スバルのAWD雪上試乗記 クロカン4WDが走るような場所をインプレッサで走れるスバルのAWD スバルテックツアーvol.4

マニアック評価vol504
SUBARUテックツアーvol.4

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スバルオールラインアップ雪上試乗会

スバルのコア技術でもあるシンメトリカルAWDの雪上試乗会が開催された。オールラインアップが用意され、スバルがもつ4種類のAWD制御を試し、体験することができたのでお伝えしよう。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

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近年オンデマンド式AWDが増える中、センターデフを使ったAWDは数が減ってきている。というか、かつてはこの機械式しかAWDはなく、制御の難しさから、なかなか日常的に利用できるAWDが少なく、パートタイムでの利用という時代が長かった。

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AWD開発の歴史だ。東北電力からの要請でスバルのAWD開発が始まった

そうした時代にスバル1980年代からフルタイムAWDを乗用車に採用をはじめ、スポーツAWDとしてその進化を続けている。その結果現在ではAT用とMT用のAWDシステムが生まれ、さらにWRX STI専用のスポーツAWDまで誕生させ、機械式フルタイムAWDのオーソリティとして市販車輌に技術投入しているわけだ。

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では早速、その4種類のAWD制御について確認してみよう。

■アクティブトルクスプリット方式=ACT4(アクトフォー)AT用
前後のトルク配分は60:40でロックが可能なシステム。センターデフの代わりに、電子制御油圧多板クラッチを備えている。作動は走行状態に合わせて油圧多板クラッチの締結力をコントロールし、滑りやすい路面ではクラッチはロック状態になり50:50の配分になる。採用車種はレガシィ、フォレスター、インプレッサ、XV、クロスオーバー7のCVTおよびAT用で最も多車種に展開している。

今回このACT4の制御をさらに進化させ、発進時のトラクション性能を向上させている。これはスタックの状況での脱出性能を上げていることと、スリップ制御を変更し、少々のスリップを許容し駆動力の確保と過剰なスリップをさせない制御へと変更している。したがって、加速感の向上があげられる。今回試乗のフォレスターに採用されている新制御となっている。

■VTD方式AT用

VTD-AWDのトランスファー部
VTD-AWDのトランスファー部

45:55で可変前後トルク配分で300psのレヴォーグ2.0、WRX S4のCVTに採用。複合遊星ギヤ(プラネタリーギヤ。位置はトランスミッション直後に設置)とセンターデフに電子制御油圧多板クラッチを組み合わせている。差動はプラネタリーギヤによる減速を利用し、コーナリング時に前輪のトルク配分を少なくすることで、前輪の横グリップ力を確保し、コーナリング性能を重視しているのが特徴。センターデフ内の電子制御油圧多板クラッチにより、走行状態に合わせて前後トルク配分を可変としている。

■ビスカスLSD付きセンターデフ方式MT用

かさ歯車式センターデフとビスカスLSDを組み合わせたトランスファー
かさ歯車式センターデフとビスカスLSDを組み合わせたトランスファー

前後トルク配分は50:50。インプレッサ、フォレスターのMT車に設定されている、オーソドックスなシステムだ。傘型歯車(べベルギヤ)とスリップを感知するとLSD効果を発生するビスカス・カップリングをLSDとして組み合わせている。通常はビスカスが作動しないので、センターデフはオープン状態になっている。

■DCCD方式MT用

DCCDトランスファー
DCCDトランスファー

41:59で可変前後トルク配分でWRX STI(MT)専用に開発されたシステムで、遊星ギヤをトランミッションの背後に配置し、前後のトルク配分を電子制御電磁クラッチ付きのLSDで配分する。また、その差動制限はフロントにヘリカル式、リヤにトルセンの機械式LSDを備え、オートモードとマニュアルモードを備えている。遊星ギヤによる前後トルク配分は41:59。電磁クラッチ式LSDは応答速度が高く、トルク配分を精密に制御し、さらに機械式LSDにより、リニアに強いLSD効果を引き出すという特徴を持っている。マニュアルではLSDからロックフリーまで6段階から選択でき、サーキット走行や競技走行に適合できるようになっている。

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そのDCCDが今回新しい制御に変更されている。それは旋回時センターデフはフリーになっているほうが旋回性がいいわけで、DCCDでは締結のふり幅を増やしている。その結果、加減速時のタイヤのグリップ力は増し、また横方向のグリップも向上させることができたという。また、ステアリングの操舵角も小さくても回頭するように変化している。

そして、オートモードは3つのモード、「オート」「オート+」「オート-」とあり、それぞれスロットル開度、横方向の加速度に対してLSDの強さを変えていく制御になっている。それとマニュアルはトグルスイッチで締結力を変えることができる。これに対し、横滑りのVDC制御は3つのモードがある。

デフォルトはVDCがオンでヨー角度制御、トラクション制御、ブレーキベクタリングが作動する。トラクションモードではトラクションコントロールがなくなり、横滑りとブレーキベクタリングは作動する。が横滑りに関しては、緩い制御となり、ドライバーのコントロール範囲を広げるように変更される。そしてVDCのオフではこれら3つのモードがオフとなる構成になっている。

これは相当複雑であり、マニア受けする理由もわかるが、実際の走行フィールの違いとして感じるのは新旧制御の違いを乗り比べないと分かりにくい。

今回その比較試乗ができたので、その違いをお伝えすると、新制御のWRX STIのほうがアクセルオフで下り坂のような場面で、回頭性の違いをわずかに感じるレベルだ。これはリヤタイヤの駆動力が締結力を弱めることで、プッシュアンダーが出にくくなり、旋回性が上がったように感じるという理屈だ。

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試乗コースは北海道の千歳にある夏場はダートラ場として利用している場所で、路面環境はかなり凸凹が大きくまた、日常では遭遇しないような凸凹、アップダウンのあるテストコースだった。それにも関わらずスタックすることなく、すべてのスバル車は走破しているあたりに、AWDの走破力を感じさせる試乗と言える。簡単に言えば、クロカン4WDが走行して楽しいようなコースをインプレッサやレガシーでも走れるということで、スバルのコア技術を感じることができた。

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また、こうしたハードな雪面状況では4つのシステム違いを感じることは不可能で、いずれも「走破できる」という能力を確認するまでにとどまる。欲を言えばフラットな雪面で、作動、差動の違いなどを体験できると制御の面白さ、難しさが少し感られるかもしれない、という印象の試乗だった。

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