2015年3月4日、スバル/STIは富士スピードウェイで、2015年ニュルブルクリンク24時間レースに出場するWRX STIのシェイクダウンテストを実施した。
スバル/STIは、2014年のニュルブルクリンク24時間レースには、日本未発売のWRX STIで出場した。今年は、新たにニュルブルクリンク24時間レース用にさらに熟成を進め、パフォーマンスを向上させたニューマシンを投入する。
ニューマシンは、1月に開催された東京オートサロンに出展され、さらに3月3日から開幕したジュネーブ・モーターショーでも展示されている。なおジュネーブで展示された車両は、2014年マシンのエクステリアなどを2015年仕様に変更した展示用のマシンである。
2015年バージョンの大きな特徴は、初の左ハンドル仕様としていることだ。これはレース現場において、コースサイドのポストが確認しやすいなど、地元出場車と同様の条件にするためである。
今回シェイクダウンテストを行なったWRX STIは、2月21日にスバルの群馬製作所内にある風洞で空力性能の確認を実施した。この風洞は5ベルト式ムービングベルトを持つ実車風洞で、2015年仕様のWREX STIは、十分なダウンフォースを得ながら、コースの後半に待ち受ける長いストレートからグランプリコースの第一コーナーに至る高速セクションで、空気抵抗を低減することを目的としている。
その結果、エクステリアはリヤウィングのマウント位置をレギュレーションで許される最後端に移動し、それに合わせフロントアンダースポイラーとカナードを調整式としている。さらに車体の側面を流れる空気の抵抗を低減するように、フロント、リヤのフェンダー形状を工夫し、エンジンルーム内を通る空気を効果的にボンネット上面に排出。リヤはフェンダー内の空気を後方に排出できるように、ボディ形状を工夫している。
また、2015年仕様のボディ開発段階では、初めて4輪加振装置を使用する。車体の負荷やひずみを測定し、効果的な補強を行なうことで実戦でのより高いレベルでの安定性と操縦性の両立を図っている。
今回のシェイクダウンテストは、初のサーキット走行となったが、走行開始直後は富士スピードウェイのコースはわずかに濡れており、セミウェットタイヤでの走行となった。その後コースは乾き始め、テスト後半でようやくスリックタイヤを装着することができた。
今回のシェイクダウンの後、WRX STIはドイツに送られ、3月28日に開催されるVLN(ニュルブルクリンク耐久レース)シリーズ第1戦、4月25日の第2戦に出場。現地でのチューニングを行なう予定となっている。
チーム体制は、従来通りSTIの辰己英治氏がチーム総監督、小澤正弘氏が監督を務め、新村大輔(北海道スバル)、小山田優(新潟スバル自動車)、村木大介(神奈川スバル)、寺田英生(滋賀スバル自動車)、寺山健路(山口スバル)、黒木英樹(南九州スバル)の6名がレースメカニックとなっている。
ドライバーは、佐々木孝太、ティム・シュリック、マルセル・ラッセー、カルロ・ヴァンダムの4ドライバーだ。