SUPER GT2026シーズンの公式テストが3月6日(金)、7日(土)に岡山県美作市にある岡山国際サーキットで開催された。今季は変則日程で金、土曜で行なわれ、各日2時間のセンションが2回、合計4セッションあり、GT300クラスは28台が参加して行なわれた。
SUBARU BRZ GT300は、すでにお伝えしているようにエンジンが新型の水平対向6気筒の3.0Lツインターボエンジンに換装され、それにともない各部のアップデートが行なわれている。チームは、これまで独自のテストやエントラント協会のテストなどに参加して、新エンジンで走らせている。
エンジンが変わってのメリットのひとつとして、ターボをエンジン直上に配置したことでエキマニの取り回しを短くすることができ、ターボのレスポンスが良くなることがある。前回のシェイクダウンの時もアンチラグの使い方は従来とは違ってくると小澤正弘総監督が話しており、つまり決勝レースでの燃費に期待が持てるというわけだ。
小澤総監督は「この公式テストの前にもここ岡山でテストができて、そこでタイヤはある程度絞れてはいます。ただ、エンジンが重くなって前後バランスが変わったことでのセットアップと、それに伴ってフロントタイヤ、リヤタイヤの仕事も若干変わってきています。ですので、ロングを走ったときにタイヤを守れるようなセットアップができるかというのもこのテストの狙いのひとつです」という。
そのタイヤについては、ダンロップが提供するニュータイヤのマッチングとロングランがメインメニューになる。ちなみにニュータイヤは数種類あり、コンパウンド違いや構造違い、対応温度の違いなどさまざまなタイプを持ち込んでのテストということだ。

金曜日の最初のセッションは井口卓人をメインにテストが行なわれた。井口はこの新エンジンになってからあまり走行はしておらず、変化点をきちんと理解する上でも重要なテストになったわけだ。これまでは山内英輝のセットでタイムを出し、器用な井口が山内に繋ぐという役割に自然となっていったが、ニューエンジンになり、どういうセットアップがいいのか、二人のすり合わせも必要になっているようだった。
その山内に話を聞くと「これまでEJの時は、とにかくタイムを出して予選で前に行かないとレースができない状況だったから、テストや公式練習のときからタイムの出せるセットアップを探すことに終始してました。でもこのエンジンになると排気量が上がった分、タイムを狙うことより決勝レースをどう戦うか?に集中できるようになりました」というのだ。

純粋にパワーがあるというのではなく、GT3のエンジンのようにBoPでパワーを抑えられても、キャパシティの範疇にあるので楽に感じるということだろう。EJでは乾いた雑巾をさらに絞ってタイムを出すのとは感覚的に違ってきているということだ。
セッション1の井口は、まずはセットアップを目指した。BRZ GT300のセットアップを決めてからタイヤの比較テストという段取りのようだ。だから井口は3〜5周の計測をしてピットインし、セットを変更して再び計測を繰り返していた。
EG型となって約50kgの重量増で、BRZ GT300の基本重量も1250kgになった。従来の1200kgでのセットアップでは当然マッチしないわけで、そのあたりの見極めも必要になり、ジオメトリーだけでなく、ダンパー、スプリング、スタビ、デフといったハードパーツのマッチングも見る必要があるわけだ。
井口のタイムは1分27秒付近でまとまっており、おそらく決勝レースを見据えたセットアップではないかと想像する。2時間のセッションで9回のピットインと40ラップという周回をこなし、午後のセッションに繋いだ。
午後になるとタイヤの比較テストが始まった様子だ。タイヤ交換のためのピットインが繰り返され、やはり2時間のセッションで7回のピットインと47ラップの周回をこなしテストを終えている。
マシンを降りた井口は「いろいろなことが体験できてよかったです。ここまで長く走ってテストすることがなかったので、タイヤのこともクルマのこともよくわかる体験でした。まだ、自分の乗り方にもちょっと違和感が残っているので、そのあたりはもう少し走り込みたいですね」とテストの感触を話していた。

翌日のセッション3回目は山内英輝がコクピットに収まった。走り出しは前日の雨の影響で、ウエットタイヤを装着してのコースインとなった。じつはウエットタイヤも新しいタイプを持ち込んだようだ。
天気は快晴だったので、10ラップもするとスリックで走行できる状況に変わり、「今日はロングのテストをやります」と小澤総監督が言うように、テスト項目はロングランに変わった。山内もこれまでならタイムの出せるセットアップを探すことを行なっていたが、ここはコンスタントに1分27秒台で走行していた。ちなみにトップタイムは1分25秒台でBRZ GT300の順位は21位近辺にいる。
この状況であっても、ロングランテストであることを深く理解しているためか、ピットは暗い雰囲気はなく、いつもどおりの空気が流れているのだ。これまでであれば、タイムが出ないことに対してピリピリとした空気が漂っていたのだが、チーム全体が大人になったとでも言うのか、静かに、そして淡々とデータを集めている姿が印象に残った。
そして最後のセッション4は再び井口がステアリングを握り、ロングランのテストになった。しかし、午後は小雨になったり外気温も低く、真冬のテストとでも言えそうな寒さだった。ちなみに外気温が2ケタにはならず、6度前後で路面温度も12度程度。昼ごろでも路面温度は16度ほどだったのだ。つまり、ここまで低い気温でのレースはシーズン中行なわれないので、タイムはあまり意味がないものでもあった。

それでも井口は1分27秒台をコンスタントに刻むタイムで走り、データを集めていく。テスト後には「いっぱい走ることができて、ロングもできたしタイヤの比較テストもできて、タイム以上にすごく充実したテストになりましたと話す。タイムを出すことを目的としていないテストの中で、本番レースに向けてのセットアップができた様子だった。
「ロングをたくさん走ったことでマシンへの理解も深まって、フロントが重くなっていることがメリットでもありデメリットであることも感じられたし、リヤの動きを見ながらいろいろ試すことができました。だからリヤをしっかりやり過ぎるとフロントに負担がかかり過ぎることもわかったし、ややオーバーステア気味の状態で乗りこなすしかないのかな岡山は」といったテクニック的なことも変化していることが見えたのだ。

一方、小澤総監督からは「レースに向けたセットアップとタイヤ選びをメインにテストしてきましたが、まだまだ詰めきれない部分がありながらも、昨年よりはいいレースができるのではないか?という手応えはありました。ただ、エンジンが新しくなってECUも変わっている中で、まだ脇の甘い部分が残っていることもわかりました。これは戻ってから修正はできるので大きな問題ではないのですが、まだ見えていないところでのトラブルがあるのかないのか、わからないところが怖いですね(苦笑)」と語っていた。

次は最後の公式テストが3月15日(日)、16日(月)に富士スピードウェイで行なわれる。ニューエンジンとなったことで、戦略の幅は広がり、またタイヤへの依存からタイヤを使いこなす領域へと変化し、外から見ていてもたくましくなった空気が感じられるのだ。それはBRZ GT300はもちろん、ドライバーもこれまでとは一味違うチームに成長しているようだった。
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