフォルムを演出する専用開発のフロントアンダースポイラーやリヤアンダースポイラーを採用し全長を25mm拡大。新開発の専用ファブリックシート表皮、そして新デザインのRS専用エンブレムを装着している。他に欧州チューニングダンパー、ラジアルタイヤ、パワーステアリングコントローラー、本革巻きステアリング、7速マニュアルモードつきパドルシフト(CVT車)クルーズコントロールシステムなど充実した装備を備えている。