2月18日、富士スピードウェイでSTIチームは2012年ニュルブルクリンク24時間レースに出場するWRX STI・S206 のシェイクダウンテストをを行った。前日に思わぬ降雪があったため路面が凍結し、テスト走行が行えるかどうか心配されたが、午後の時間帯にはドライ路面になりテストを実施した。
STIの辰己英治監督は、「昨年のニュルはまぐれでクラス優勝したと思っている人も多いと思いますが、実際、本気で取り組まなければ、世界一をまた獲ることは難しいと思います。ですから、今年はこれまで起こった様々な課題を抽出し、さらなる軽量化を徹底的にやってみようと取り組みました。その結果、最低重量規定の1200kgを下回ることができました。スバルの持ち味である低重心を活かしながら、レギュレーション重量にあわせていこうと思っています。今年は、新たな気持ちで臨み、連勝することを目標にしています。連勝すれば、まぐれではなく本当の実力を世界に知らしめることができると確信しています」と語った。
その言葉通り、2012仕様のWRブルーにカラーリングされたWRXはカーボンルーフの更なる軽量化、カーボン・プロペラシャフトの採用、サスペンション/メンバーをIRCラリー/R4公認パーツにするなどで20kg程度軽量化され、ついにレギュレーション重量を下回り、実戦ではバラストウエイトを搭載するレベルになっている。
↑2012ニュル仕様に採用されたIRC・R4公認パーツのリヤ・サスペンションメンバー
なおトランスミッションは紆余曲折はあったものの、結局シーケンシャルタイプは採用せず、従来通りの市販6速ギヤボックスを搭載している。
ドライバーの組み合わせは2011年と同じ吉田寿博、佐々木孝太、カルロ・バンダム、マルセル・エンゲルスの4選手。今回のシェイクダウンテストでは、吉田、佐々木選手と辰己監督がステアリングを握った。
タラップタイムは2011年のテストを1秒上回り、軽量化によるポテンシャルアップが確認されている。ドライバーの吉田選手によると、「手ごたえとしてクルマは軽く感じるし、タイム的にも良くなっています。そのため本番のニュルブルクリンクのコースでどういう動きをするかということも予想できました。感触がいいので、今から楽しみです」と話している。
この後、NBRチャレンジカーはドイツに向けて輸送され、4月28日にニュルブルクリンク・サーキットで開催されるVLN4時間レースに辰己、吉田、エンゲルスの3名で出場し、本番の24時間レースに向けたセットアップを行う予定だ。本番の24時間レースは5月19〜20日にニュルブルクリンク・新コース+オールドコースで開催される。
■2012年 ニュルブルクリンク24時間レース仕様WRX STI S206主要諸元
ベース車両 スバル WRX STI (GVB)
●全長4605mm 全幅1835mm 全高1375mm ホイールベース2625mm ●車両重量1200kg ●エンジン EJ20 AVCS ツインスクロールターボ 総排気量 1994cc ●エアリストリクターφ38 ●最高出力250kW(340ps)/5500rpm 最大トルク 461Nm/3000rpm ●トランスミッション6速マニュアル ●フロント ヘリカルLSD センターLSD オートDCCD リヤLSD STI製機械式LSD(GpN VO)
なお、この日はスーパーGT・300クラスに出場するBRZも公開テストを行った。参戦チームは昨年と同じR&Dスポーツで、ドライバーは山野哲也選手、佐々木孝太選手だ。