スーパーGT 第6戦 SUGO300kmレース SUBARU BRZ GT300 消化不良気味の4位フィニッシュ

スーパーGT第6戦 SUGO 300kmレースが宮城県村田町にあるスポーツランド菅生で行なわれた。そしてGT300クラスは今回も最終ラップまでもつれる大混戦になり、SUBARU BRZ GT300は4位という結果になった。

3連休中の開催で会場には約3万人のファンが訪れた

9月中旬になっても残暑厳しい天候が続いており、予報でも真夏のような気温がサーキット周辺も続くと報道されていた。が、金曜にサーキットに到着したドライバーの山内英樹は開口一番「寒っ!」と驚き、早速ジャージを着込んでいた。

予選前日の金曜はチームミーティングが行なわれ、スタッフは翌日に備えピットの設営、マシンメンテナンス、車検などの対応に追われている。小澤正弘総監督は「SUGOは得意なコースなので、ここで勝ちに行かないと残り2戦なので厳しくなります」と気を引き締めている。

微妙な天候の中、スタッフがマシンを搬入する

土曜。
午前中の公式練習でマシンのセットアップをしていく。ドライバーは山内英輝。まずはマシンの状態確認のためコースインし、全体のバランスをチェックする。しかしコースはハーフウエットの状況で、レコードラインはドライアップし始めているという状況だ。山内は3周すると「マシンのバランスは問題ない、スリックタイヤでイケる」と伝えた。

そして7周すると早くも2番手タイムを計測した。しかしウエットな部分も残っているコースコンディションは変わらず、チームはこの難しい状況を井口卓人にも確認してもらうことにした。その井口はコースインして3周目には山内の0.2秒落ちまでのタイムを刻み、いろんな部分で順調にまとまっていくことが伝わってくる。

再び、山内に代わり予選用、決勝用のセットアップをしていく。気温23度、路面温度25度というおそらく想定より温度は低いSUGOだったのではないか。それでも順調にセットアップは進み、31周をしたところで公式練習2回目の赤旗中断となり、セッションは終了した。

順調にセットアップを進めた山内英輝

午後から始まるQ1予選でも天気は微妙な空模様。Q1が始まる30分ほど前から雨が降り出し路面は濡れた。しかし開始10分前には乾き始めている。オフィシャルからはウエット宣言が出される状況だった。

B組は井口がQ1突破を目指す。相変わらずウエットなのかスリックなのか微妙なコンディションだが、BRZ GT300はスリックを選択しコースイン。ライバルチームは1ラップしてピットに戻りタイヤを履き替えるチームが続出した。とは言え完全なドライとは言いづらく、レコードラインを外せばスピンないしコースアウトする状況が脳裏をよぎる。

井口にしてみれば状況は回復傾向にあるため、毎ラップ、タイムアタックしている感覚だろう。10分間の予選ではアウト・インラップを含め7周できるかどうか。井口は5周目に1分19秒364を出してトップタイムをマークした。が直後に塗り替えられていく。つまり路面状況がどんどんと回復しているのだ。そのため、遅めのタイミングでアタックをしたマシンが好タイムを出すという状況。井口は6周目、クールダウンするもののラストの7周目に再びアタックし1分18秒749で2位のタイムを出しQ1を突破した。

コースに向かう井口卓人。2位のタイムでQ1を突破した

続くQ2では最多ポールポジション獲得回数の記録を持つ山内がアタックをする。もちろんポールポジションを狙い記録更新を目指す。コースには時折、日が差すようになりコンディションはドライになった。山内は5周目に1分17秒855をマークしトップに立った。井口のタイムを1秒近く上回ることからも路面コンディションが回復していることがわかる。しかし、その山内のタイムを最多ポール獲得回数でライバルの高木真一が1分17秒098という、さらに1秒近く速いタイムをマークし、山内のポール獲得はならなかった。

小澤総監督は「タイヤのマックスグリップまでは使えてなかっただろうから、その分マシン重量増の影響が出ていたと思います」という。じつはこのレースの前、前戦の鈴鹿が終わったあとBoPがBRZ GT300だけ変更され、+15kgのハンデに変更されていたのだ。マシンは1200kgを基本としBoPで+65kgで戦ってきたが、鈴鹿の後に+15kgがプラスされ1280kgがベース重量にされたわけだ。さらにポイント獲得によるサクセスウエイトを69kg搭載するので、シリーズランキング9位でありながらトップチームと似たようなハンデウエイトを背負わされていたことになる。こうしたこともありパーフェクトな予選とはいかなかったようだ。結果、BRZ GT300は予選3位というポジションを獲得し決勝を迎えることになった。

決勝

決勝で装着するタイヤはQ1予選で使ったタイヤが指定された。可能性としてA組の中にスリックタイヤを使っていないチームがいるとすれば、ロングスティントになったときその有利性が出てくるが、こればっかりはレースをやってみないとわからない。

レースにはSUBARUの中村知美会長も応援に駆けつけた

さて、BRZ GT300は井口がスタートドライバーを務め、前を走る96号車と20号車の2台についていき、後半ニュータイヤで走る山内に順位を挽回するストーリーがイメージされた。パレードラップ、フォーメーションラップとそれぞれ1ラップを消化して決勝レースがスタートする。

予選3位からスタートしたBRZ GT300。まずは井口が操る

序盤ポールの96号車が逃げる作戦の様子。それを追いかける展開で上位4台がトップグループを作り、後続を引き離す。トップとは3秒後半ほど離されてしまうが、徐々に追いつき2秒台、1秒台と差は縮む。18周を終えた時点でトップとは1.7秒差だが、井口からはタイヤが厳しいという無線が入る。

想定より早くタイヤの限界が近づいたようだ。レース距離の2/3以上の周回を1人のドライバーが走ることは禁止されており、84周のレースでは28周がミニマム周回数になる。またGT300では79周が想定されるため、23周がミニマムな周回数になる。そのため「あと7周頑張って」と無線が伝える。

燃費も計算されBRZ GT300は28周を終えピットイン。山内と交代するがポジションは6位に下がっている。タイヤ4本交換と給油をしてピットアウト。先行していた5台と1回のピットインを済ませているチームの中では6番手なので、それを合わせると11位でコースに戻ったことになる。

ここから山内の怒涛の追い上げが始まるのだ

ピットアウト後、数周するとGT500マシンのクラッシュがあり赤旗中断になった。じつはこのタイミングでセーフティカーが出る直前にピットインしていた56号車と18号車は、その恩恵を大きく受け、レース再開後の順位は2番手に56号車、3番手18号車という順に入ることができたのだ。一方で山内はピットインを未消化のチームはいるものの、15位にまで順位が下がってしまっている。

その順位があおるのか、山内の闘争心は凄い。42周目のレース再開直後に1台を抜き14位に浮上。そこからは怒涛の追い上げが始まった。トップとの差も10秒以内であり、目の前を走るマシンは全部ライバルという状況だ。ますます、山内の猛攻はつづき49周を終え8位に浮上。52周を終え7位に。その3ラップ後は6位と快進撃が続き、57周を終えたときは5位まで順位を戻していたのだ。

この時、トップとは7.7秒差、目の前には6号車が1.1秒差でいる。しかし山内の怒涛の追い上げにタイヤが悲鳴を上げたのか、徐々にラップタイムが下がっていく。72周を終えた時、山内は「やばい、タイヤがおかしい」と無線で伝えてくる。トップとは17秒まで差が広がり、後続の4号車とは18秒のリードを持っている。そのまま順位をキープできるか?という状況に変わってしまった。

タイヤの限界が近づく中で山内は周回を重ねて行く

そして最終ラップの78周目「マシンがおかしい、怖い」と伝えてくるものの5位でチェッカーを受けることができた。この時トップは30周目にトップに立った52号車がずっとトップをキープしており、そのままチェッカーと思った瞬間、ゴール寸前でスローダウン! 場内アナウンスのピエール北川は「ガス欠」を連呼。2位を走っていた18号車が交わし大逆転勝利を掴んだのだ。

さらに、この後、再車検でトップチェッカーの18号車は最低地上高車両違反となり、失格となってしまう大どんでん返しが待っていた。結果、52号車が優勝しBRZ GT300は4位フィニッシュになった。

レース後山内は「求めていた順位ではないけど、赤旗からの再開後の順位を考えるとよく挽回したと思います。また足りてない部分も見えてきたので、改善することでチームも進化できるのでそれは楽しみな部分でもあります」と前を向いた。

昨シーズンのオートポリスは2位フィニッシュ。山内&井口コンビに期待したい

これでわずかながらシリーズチャンピオンの可能性を残したことになる。トップとは19点差の7位となった。残り2戦。次のオートポリスではサクセスウエイトは半減される。BoPに変更があるか?は不明だが、BRZ GT300だけのBoPは戻して欲しいところだ。そして最終戦のもてぎではノーハンデ戦であり、ガチ対決となる。連勝も夢ではなく、チームは可能性を信じて戦うことは間違いない。

COTY
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