レヴォーグは2014年4月にスバルのGTツーリング コンセプトを具現化した日本市場専用のスポーティなステーションワゴンとしてデビュー。今回は年次改良を繰り返すレヴォーグのCタイプについてお伝えしよう。
関連記事
スバル「レヴォーグ」の変遷 シリーズ1 25年目のフルモデルチェンジ 初代レヴォーグ誕生(Aタイプ)
スバル「レヴォーグ」の変遷 シリーズ2 安心安全性能の進化 2015年モデル(Bタイプ)
年次改良という独特の制度
ここで取り上げているレヴォーグに限らず、SUBARUは以前から全モデルに「年次改良(年改)」という制度を採用している。これは知る人ぞ知るという独特のシステムだ。この年次改良記号は、デビューした年がAタイプで、次年以降はB、C、D、・・・と記号が付けられる。そのため「アプライド(applied)記号」とも呼ばれることがあり、何年型であるかが判るわけだ。
この制度は、スバルの源流である中島飛行機時代からの伝統で、例えば有名な隼(一式戦闘機は、初期モデルがキ43-I、次がキ43-I乙、キ43-I丙、キ43-Ⅱ初期、キ43-Ⅱ中期、キ43-Ⅱ後期、キ43-Ⅲというように年次改良、新技術を投入して性能を向上させている。
その中島飛行機が富士重工になり、SUBARUになった現在でも、この年次改良システムは生き続けている。1年間を経過した時点、そのクルマは改良を加え性能を向上させるという思想のもと、年次改良では、たとえ僅かな部分でも手直しが行なわれることになっている。いわゆるマイナーチェンジのような内外装の手直しを行なうこととは意味が違っている。
また他のメーカーが不定期で実施する、ランニングチェンジ(仕様変更)とも意味が違っている。ランニングチェンジでは部品の設計変更や仕様変更などを行なうことが多く、対外的に発表されない変更である。またランニングチェンジでは往々にしてバリューアナルシス(VA)の発想のもと、代替部品を採用することでコストダウンを図ることが主目的になっていることが多いのだ。
ヨーロッパやアメリカの自動車メーカーはイヤーモデル、つまり年式制を採用し、年次改良を行なう例も多いが、日本ではスバルだけが採用してきた。ただ、最近ではレクサス、日産GT-Rが年次改良制を取り入れている。
スバルの年次改良制度は、モデルライフの中でも絶えず改良を加え、熟成を進めるという思想を象徴しているのだ。
Cタイプ(2016年モデル)
前置きが長くなったが、レヴォーグは、2016年4月にCタイプとなる改良モデルが登場した。このCタイプでは、前面衝突時、瞬時にシートベルトを巻き取り乗員を拘束する「シートベルトプリテンショナー」を左、右、リヤシートにも採用した。さらにリヤシートのクッションも安全性の高い構造に改良するなど、後席の乗員保護性能を向上させている。この他にフロントドアにアッパービームを追加し、側面衝突への対応も強化している。
デザイン面では、エントリーグレードの1.6GTアイサイトには、新デザインの17インチアルミホイールを採用。ガンメタリック塗装と切削光輝を組み合わせ、さらに空力性能の向上と軽量化も実現したホイールとなっている。
GT-Sグレードには、上級グレードにふさわしいスポーティで上質なブライトパール内装をメーカーオプションとして新設定。パールのような輝きを持つシルバー基調のレザーとブルーステッチによるコーディネートによりインテリアの質感を大幅に高めている。
細部ではフロントドアの室内側ショルダー部のウェザーストリップを2重化して、室内への透過音を低減。リヤクォーターガラスの板厚アップやカーゴルームの吸音材追加なども行ない、走行中の静粛性を向上させている。
トップグレードのSTIスポーツ登場
そして7月には、5月から先行予約を受け付けていたレヴォーグの最上級グレードとなる「STIスポーツ」が発売された。この「STIスポーツ」は、STIと共同開発したスポーツ&ラグジュアリーモデルで、コンセプトは走行性能、走りの質感、内外装の質感をトップグレードにふさわしく大幅に高めることであった。
なおSTIスポーツは、エンジン、トランスミッションは標準モデルからの変更はなく、動力性能は標準モデルと同じだ。一方でシャシーを専用チューニングし、内外装をアップグレードさせている。
サスペンションには専用チューニングされたビルシュタイン製の可変減衰式の「ダンプマチックⅡ」を専用のコイルスプリングとともに採用している。
サスペンションのチューニングにより、操縦安定性と乗り心地の良さを両立させている。さらにステアリングギヤボックスの取り付け剛性を向上させるスティフナーを追加し、操舵応答性を高めるなど、操舵フィーリング、走りの質をトップグレードにふさわしいレベルに高めている。
エクステリアは、専用設計のフロントバンパー、フロントグリルとLEDフロントフォグランプを採用。専用18インチアルミホイール、専用大型デュアルマフラーカッターを装着し、車体前後にはSTIのオーナメントを配置している。ボディカラーはベース車の7色に「WRブルー・パール」を追加している。
インテリアは「STIスポーツ」専用のテーマカラーのボルドーカラーでコーディネートして、大人の上質感を強調している。レッドステッチやピアノブラックのパネルと組み合わせることで、スポーティでありながら落ち着きのある上質なインテリアに仕上げられている。
また、専用アイテムとして、STIロゴを配置した専用ルミネセントメーター、ステアリングホイール、サイドシルプレート、運転席/助手席ヘッドレストを採用し、スポーティさと高い質感を両立させている。
この「STIスポーツ」は発売1ヶ月で3000台を超える受注となり、最上級モデルにも関わらず人気モデルとなった。
特別仕様車「1.6GTアイサイト スマートエディション」
10月にはボクサーエンジン50周年記念モデルとして、特別仕様車「1.6GTアイサイト スマートエディション」が発売された。
1.6GTアイサイトをベースに、アドバンスドセイフティパッケージを標準装備化し、エクステリアには専用17インチアルミホイールやブラックカラードドアミラーを採用した。
その他に上級グレードである1.6GT-Sアイサイトと同デザインのLEDヘッドランプ(ブラックベゼル)、ダークメッキ加飾+ブラック塗装フロントグリルを採用。インテリアには運転席8ウェイパワーシートとアルミパッド付スポーツペダルを標準装備としたモデルになっている。
レヴォーグAタイプの記事はこちら
レヴォーグBタイプの記事はこちら
レヴォーグcタイプの記事はこちら
レヴォーグDタイプの記事はこちら
レヴォーグEタイプの記事はこちら
レヴォーグFタイプの記事はこちら