スバル B4レガシィ/アウトバックがデビュー スバルのフラッグシップにふさわしい上質感

スバル 新型レガシィ アウトバック リミテッド
アウトバックに上級グレード「リミテッド」 315万円

6代目レガシィB4、5代目アウトバックは2014年のニューヨーク、デトロイトの各モーターショーでB4とアウトバックがワールドプレミアされた。そして同年10月24日に国内でも6代目レガシィが発表され、スバルのトップエンドとなるセダンのB4とクロスオーバーSUVのアウトバックという2車系での展開が開始される。

スバル 新型レガシィ B4
レガシィ B4

スバルのセダンには先ごろ発売になったWRX S4があり、ワゴンではレヴォーグが注目を集めている。従来のレガシィがラインアップしていたツーリングワゴンは、新ブランドのレヴォーグにバトンタッチされた。こうした状況の中フラッグシップのレガシィの役割は何だろうか?ということを真剣に考えることから開発がスタートしたと、商品企画本部の内田雅之氏は話す。

スバル 新型レガシィ新型レガシィ Bodysize

そしてスバルのフラッグシップに相応しく、この時代のレガシィの役割は人生を豊かにするクルマであるとしている。クルマの魅力が少なくなり、効率のよい移動手段としては価値はあるものの、楽しさや乗り味の薄いモデルが多くなっている。レガシィはそんな群れからかけ離れた、走っていくこと自体が充実して楽しいこと、走ったその先で何か体験することを楽しめる、生活や人生そのものを充実する、そうした世界を提供することがレガシィの役目であると説明している。

こうした壮大な目標に向かって、デザインと動的質感に力を入れ新型レガシィは開発されている。デザインでは内外装の質感を大きく進化させ、スバルのフラッグシップモデルに相応しい内容へとチェンジ。そして、走りのレガシィというイメージを進化させている。

◆北米で人気の新型レガシィは大きくなって登場

B4(BN9型)は安心で、俊敏な性能をもつセダンという位置付けで、ファミリーセダンとは一線を画す力強さと上質感を備えたスポーティセダンである。ボディサイズは全長4795mm×全幅1840mm×全高1500mm、ホイールベース2750㎜と、従来モデルより全長、全幅をやや拡大した大柄なサイズで北米ではミドルサイズセダンに区分される。

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アウトバック(BS9型)は実際に使って楽しむクルマであり、地上高200mmのロードクリアランス、大径タイヤ、ルーフレール、プロテクションが機能を表現している。一瞬でアウトドアギヤスタイルであるとわかるルックスだ。ボディサイズは全長4815mm×全幅1840mm×全高1605mmで、ホイールベース2745mm。価格は290万円~となっている。

スバル 新型レガシィ アウトバックスバル 新型レガシィ アウトバック

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インテリアでは、フラッグシップセダンに相応しい質感が与えられおり、いろいろな物事を経験し、物の良し悪しをしっかり吟味し自分にあったものが選択できるユーザーにも選んでもらえるような仕上がりにしているという。

そして6代目レガシィの魅力には動的質感の向上も挙げられる。反応がよく、滑らかでありながら収まりが速い、というポイントを挙げて改良が行なわれている。つまり、スポーツカーのように反応が良いのに高級車のように静かで滑らかである必要があった。

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◆B4セダン/アウトバックの動的質感の向上を狙う
具体的には、車体剛性に最も拘っているという。旧型比較でアウトバックは+67%、B4で+49%の剛性をアップさせている。特にA、Bピラーには1470Mpaのホットプレスを採用している。またシャシーでもハブベアリングの大型化でPCDを114.3にし、フロントストラット径をアップし前軸トレッド等価剛性を+30%アップしている。

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ダンパーも新開発された「スタブレックスライド・ダンパー」が装備される。スバルが独自に開発したもので微低速域でのピストンスピードが遅い時に減衰力の立ち上がりが速く、クルマの動きの収まりが速くなるように、直径の大きなバルブを開発。逆にピストンスピードが速い領域では減衰力の立ち上がりを抑え、乗り心地を向上。ダンパーの伸び行程では、オイル経路を拡大するなど車両安定性と乗り心地を高めるというものだ。そしてスタビリティへの拘りの一つとして、スタビライザーをダンパーに固定して効率を高め、微小なサスペンションの動きに対してもスタビが効くという工夫も見られる。

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また、新開発したダンパーのバルブにプリロードをかけているというのも特徴のひとつ。圧力の少ない状態ではバルブが開かないようにしている。ちなみにサプライヤーはカヤバ製で、スバルの開発陣からのオーダーに基づく仕様で開発されたものだ。ネーミングのスタブレックスとはスバルがつくった造語で、スタビリティとフレキシビリティを合わせもつことを意味している。
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アクティブトルクベクタリングはレヴォーグ、WRX S4にも搭載されているシステムを新型レガシィにも搭載。コーナーでイン側タイヤにブレーキをかけヨーを発生させるものでVDCの発展型となっている。

さらにステアリングギヤレシオもクイックにし、このアクティブトルクベクタリングとともに、気持ちのいいコーナリングができるという。そしてCVTの制御も変更し、ステップATのように変速が感じられる制御とし、エンジン音と実際の加速との一体感を作り出すことにも注力している。

振動騒音制御にも気を配り、ロードノイズ、エンジン透過音、風切り音の低減をしている。特にフロントガラスには遮音材をラミネートしたタイプを採用し、静かな室内に仕上げてある。

北米ではレガシィシリーズで最も売れているのが、アウトバックだ。月販1.2万台に対しセダンは5000台という違いがある。また、世界一の投資家として有名なウォーレン・バフェットの愛車としても有名である。

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その新型アウトバックは200mmの最低地上高に加え、X MODEを新たに全車に搭載。このX MODEはフォレスターにも採用されているが、主な特徴としてエンジントルクの調整、トランスミッションコントロールを統合制御し、さらに空転するホイールにブレーキをかけることでLSD効果を発揮でき、荒れた路面でも強力な駆動力、走破性能を発生する。またセンターデフの締結力を強めて、AWDの性能を最大限に高めている。さらに下り坂で作動するヒルディセント機構も備え、一般的なSUVを上回るAWD駆動性能を実現している。主にこれらの進化や多くの改良により新型レガシィシリーズの動的質感の向上が図られている。

新型レガシィFサスペンション新型レガシィRサスペンション

◆FA25型自然吸気エンジンの進化

環境性能の改善という狙いでは燃料消費の低減、回転抵抗の低減、空気抵抗の低減に取り組み、回転抵抗では主にCVT内部の回転抵抗を減らしている。空気抵抗では、新規にアクティブ・グリルシャッター(AGS)を採用し、ボディ下面の整流効果を狙い、空気抵抗を低減している。

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新旧エンジンの吸気ポート形状の違い
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ポートは拡大され、TGVバルブ位置を変更

燃料消費の低減では搭載するエンジンFA25型を大幅に改善している。約80%もの箇所で刷新されているという。主なポイントとして、燃焼スピードを上げることでの熱効率の向上を狙っている。そのために、燃焼室形状の変更とともに、高ターンブル流を作る工夫がある。

20_TGVの構造変更20_吸気ポートの構造変更

ポート形状では、中の仕切り板(TGVバルブ)位置、ピストントップの形状、燃焼室形状を変更し、TGVバルブは低負荷時には吸路の細いほうから吸気し、ペントルーフの形状に合わせて混合気が流れるようにしている。全開時にも強いターンブル流が作れるようにポート形状を変更している。ターンブル流を強くするにはアプローチの段階でより真っ直ぐなほうが良いからである。

インジェクターはデンソー製で燃焼室に近い位置から噴霧できるロングタイプを採用し、噴霧付着を防ぎつつ、噴霧の微粒化をし、やや圧力を上げている。マルチ噴孔タイプで2つのバルブに向かって噴霧するレイアウトになっている。なおガソリンはレギュラー仕様だ。

◆安全性能の進化

先進の総合安全性能の柱は3つ。アクティブセーフティとして衝突を回避する能力、プリテンションテクノロジーとして予防安全といったアイサイトを中心にしたもので衝突のダメージを最小化する。そしてパッシブセーフティとして、万が一ぶつかったときに乗員を守る、という3つの柱で対応している。

アイサイトの進化バージョンであるアイサイトver3を標準装備し、車線内で自動的にステアリングを修正するアクティブレーンキープ機能の追加、プリクラッシュ・ステアリングアシストの追加、AT後方誤発進防止装置、という機能を新たに追加している。

アイサイト3の主な進化機能では、望遠、広角、視野角の横方向、縦方向などいずれも約40%拡大している。これに伴い、衝突回避、被害軽減ブレーキが働く速度差が30km/hから50km/hへと向上している。さらに前走車のブレーキランプを新たに認識できるようになった。そしてカメラユニットも小型化に成功し対比:15%小さくなっている。

◆まとめ
こうした進化をした6代目レガシィシリーズは、反応が良く動き、動くとスムーズで収まりが速いことで動的質感を感じさせる。どんな外乱でも真っ直ぐ走り、滑らかでリニアなステアフィールが得られる。うねり凸凹、段差をいなし、バウンスやロールを抑える上質な乗り心地があり、心地よい加速、エンジン音と加速感が一致しながらも、高い静粛性がある。

スバル 新型レガシィ アウトバック
アウトバック

デザイン、動的質感の進化により輸入車と勝負できるデザイン、きしみ音をなくすなど静的な質感、そして、あらゆる場面で気持ちがいい質感、先進の総合安全性能、シンメトリカルAWDを中心としたアクティブセーフティ、アイサイトVer3による予防安全のリードを拡大。さらに、世界トップクラスのパッシブセーフティの堅持、新世代2.5LのNAエンジンの燃費と加速、レスポンスなどを備え、レガシィの役割は「人生を豊かにするクルマ」であるとしている。実際にこうした質感の向上はどれほどなのか試乗の機会を楽しみに待ちたい。

新型レガシィB4諸元表
新型レガシィ OUTBACK諸元表

新型レガシィ価格表

スバル公式サイト

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