2020年2月下旬、スバルWRX STIでニュルブルクリンク24時間レースに挑戦するマシンがベールを脱いだ。これまで当サイトでは開発初期からテストを追いかけてレポートしていきているが、いよいよ本番に向けての準備が最終段階になってきたので、お伝えしよう。
じつは、2月26日に富士スピードウェイで行なうシェイクダウンテストが公開予定だったが、その1週間前に行なわれた4回目のテストにも立ち会うことができたので、そこで得た情報からまず、お伝えしよう。
最終段階に
前回のテストは19年の年末12月25日に行なわれている。この時のテストのメインとなったのはロールセンターを上げ、トレッド幅の変更、アッカーマン・ジャントージオメトリーの見直しというのが操安上のハイライトで、ダイナミックテストではABSの制御変更と藦材の見直しなどが行なわれている。
他にもサメ肌塗装のテストやリヤウイングをスワンネックの吊り下げ式に変更、燃料タンクの形状変更、フロントフェンダーを含む空力デザインの見直しなどがあった。
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そして、この時に得たテスト結果を持ち帰り、その後はオートサロンへの展示などを経て2月中旬のテスト走行となった。
2月中旬のテスト
年末のテスト結果から、ハード部分で変更されたのはスタビライザーの変更だ。ロールセンターを上げ、リヤサブフレームのブッシュ変更などからボディへの入力が変化し、剛性感も変わってきているという。そのため、サスペンションを柔らかめの方向に変更し、スタビライザーも19年仕様より細めに変更するなどを行なっている。
他にもタービン、クロスメンバー、サスペンションなどが新品になり、アタリを出す意味も含めてテストが行なわれた。さらに、風洞テストも行なってデータが取れているため、新設計のリヤウイングの角度なども微調整のレベルにまでになってきていた。
そして、この日の目的のひとつにタイムアタックがあった。富士スピードウェイは毎年開発の基準となるコースで、もちろん群馬のスバルテストコースでの試走はしているものの、レーシングカーレベルになると本格的サーキットでのテストが重要だ。
その富士スピードウェイで、19年仕様では1分45秒532というタイムがベストであり、44秒台へ入るレベルにまで引き上げたいというのが、20年仕様の狙いであり、辰己総監督を始めチーム全員が目指しているタイムだ。富士でのベストタイムが更新できれば、本番のニュルのコースでもタイムを短縮できるという相関はあるようだ。そのため、この日は30分の占有走行枠を2枠確保してのテストだった。